『SDM』 VOL.24
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細工がきれいで深い味わいがある、日本料理のようなダンス。̶̶NYで活躍しているTAKAHIROさんから見て、日本のダンスシーンってどんな印象ですか? 精神面や技術力においては間違いなく世界最高峰ですよね。個人差はもちろんあるだろうけど、総合力でいったら日本に勝るところはないと思いますよ。 何というか、繊細ですよね日本人のダンスって。大人数で動きを揃えたり、集団でものを創り上げるということに非常に優れているし、新しい音楽にも敏感。すごく完成されているというか、美学がありますよね。̶̶なるほど。逆に、アメリカのすごいところは何がありますか? 勢いというか、感情の表現ですかね。これはどっちがすごい、というわけでもないんですけど、例えば料理で考えると、日本は細かい包丁細工が非常に上手で、食べてみたら深い味わいがして美味しい。 じゃあアメリカはって言うと、でっかいピザとジューシーなハンバーガー! もう見ただけで直感的にすごいってわかるし、バクって食べて「うまっ!」って感じですよ。やっぱりそういうところに、国民性みたいなものも如実に表れてきますよね。僕がNYに行ったのは、最後のダンスの思い出作り。̶̶では、TAKAHIROさんが日本を飛び出したのは、そういう日本ならではの表現でアメリカで挑戦したいという考えがあったからなんですか? いやいや、僕がアメリカに行ったのは、ダンスをやめる、最後の青春の1ページの思い出を作ろうと思ってたんですよ。大学でダンスを始めたけど、卒業してみんな就職して。「僕も就職かな〜。じゃあ最後に面白いことやろう!」って思って。 色々調べたら、NYのアポロシアターでやってる「アマチュアナイト」ってコンテストが、ヒップホップ・エンターテインメントの世界一で、一番古いってわかって。そこにチャレンジしたら、お客さんにウケて優勝した。そこが全ての始まりですね。̶̶自信があって挑戦したわけではなかったんですか? そんなの全然ないですよ! ただ、今こうして振り返ってみると、やってみなければわからないですよね。みんなが無理だよって言ったとしても、世界は広いし、誰かが自分のことをわかってくれるかもしれない。 「無理だよ、ダメだと思う」なんて誰でも言えるんですよ。でも、それを言っていいのは、やってみてボロボロになってダメだった人だけなんです。「ダメかも……」は言っちゃだめですよ。「ダメだった!」なら言ってもいい。一歩踏み出してみれば、自分が考えてるより、何か起きますよ。いいことも、悪いことも。「ダメかも」は言っちゃだめだ、「ダメだった」なら言ってもいい。世界のエンターテインメント市場の聖地とも呼ばれているニューヨーク(以下略:NY)において、わずか5年足らずで一躍スターダムにのし上がった日本人ダンサー、TAKAHIRO。ダンサーとして、現地の過酷な生存競争を勝ち抜いた彼から見る日本のダンスシーン、そして、4月に行なわれた自身による舞台公演について語ってもらった。DDC MONCHHICHI(SUNGLASSES)Tシャツ¥1,995/Mサイズ着用DDC国産デニムパンツ¥9,345/34インチ着用モデル:170cm※表記のないものはスタイリスト私物Profile:NYアポロシアターTVコンテストにおいて初の9大会連続優勝を果たし、プロデビュー。以後、NYを拠点に活動し、09年にはマドンナのワールドツアーやMVにも出演。日本でも数々のTV番組出演の他、「大阪世界陸上開会式」振付、自身がプロデュースしたダンス公演『SIX DOORS』の開催など、日米を股にかけ、世界的な活躍を見せている。TAKAHIRO14

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