『SDM』 VOL.24
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日本にも観劇文化を根付かせたい。―新井さんから見て〝ストリートダンス〞ってどういった印象がありましたか!? 「日本のレベルは世界一」と聞いておりましたが、一般の人の視点からすると「そうなんだ」の域で終わってしまうと感じていました。ただ私的には、そんなにレベルが高いのに「世間に認知されていないのは、もったいない」と思っていましたね。 だから今回、『Legend Tokyo』のお話を聞いた時、すごく共感して、私の中でいっきにストリートダンスに対する関心が高まりましたよ!やはり、どんなにダンススキルを磨いても、そこに興味がない人には響かない。ただ、そこに〝表現〞という風を吹かした時、ブルーマンのように誰もが参加できる新しいムーブメントが生まれるんです!―実際にブルーマンは、本当に幅広く大衆を惹きつけていますよね!? 実は、ブルーマンってダンサーさんみたいに超人的な肉体やスキルは持っていないんです。けど、下水管をわたされて、「これが楽器なんじゃないかな」っていう〝発想と着眼点〞。そういったところから、ショーが広がっています。そして、一般の人たちにも広げたいのなら、そういう視点はすごく大切だと思いますよ。―世界でも〝専用劇場〞までつくってロングランをしているのは日本が初だとお聞きしましたが、そこには何かこだわりがあるのでしょうか!? 欧米では観劇することが生活スタイルになっていますが、日本には根付いていません。 なぜだろうって思った時、「ロングラン作品がないから」だと気付いたんですよ。劇場にいくことが、いい意味でも悪い意味でも特別すぎて、みんな敷居を高く感じている。だから、常設することで劇場に行く敷居を低くし、こんなに楽しめることなんだって体験してもらえれば、日本も少しづつ変わるんじゃないかなって思っています。 正直、ロングラン公演はビジネス的にはリスクが高い。けど、誰かがこういうことをやらないとダメですからね。〝日本発〞パフォーミング・アーツの可能性。―今回の優秀作品は、そのブルーマン専用劇場で舞台公演をする機会を、初の試みとしてご提供頂けるんですよね? もちろん「ブルーマン」は素晴らしいが、海外から来る作品ばかりではなく、もっと〝日本発〞のものも広めていくべきなんです。うちの劇場も、毎日公演しているわけではないので、その空いてる時間を、貢献できればいいなって思いまして。 やはり、言葉を使わないパフォーミング・アーツは、国籍、文化をこえて世界に広がりやすい。そしてストリートダンスには、その可能性があると思うんです。 特に日本は、世界的なストリートダンスの実力をもっていて、アニメなど世界に誇れる文化もある。間違いなく、〝評価される物づくりに対する土壌〞があるんです!なのに、こういう〝ステージ〞になると、どうして生まれないんだろうって思っていました。 きっと、素晴らしい逸材がどこかに眠っているだけかもしれない。どこに行ったら出会えるだろう!?って思った時、この大会の話をきいて「あっ、場が無かったから」なんだって。だから、今回の機会は本当に楽しみですね。―では、審査員としては、どういうことに重点を置いて観られますか!? 〝頭を柔軟にして観る〞ということですね。私とブルーマンの出会いがそうだったんですよ。かつて、まったく観劇に興味のなかった私が、初めてブルーマンを観た時、人生にこんな面白いものがあるのかってぐらい衝撃を受け、それが今のロングラン公演につながっています。だから、その感覚は、すごく大切だと思うんですよ! あと、5分って普通に考えれば短いですが、逆に5分で人より秀でたものを印象づけることは、まさに〝凝縮〞ですよね!? それができる人は、きっと90分の演出・構成もできると思います。そんな人に会った時、どれだけ感動するんだろうって楽しみにしていますよ!ストリートダンスと同じく、ストリート・パフォーマンスをルーツとしながら、今や世界的なパフォーミング・アーツとなった「ブルーマン・グループ」。日本では2007年より、世界初の専用劇場にてロングラン公演が続けられているが、その環境を実現させたのが〝ブルーマン・グループ〟の社長、新井勝久氏だ。彼の熱い視点に迫る!Profile広告会社につとめていた時代、「ブルーマン」の日本招聘を担当するためニューヨークへ。現地で初めてそのショーを見た衝撃から公演事務局長を専任する。本来は2年間で終了予定の興行だったが、さらなる可能性を広げるために独立を決意。資本を集めて劇場の権利を買い取り、昨年4月には新演目も加えてのロングラン再始動を実現させた。#03取材・文=木村恵子text by Keico Kimura写真=井上治photo by O-sam Inoueパフォーミング・アーツとしての視点。ブルーマングループ株式会社代表取締役/プロデューサー新井 勝久Stage ReportInformationブルーマンならではのストリート・アート感、そして専用劇場ならではの最新鋭設備を備えた「六本木ブルーマン・シアター」が『Legend Tokyo』優秀作品のオリジナル公演実現のために提供される!もちろん「SDM」誌面でも、この公演の全面広報協力を展開!『Legend Tokyo』優秀作品は、ブルーマン専用劇場で舞台公演ができる!今や全世界7都市で公演中。パフォーミング・アーツ界を代表する舞台公演「ブルーマン・グループ」! 〝青い3人組〟でおなじみの彼らだが、実際のショーはそのルックスより何倍も衝撃的であった! さまざまなオブジェクトをブルーマンらしい着眼点でアートを表現するツールとし、観客を巻き込みながらパフォーマンスを広げていく姿には、「何をしでかすのかわからない!?」スリルと楽しさを覚えさせられる。また、日本公演は、世界唯一の専用劇場ならではのダイナミックな演出が非日常を体感させてくれる!発想力と着眼点を武器に、誰もが楽しめるエンターテインメント・ステージを実現!Photo by James Porto■公演に関するお問合せ 03-5414-3255/blueman.jp一般の人にも広げたいなら、発想力や着眼点というエッセンスが必要。28

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