『SDM』 VOL.26
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審査員賞を授与したKAORI作品について。 KAORI作品はもうアートでしたね! アートって普通のエンターテインメント・パフォーマンスとはちょっと違うんですよ。そのラインを越えたかどうかっていうのが、私たちには重要!作品創りって、スゴイ練るとある一線を越えるんですよね。「いいね」ってぐらいじゃダメなの。それを一番乗り越えられていたのがこの作品でした。日本人、才能いっぱいあるじゃん! 今回、「何かにいい才能に出会えるかな?」という期待はあったけど、それを超えましたね!私が他にも良いと思ったのはKATO作品。リズム感が良くて大地のように温かくて、ドラマチックなものではないけど、その本来の王道の所ですごくいい波動を感じました。Ruu作品も色の感覚も良くセンスを感じましたね。あと、TAIHEY作品にも惹かれるものがありました。 私はビジネスとして欲しいものは頭の中で決まっているので、求めるものの範囲で、どこまでクオリティの高い人に出会えるかということが肝になります。でも今回、「こういう表現があるんだ」と思う作品にも出会えたので、すごく得した気分(笑)! いや〜、『Legend Tokyo』って素晴らしいですね! すごくパワーのある、エネルギッシュなスポットだと思います。私たちは才能あるアーティストと出会えると、作品が生まれるんですよ。だから刺激を受けるというのはとても素晴らしいことで、ありがとうって言いたいです!「日本人、才能いっぱいあるじゃん!」と思って、すごく嬉しくなりました!審査員賞を授与したカミジョウタケル作品について。 例えば、すごく完成された作品であったとしても、こちらが予想つくことを見せられても意外性が無いんです。それを裏切ってさらに新しいものを出してくれないと、「よくあるよね」ってなってしまう。そういう意味でカミジョウタケルさんの作品は、それを裏切ってくれた。主役以外のいろんなキャラクターを、しっかり活かして表現しつつ、〝to be continued〞を感じさせるのは才能。5分で表現しきれなかった部分を、今度は見てみたいなと思いましたね。次回はぜひ20分ぐらいのショーで開催を! 私はあくまでも〝90分で勝負になるかどうか〞で見ています。今回、振付師の方たちのウリや、伸びしろをプレゼンするための作品だと思って観せて頂きました。そういう意味では、井島剛作品は不気味な感じでとても面白かったので、ちょっと次が楽しみな将来性を感じましたし、引き算されている創りがセンスを感じました。KAORI作品はセンスもいいし、集団として統率力の取れたダンスで素晴らしかったです。宝塚の群舞とかを創ってもらったらすごく面白いと思いますね。あと、KATO作品はフォーメーションも素晴らしく、〝これぞストリートダンス!〞という感じで、下手に奇をてらっていないのが、とても好感持てました。 『Legend Tokyo』へ今後の注文をするとしたら、やはり、ショービジネスの世界の視点から言うと5分は短い! 出展チームを10組程に絞って、20分ぐらいのショーにするなどしてもらえたら、また将来も広がりますよ!審査員賞を授与した梅棒作品について 全体としてストーリー性とテンポ、そして観客を楽しませることを重視した構成がとても良かったですね。そして、その演出を衣装なりダンスなりで実現するダンサーの皆さんもまとまっていたし、何しろ楽しませてもらいました(笑)! 広告で使ったり、映画の1シーンに出演してもらっても面白いと思って、とにかく一番印象に残りました。何かとコラボする形でビジネスを実現できれば。 今大会は、自分たちをどうやってアピールしようかということを、25組それぞれが工夫をしていて素晴らしかったと思います。実は、審査員賞をどちらにしようか迷ったのはRuu作品。女性の魅力的なところをいかに引き出すかを考え抜いていて、それを裏付けるようなカラフルな衣装もよく見ると凝っていたし、非常に細かく計算して演出されているなと思いました。私もイベントを数多くやっているので、何かしらとコラボレートする形でビジネスが実現出来れば良いなと思いました。そして、今後この大会を、ショービジネスとして成り立たせていくのであれば、5分ではなく、例えば〝1時間半のショーに5000円を払ってお客さんに来てもらう〞ということを目指していけば将来性が出てくると思います。 ただ、25組という数は結構大変だったので、予選形式にしたりなど改善点を見直すことが重要ですね。でも、これだけダンスを観るという人たちが増えてきたということは裾野が広がって来たと思うので、お金を稼げるエンターテインメントへの道が開ける可能性があると思います。ダンス公演事業としての視点。ミュージカル界の視点。広告・映画界の視点。あくまで〝90分で勝負になるかどうか〞にこだわった。お金を稼げるエンターテインメントへ道が開ける可能性がある!作品創りにある一線、そのラインを越えたかどうかが重要。阪急阪神東宝グループ株式会社梅田芸術劇場東京事業部長・チーフプロデューサー村田 裕子90年より梅田芸術劇場公演プロデューサーとして活躍。プロデュース公演からは、TAKAHIRO、熊川哲也など、第一線で活躍する振付師を多数輩出。また、ダンスと他ジャンルを融合させた企画公演も多数成功させている。株式会社メディアウェイブ代表取締役多木 良國名だたる大手企業のエンタメ系広告・イベントを多数手がけてきたプロデューサー。映画の公開プロモーション事業では「マトリックス」など多くの有名映画を手がける他、ハリウッド映画のコンテンツ制作にも深く関わっている。音楽座ミュージカル/Rカンパニーチーフプロデューサー石川 聖子かつては欧米ヒット作の翻訳公演が主流であった中、日本人の気質に合うオリジナル作品を創りあげた〝音楽座ミュージカル〟発足以来のチーフプロデューサー。その作品は、文化庁芸術祭賞など数多くの演劇賞を受賞している。34

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