『SDM』 VOL.25
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DAZZLE 第5回公演Re:d2011.4.21(thu)-25(mon)@あうるすぽっとDAZZLE OFFICIAL HPhttp://www.dazzle-net.jp世界が認めた ネオ昨年の韓国招聘公演に続き、世界三大演劇祭の一つである『シビウ国際演劇祭』への招聘など、今まさに、日本が世界に誇るダンスカンパニーとしての存在を確立しているDAZZLE。そんな彼らの5回目となる公演が、今年4月、震災の混乱が残る中、幕を開けた。こんな時だからこそ、彼らだからこそ、伝えられた〝エンターテインメントの力〞とは?取材・文=木村恵子text by Keiko Kimura写真=和知明、飯野高拓photography by Akira Wachi、Takahiro Iino 未曾有の震災の影響により、数々の舞台公演が中止、延期を余儀なくされる中、予定通りの上演、全公演を完遂した第5回公演「Re:d」。 今作は、記憶をなくした一人の男、レッドが、唯一残された赤いメモを頼りに、失われた過去を取り戻そうとするところから物語が始まる。記憶をたどる中、現れるのはそれを阻止する赤い者たち。彼らはいったい何者で、何故過去を隠そうとするのか? その制止を振り切り、たどり着いた真実の過去は、思い出してはならないものだったのか……。 誰もが入り込みやすく、明瞭に仕上げられたなストーリーだが、その見せ方は、やはりDAZZLEならではの様々な技法と趣向が凝らされている。中でも今回目を引いたのが、一枚の大きな赤布だろう。それは記憶をかき消す波のようにダンサーを覆い隠したり、記憶の影を映し出したりと、シーンごとに多様な表現を創りだしていた。そして迎えたクライマックスでは、彼らがこのとき最も伝えたかったであろう〝絆〞が、哀しく、優しく会場を包みこんでいた。 観る者の心を動かす舞台としてもさらなる進化を続けるDAZZLE。今回彼らは、今の日本が必要としている、エンターテインメントの持つ力を存分に感じさせてくれたのではないだろうか。28

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