『SDM』 VOL.26
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審査員賞を授与したRuu作品について。 Ruuさんの作品はとにかく気になって、すごく応援したいと思えました。元気で、明るくて、笑顔。その全体的なバランスと言いますか、僕のような初心者にも、〝ダンスの楽しさ〞みたいなことを教えてくれた。またこの大会における、〝お客さんに伝える〞ということの大切さを、しっかりと見せてくれたような気がします。〝エンターテインメント〞の中で有名になって欲しい!〝観衆の盛りあがりを勝ちとる〞という、「ぴあ」的な観点で言うと、やはり梅棒作品には才能を感じざるを得ないです。僕もいち観客として、単純に楽しませてもらいました! イベント全体としては、確かに、新しい一歩は踏み出したと感じています。正直、今回の要素だけで、1チームが2時間を使い、5000円のチケット代を取る興行というのは難しいと思うんです。だから人と人、人と作品、人とパッケージなど、さまざまな要素の掛け算をしていく。そうすることで、コレオグラフ作品の可能性は一気に広がっていくんじゃないかと思います。 そのためにも皆さんには、もっともっといろんなエンターテインメントに触れて欲しいですね。そうして〝ダンス・エンターテインメント〞ではなく、ダンスを取った〝エンターテインメント〞の中で有名になっていって欲しい! また僕自身、この大会でたくさんのことを気づかせてもらいましたし、今後、いろんな分野、領域との乗り入れを模索していきたいと思うことができました。ぜひコレオグラファーの方とも対話して、新しいことに挑戦していきたいですね!審査員賞を授与したHASE作品について。 レベルが高い作品が多かったですが、自分としては一番に感じるものがあったのがHASEさんの作品でした。例えば「こういう人に演出をお願いしたい」という視点ですね。HASE作品は〝オーケストラ〞という、非常に表現しているものがわかりやすく、抑揚や起承転結があった。 そして何より、幅広い年齢の出演者ということも魅力的でしたね。実はリハーサルの時、「なぜ、こんなにご高齢の方が?」って思っていました。どんな方でも幅広く出演側でもダンスを楽しめる、そんな可能性を演出で魅せた所が素晴らしいし、やっぱり今回の大会は振付けと演出が肝だから、スキルだけではない、魅せ方にダンスの更なる可能性を感じさせてくれたところが輝いていました。客観的な視点に立たなければビジネスとして成立しない! 勝つためには、戦略的に考えることが大切なことだと思います。そこまで考えずに勝負した人は、厳しい結果になってしまったのではないでしょうか!?しかしそういうことをクリアし、上位にきた人は、適応能力からも今後、さまざまな振付けシーンで活躍できる可能性があると思います。 従来まで多くのダンサーは、「自分がやりたいことを見てもらえればいい」という人が多かったと思います。しかし、さらなる上を目指すならば、求めているものが何かという客観的な視点に立たないと、ビジネスというのは、なかなか成立しません。そうしたことを理解し、その上で何をすべきかを的確に捉え、実行することが出来た人が上位に来たのだと思います。審査員賞を授与したJunko☆作品について。 実際には太鼓を叩いてはいないのに、踊りでそれを表現するということが、僕にとって斬新でした。太鼓が見えてきましたからね! 手の動きも良かったし、振りもキレていたし、完成されていてグッと引き込まれるものがありました!発表会からビジネスにジャンプするきっかけに! 優勝した長谷川達也作品は、踊りと小道具すべてがマッチしていて世界観は抜群! さらにこれ以上何が表現できるのか見てみたくなりましたね。KAORI作品も秀逸。世界観があって、そこにダンスがちゃんと融合していました。あと私は、MEIKO作品にも独特の不思議な感じに引き寄せられましたね。 実は、今までストリートダンスって観ようともしていなかったジャンルなので、コレオグラファーの人達がどこまで出来るのか期待と不安がありました。結果は本当に素晴らしかった!やはり、これだけの能力と創造性を持った人たちがいるなら、この大会を続けて世界的なものとして昇華していかないともったいない! あとは、〝勝者はこの劇場で半年間ショーが出来る〞など、その先のゴールをさらに明快にしていくことが大事。そうすると、発表会からビジネスにジャンプできるので、そのきっかけとなる大会になれれば素晴らしいと思います! うちのブルーマンを通じても思うのですが、劇場に行く市場ってまだまだ広くないんですよ。それを広げるためにも、我々が同じ方向を向いて進んでいかなければいけないなと改めて思いました!音楽アーティスト業界の視点。エンタメ文化を広げてきた視点。パフォーミング・アーツとしての視点。観る人の視点に立てた作品は、エンタメビジネスの世界でも成功できる。これだけの才能や創造性を世界的なものに昇華していくべき!他の分野とかけ算をすれば、さらに可能性は広がっていく。エイベックス・プランニング&デベロップメント株式会社代表取締役社長青木 義人かつて手掛けたTV番組「RAVE2001」で感じたことを基に、エイベックス・グループ内で〝職業としてのダンスの成立〟にこだわったさまざまな事業を展開。avex artist academy、avex Dance Master、JSDAなど、その功績は多岐に渡る。ブルーマングループ株式会社代表取締役/プロデューサー新井 勝久ブルーマングループを6年かけて日本に招聘。依頼、驚異的なヒットを記録し続け、来年3月31日を千秋楽として、ついに4年間のロングランを完走する。制作、劇場運営からマーケティングまで、幅広い領域を手がけるプロデューサー。ぴあ株式会社取締役 最高執行責任者/エンタテインメント事業本部 本部長唐沢 徹1989年、ぴあ株式会社に入社。2010年から「ぴあ」の全事業を管掌する立場に。自社のメディア、コンテンツ事業により、イベント、クリエイター、コンテンツを広く世に紹介。またチケット事業により、さまざまなエンタメ・シーンの拡大・集客に貢献している。魅せるエンターテインメント作品の真実。33

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