『SDM』 VOL.26
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審査員賞を授与したHIDETOMO作品について。 日本文化を非常に上手く取り入れていましたね! ストーリー性があり、小道具をうまく使っていて、日本の着物に近い衣装も素晴らしい! 伝統文化と現在のダンスをうまく取りいれていることにキャリアの説得力があって、すごく見入ってしまいました。ストリートダンスは普通、アメリカに学ぶ人が多いんだけど、ちゃんと日本的に表現できる個性に魅了されました!来年はぜひ、〝アジア枠〞の創設を! 私が密かに感心したのが、照明とダンスがとても合っているというか、ホール・リハーサルは1日しかなかったのにスゴイと思いました。そういう部分でも技術が高かったですね。 ダンスの面で言えば、日本のストリートダンスの文化は社会全体でうまく盛りあげていると思いました。これまでに私が想像していた日本のストリートダンスは、〝アメリカの模倣〞が大多数なのかなと思っていたんですけど、この大会でだいぶ印象が変わりましたね! 個性的で表情もあり、振付けや衣装も非常に良く工夫されていました。 レベルも本当に高いし、音楽やファッションの分野も含めて、日本がアジアをリードしていることを再確認しました。だから日本も一緒に、アジア発として色んな国々が一体となってこのシーンを盛りあげていきたいですね! 中国や韓国も表現力があるし、文化も近いので、来年も大会が開催されるならば、〝アジア代表〞という枠を作って欲しい。もっと面白くなっていきますよ! それは本当に「SDM」さんに強くお願いします!審査員賞を授与したKAORI作品について。 KAORI作品はとてもアーティスティックで素晴らしかった! この作品の良さは、ノンストップですべてが解るというところですね。だいたいアーティストが創るものというのは、ストップがあって、そこで内容を再確認させるスタイルが多いんです。でも、そのスタイルをとっていないのに、ほど良いわかりやすさがありました。KAORIのエンターテインメントには大きな期待を感じますね!『Legend Tokyo』は、エンターテインメントの塊! この大会は本当にエンターテインメントの塊! 25作品それぞれがエンターテインメント性と才能を兼ね備えていました。普通、コンテストは出場チームの中で良いと思うチームはだいたい2〜3チームぐらい。でも、今大会は素晴らしいチームが多くて、本当にジャッジに時間がかかりました。 優勝した長谷川達也作品は、とても美しかったし、ぜひアメリカに呼びたい! 「アメリカのシーンで何かを巻き起こしてくれるのではないか?」と期待しています。他にも、全体的な構成がとても良かったKATO作品も印象に残りました。そして、Junko☆作品は、パンキングの腕の使い方がパワフルで、曲に合っていたのですごく良かったですね。 僕は、これからストリートダンスというものは、上を向いていくと思っています。特にこの『Legend Tokyo』は1つの大きい団体として、情熱やエナジー、そしてエンターテインメント性とタレント性があふれていたので、これからの可能性をとても感じました!審査員賞を授与したJunko☆作品について。 パンキングは普通、ヒップホップなどの何か別のジャンルに1つのテイスト的に取りいれることが多かったのですが、この作品は完全にそれだけで見せたことにより、1つの作品として新しいものが生まれたと思いました。1つのジャンルを使ってあれだけの色んな形の表現が出来たのは、おそらくJunko☆さんの統制力が素晴らしかったんだとと思います。私たちが求めるのは、空間全体を使った作品づくり。今回は〝私個人〞ではなく、〝シルク・ドゥ・ソレイユ〞が探している人材という視点で審査にあたりました。ですので、視覚的なものだけではなく、〝お客さんを含んだ空間全体を使った作品づくり〞ができた人を選ばせて頂きました。個人的には作品を観ていてすごく気持ちが高まったし、見ていてエモーショナルな気持ちになりましたね! 日本に限らず、『Legend Tokyo』のようなコレオグラファーのための大会って、そんなにないですよね? ダンサーがプレイヤーとしてのキャリアを築いていくのは重要ですが、いつか自分自身を奮い立たせないと、なかなか次のステップにはいけない。でも、こういう大会があることによって、ダンサーがプレイヤーとして終わるのではなく、次の段階〝振付師〞としてのキャリアをしっかり磨いていこうと考えることができると思うんです。『Legend Tokyo』はこれからも続けていくべきだと思いますしシルク・ドゥ・ソレイユとしても、応援していきたい。私は今回のことをそのように報告したいと思っています。世界最高峰の大会の視点。アジアに広げるための視点。世界的なクリエイティブの視点すべてが情熱やエナジー、そして素晴らしい才能にあふれていた!この大会があることで、ダンサーは次のステップを見据えて努力が出来る!アメリカの模倣ではなかった、日本のストリートダンス!アメリカ『VIBE Dance Competition』オーガナイザーJason Park12才よりブレイクダンスをはじめ、09年『VIBE』で優勝。同年に大会の運営プロデューサーを引き継ぎ。また、さまざまなショーイベントの運営、Jayvee Dance Centerのマーケティング・ディレクターも務める。カナダ シルク・ドゥ・ソレイユキャスティング部タレントスカウトダンス部門担当Nicole Lamontagneクラシックとコンテンポラリーのプロダンサーとして世界各国で活躍。アートに対する抜群の歓声と組織構成能力を活かすべく、08年にシルク・ドゥ・ソレイユに参入。世界各地から集まる〝新たなるダンスの才能発掘〟を担っている。中国上海城市演芸有限公司副総裁朱 寅中国最大級の興行会社である〝上海シティ・エンターテインメント・グループ〟の副社長。SMAPなどの日本人アーティストの招聘公演を数多く開催するなど、日本とアジアの音楽シーンに精通するキーパーソンとして活躍している。魅せるエンターテインメント作品の真実。35

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