『SDM』 VOL.24
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人口が増えれば、さまざまなニーズやビジネスチャンスが生まれる。―青木さんのお仕事は、具体的にどのような内容なのでしょうか? わかりやすく言えば、エイベックス・グループのリソースを活用して、さらに新しい事業を生み出すのが私たちの会社の目的ですね。その中でも、以前からストリートダンスは、特に重点をおいて新しいビジネス展開をしています。―ストリートダンスに重点をおくようになったのは、なぜでしょうか!? 以前、SAMさんと一緒に企画したテレビ番組「RAVE2001」(※1)が自分としては大きいですね。当時、ここで出会ったダンサーたちの多くが、「ダンスの仕事が欲しいけど、そういう環境がない」と悩んでいたのが印象的でした。やっぱり、仕事として食べていけなければダンサー人口も広がらないしシーンも広がらない。そして、ダンサー人口が増えれば増えるほど、今度はいろんなニーズやビジネスチャンスが生まれてくるんです。だから、まずはダンサーが食べていける環境を作ることがすごく重要で、そこで生まれたのがavex artist academyやavex Dance Masterなんです。今まで仕事として〝ダンス〞というものから色んな恩恵を受けてきた分、今度は、ビジネスとしてダンスシーンに貢献したいと考えています。―実際に仕事でも関わってみて、ダンサーにはどういう印象を持っていますか? わかりやすく言えば〝職人〞ですね。すごいコダワリを持っているしプライドもある。そして、何か大きい企業や団体に属することに抵抗を感じる人が多いと思います。でも、それが今までビジネスとして成立し辛かった大きな理由かもしれませんね。意識を変えないと、人口も広がらないし波もこない。―今まで、ストリートダンス業界がビジネスとして成立してこなかった理由って、ほかに何があると思いますか!? やっている人の職人気質もそうだし、あとは動きやスキルも体系化されてない。いろんな複合的なことが理由だと思いますよ。特に、一般の人から見たらちょっと珍しい〝ダンサーならではのファッション〞という見た目のイメージはネックですよ。そこからくる印象が、一般の人が、受け入れづらい理由でもあるんです。 例えば、未だにダンススクールの広告を見ると、イカツイ人たちの写真が並んでますよね? 親だったら、これからダンスを始める自分の子どもをそこに通わせようとは、思わない人もいるんですよ。中にいる人は、なかなか気付きにくい問題だと思います。―青木さんの経験からして、ビジネスとして成立し、ヒットするには何が重要だと思いますか? 2つあると思います。1つは〝本質的に良いもの〞であること。そして、もう1つが〝波〞だと思います。波の立たない湖で、いくらサーフィンをやろうとしてもダメですよね?どんなにいいコンテンツでも、波がこないとヒットさせる労力は何倍も変わってくるんですよ。ちなみに、2012年にダンスが完全に義務教育化されますよね。これも1つの波なんです。マーケティング市場的に一気にダンサー人口がふくれあがりますから!―『Legend Tokyo』のコンセプトについては、どのような感想をお持ちですか? 面白いアプローチの仕方だと思いましたよ。徹底的に本質を追究しているし、よく考えられている。でも、この大会の意義を、観に来る人たち全員にきちっと伝えるのは、まだ難しいかもしれません。 私たちの視点から〝振付師という職業〞に求めることは、「自分が表現しようと思ったテーマを、ちゃんと表現できている」ということ。もし、その作品を見ただけで、振付師の表現したいことを、審査員に思い浮かべさせることができたら、それはスゴいと思います。 そういう表現者の存在は、これからのストリートダンスを、もっと大きく広げ、変えていく1つの大きなキッカケにもなると思いますよ!ストリートダンスともっとも深い関わりをもつ音楽業界。その大手であるエイベックス・グループの中でも、コレオグラファーやダンサーの才能発掘・キャスティングを担っている機関が〝エイベックス・プランニング&デベロップメント〟だ。社長の青木義人氏は、そのコンテンツを第一線から手掛けてきた、まさに〝達人〟。彼の目に映る〝ストリートダンスの未来〟とは!?音楽アーティスト業界の視点。#02取材・文=長濱佳孝text by Yoshitaka Nagahama写真=井上治photo by O-sam InoueProfileかつてプロデュースを手掛けたテレビ番組「RAVE2001」で感じたことをもとに、エイベックス・グループ内で〝職業としてのダンスの成立〟にこだわったさまざまな事業を展開。avex artist academy、avex Dance Master、JSDAなど、その功績は計り知れない。現在も、この新しい日本の文化を世界に広げるべく、事業拡大を目指している。エイベックス・プランニング&デベロップメント株式会社 代表取締役社長青木 義人Information「より、ダンサーのチャンスを広げたい!」という想いから始まった、JSDA(日本ストリートダンス協会)。その公認ライセンス検定試験が9月23、24、25日に開催。詳細は下記WEBサイトにて!JSDA公認ライセンスJob File現在は東京、名古屋、大阪、福岡に展開。次世代のアーティストを育成することを目的とし、2001年に設立。エイベックスならではのノウハウとリソースを活用し、多くの若者の夢を支援している。エイベックスで開発・導入されたダンスレッスンプログラム。現在全国110店舗以上のフィットネスクラブなどで導入され、その会員は1万人以上! 大規模な合同発表会も開催されている。TRFのSAMをナビゲーターに、1998年~2000年に放送されていたダンス番組。この番組をキッカケにストリートダンス・ブームが起こり、都市部においてダンススタジオが急増。大学ダンスサークルの活発化も始まった。avex artist academyavex Dance MasterRAVE2001(※1)第2回ストリートダンス検定開催!http://jsda.info/詳細はこちら何を表現しているのか、聞かなくてもわかる。そんなパフォーマンスが未来を変える!27

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