『SDM』 VOL.23
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ダンスを教えることの未来今回インストラクターをつとめた2人のダンサーにインタビュー!僕は、中学校に授業しに行った経験があるんですが、その時の感覚からいうと、中学生は “興味があるのに無いフリをする子”が意外と多いんです!そこを上手く“どういう風にダンスの楽しさに引き込むか”という“雰囲気の作り方”に重点をおいてレッスンを進めました。「実際に指導する時は、“遊びの要素”をプラスアルファしてやった方がいいですよ」っていう感じですかね!まず、目線がずっと鏡だけにいかない振付けを意識しました。レッスンを受けている側って鏡の方ばかり見ていると視野が狭くなる傾向があります。逆に視界が変わると雰囲気が変わる!そこで、身体の向きを変えたり、ターンを入れたりすることによって、リフレッシュさせてあげることができるんです。実際、2人1組でやるルーティンを始めてから、みんな急に表情が良くなりましたよね!ダンサーからしたらスゴく嬉しいですよね! ダンスがさらに広がっていく希望が見えた気がします。ただ、勉強ってみんな嫌いじゃないですか? 授業化されることによって、嫌いな子が増える可能性があるのことは懸念しますよね。ただ、僕が中学生だったらスゴい画期的な授業に感じると思う! これをキッカケに、もっと未来のダンサーが増えてくれればいいですよね!今、ダンススクールでも“初心者向けクラス”や“インストラクター養成クラス”などをやっていると思いますが、また、ちょっと内容が違います。1番は、ダンスにまだ慣れていない方に対して“指導に向けてのポイント”を伝えなければいけない。曲の選び方とか、振付けの教え方とか。当然、ダンス用語で言っても解らないので説明の仕方も、かなりの工夫が必要でした。1回目は、ひと通りの基礎をやってみましたが、先生方とお話した結果、「振付けを考えるのが大変!」ということだったので、今回は振付けを中心に進めました。振付けは、解りやすいリズムの曲を選んで、ベーシックなジャズよりも、ノリのある簡単なものにしました。あとは先生方が飽きないように。“興味をもって頂く”ということも最大限に意識して進めましたね。先生方と接してみて、“ダンス義務教育化”に対してスゴく不安をもっていることを知りました。「どうしたらいいか解らない」っていう感じですかね。やっぱり、ダンスって1~2回やって出来るものではなく、繰り返しやらないと身体に入ってきません。こういったワークショップも、もうちょっとコンスタントに続けていくべきだなって感じました。間違いなくニーズはあるんで!〝ダンス義務教育化〟といっても、そこには3つの選択肢がある。「創作ダンス」、「民族舞踏(フォークダンス)」、「現代的なリズムダンス(いわゆるストリートダンス)」だ。中学生の必修化は、もう、この春から始まる! しかし現状、ストリートダンスが1番出遅れているという。そんな状況を改善すべく、この冬、大阪の「中学校教員向けのストリートダンス講習会」が開催。講習は3日間に分かれ、1日目はK‐ROW、2日目は栗原めぐみ、そして3日目は2人連続で〝応用編〟が行なわれた。受講者は大阪の中学校で実際に保健体育を教えている先生たち。〝いかにも学校の先生〟という姿に懐かしくもあり、彼らがストリートダンスを学ぶ光景に、まだ違和感を覚える部分もある。取材に入った3日目、最初はK‐ROWによる〝ヒップホップ〟のレッスンが行なわれた。「ダンスは遊び」 という彼のスタンスのもと、後半では2人1組によるルーティンなどを展開。最初は険しい面持ちだった学校の先生たちも次第に笑顔があふれてくる。2時限目は〝栗原めぐみ〟による〝ジャズ〟。ここでは、振付けをとおして、ダンスが踊れる楽しさを教える。特に、振り写し後の盛りあがりは印象的であった。レッスン後。インタビューでは「この講習が3回で終ることは少なすぎる」との声が多々聞かれたが、〝ダンスを学ぶ楽しさを伝える〟という点においては充分な結果を出してくれただろう。※“ダンス義務教育化”に関する詳細はP03をご参照下さい。#02 ダンス義務教育化の実態ストリートダンスが義務教育化される! 皆さんも、そんな話は聞いたことありますよね!?しかし、まるで雲をつかむような話、正確には準備していない―それがストリートダンス業界側の実情ではないでしょうか!? そこで、「SDM」では、そこにあるニーズを徹底報道! 第2回目は大阪で開催された「中学校保健体育科教員向けダンス講習会」の現場にお伺いし、実際の学校教員の方々からお聞きした貴重なご意見をお伝えします!今こそ見つめなおすとき取材・文=工藤光昭text by Mitsuaki Kudo写真=村上剛志photography by Takeshi Murakami協力=ソフトコンサルティング株式会社cooperate with SOFT CONSULTING,inc.K-ROWProfile:関西で数々のクラブイベント、舞台公演などで活躍するヒップホップ・ダンサー。現在は、ヴォーカル&ダンス・ユニット「D-ice」のメンバーとしても活動している。“勉強”として嫌いにならないように、“楽しさ”を伝えていくことが大切!実際にレッスンでは、どんな工夫をしましたか!?教員向けレッスンとして、どんなことを意識しましたか!?ダンス義務教育化に対して、どんなことを感じますか!?ダンスを教えることの未来栗原めぐみProfile:関西を代表する大御所ジャズダンサー。宝塚歌劇団、市民参加型ダンス・エンタテインメント『ダンスオペラ』をはじめ、数多くのTVCM、イベントなどの振付けを手掛ける。ダンス義務教育化ダンス業界側は、どうか考えるべき!?学校の先生がダンスを伝える難しさを実感。こういった試みをもっと広げるべき!58

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