『SDM』 VOL.23
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今、無事、福島に戻り、みんなと踊れることが本当に嬉しいです。実はレッスンの再開もすごく悩みました。県内の農家など、産業として成り立たない中、ダンスは求められないのではないかと。でも、もし望んでいる人がいたらと思い再開したところ、辞める子もなく、普段以上に生き生きと踊っていました。今まで踊れなかった想いをぶつけたんですね。それもあり、周囲からは応援の声も頂いています。 被災地に最も近い所にいる。そんな私達だからこそ出来ることがあるはずです。そのとき、ダンスの力で皆を元気にしていくのが私の役目だと思っています。 僕たちは、幸いにも被害は大きくなかったのですが、最初のうちは、計画停電などで、レッスン出来ませんでした。ただ地震で子供達が心に受けた影響は大きく、「こんな時だからこそ、皆で早く集まりたい」っていう声があったんです。学校も休校で尚更不安だったんでしょうね。だから子供達がダンスを踊れる日常に、早く戻してあげることが必要だと思い、皆が出演できる場を作ることにしました。 そこで、3月に空いている会場を探し、ダンスショーを開催したんです。ただ、僕達は、「ダンスで街を元気に、人を笑顔に!」をスローガンにしているので、、「節電」をテーマにショーをしたんです。電気の無駄遣いをする悪者をやっつけるという、戦隊モノをモチーフにして。実際にも最低限の音響で、照明も使わずやりました。 地元・茨城では東京や関西ほど〝自粛〞に敏感ではなく、逆にこういうときこそ外食しようとか、そういうのもあって、モール自体のお客さんの入りも地震前と同じ、普段通りでしたね。 子供達も積極的に募金活動し、多くの方に応援、協力して頂くことが出来ました。何より子供達が笑顔を見せてくれたので、本当にやってよかったです。踊り続けたダンサーたち。地震後の日本を覆った〝自粛〟の2文字。その言葉の風当たりが強いダンサーたちに取って、その言葉は重くのしかかった。だが、ダンサーとしてすべきことと将来を見据え、踊ることを止めない者たちもいた。 地震の時、私は東京にいたんですが、家族や生徒達と連絡が取れない不安で、正直、戻ることも考えました。どうすべきかという時、私の仕事を待つ人がいるならと、イベント会場に向かうことを決めました。離れていても出来ることをするべきだと思ったんです。 本来まとめるべき立場の私が皆といられないことは、本当に心苦しかったけど、ブログで安否確認をしたり、少しでも自分の声が届くよう発信しました。逆に避難している子に励まされ、救われることもありました。 今回の地震後、僕は特別なことはしてないんですよ。当たり前のことを言っていただけで。大地震の先には、絶対、自粛があって、日本人は経験上、経済が萎縮するっていう流れを知ってるはずなんだけど、なぜか同じ事を繰り返す。被災者を思う気持ちはもちろん大切。けど、実際、僕らは立場が違うんです。被災した人がいるから仕事しないっていうのは繋がらないですよ。自粛って本来、自分ですればよくて、人にその感情を押し付ちゃいけないんですよ。 今、〝生産ラインが止まるなど、どうにもならない仕事もあります。でもダンスって、できるのに、こっちまで止めるのはもったいないじゃないですか。 ダンサーは特に、どういうスタンスでダンスやってるかで行動の差が出てくると思います。 また、僕らは、『Legend Tokyo』の賞金は経費だけ抜いて残りを全額寄付しようと話をしてるんですが、「何で経費抜くの?」って言われるんですよ。経済活動ってどういう意味か理解がない人が多い。 今、〝ダンスで何ができるか〞ってなった時、チャリティイベントも、いいんですけどもっとできることがあるんです。今、被災地の子供達には、精神的支援、例えば、遊びのノウハウや知恵が必要なのだそうです。そしてそれはダンスでも可能なんです。 だから僕は、本来学校の授業用に作ったものですが、ラジオ体操とマイケルの曲を使った、「beat itラジオ体操」というのをビデオに撮って被災地に送る準備中です。実際授業以外にそれをした時も、子供だけじゃなく、お年寄りも参加してくれました。だから、子供だけじゃなく高齢者向けも作りますよ。 ダンスってこういうツールとしても、存在できることを、もっとダンサーに知ってほしいですね。 離れた場所で、私にできることは、〝踊ること〞だった。子供達に早く日常生活を取り戻してあげることが大切。「子供達が集めてくれた募金を龍ヶ崎市役所を通じて日本赤十字社に。坊主のくせにドライヤーを使う悪者(?)をやっつける5人! ダンスで楽しく子供たちに節電メッセージを送りました。日本復興に向けて。〝ストリートダンス〟にできること緊急特集28●Ruu大地震の直後、地元・東北を思いつつも、ダンサーとしての仕事を続けることを決め、イベント出演のため大阪に向かったRuu。不安の中その道を選んだ胸中と、福島に戻れた今を語って頂きました。ダンサーは踊る事が経済活動。それをとめないことが大事。●HASE地震直後から自身のブログやツイッターで「経済活動を止めない」ことを強く発信し続けていたHASE。彼が〝ダンサーとして出来ること〟としてとった行動。その真意にはプロとしての深い信念があった。●TAIHEYダンスイベントの中止が増える中、逆にイベント会場を探し始めたダンススクール「DAS」と、その中心人物であるTAIHEY。急きょ開催を決めたイベントには、あるメッセージが込められていた。Massage from dancer keep dancing

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