『SDM』 VOL.26
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AZZLEhe philosophy of DAZZLE※池袋にある劇場「シアターグリーン」で毎年開催されている『グリーンフェスタ』。フェスの期間中に同劇場で開催されたすべての舞台公演(参加団体)が、評価対象になり、専門の審査員と一般審査員によりグランプリが決定する。 ダンスシーンで世界に進出するには、国際的な大きなコンテストや大会で優勝したり、どうにかして海外のイベントオーガナイザーと仲良くなるとかしかないと思いますよね。でも、そうじゃない方法もあります。それが「国際舞台芸術ミーティング(略称:TPAM)」なんです。 少し話はそれますが、僕らが2009年に自分たちの公演を行なう時、たまたま会場の都合で※演劇祭にエントリーすることになりました。そこで、かなり異例だったらしいのですが、ダンスの団体である僕らDAZZLEが他の多くの演劇団体をおさえてグランプリを獲得できたんです。それまで演劇の世界というのは考えてもみなかったけど、同じ舞台芸術の作品として、いい作品を創ればちゃんと評価してもらえるところだとわかったんです。 それから、TPAMの存在を知り合いから聞いて、DAZZLEとしてエントリーすることにしました。そこで初めて、海外にはどういうイベントがあって、どういう人(作品)が求められていて、どういうプロセスで行くものなのかを知ることが出来たんです。バレエやコンテンポラリーの世界で日本の団体が海外に招聘されるのも、ここで認められたからだったんですね。 DAZZLEはここでのプレゼンが認められて、後に韓国、ルーマニアと国際的なフェスティバルに招聘されるようになっていきました。 ダンサーとして活動しているのならば、より多くの人たちに自分のやっていることを見て貰いたい、評価してもらいたいという気持はあると思います。僕たちも「自分たちがやっていることはどこに行ってもちゃんと評価されるハズだ」という気持ちから、海外で活動することに対する欲求がありました。例えば漫画やアニメのように、日本の文化で海外で評価されているものって沢山ありますからね。 そうやって自分たちの存在を世界に広めることって、日本で活動することにも結びついてきます。海外でこういう評価を受けたという経歴には説得力が生まれるし、実際、日本でも僕らを見る目が変わりました。正直、海外で活動したところで莫大なギャラがもらえるわけでもないし、赤字になることさえあります。だから、自分たちのプロモーションとして、日本での活動の幅を広げるという意味でも、世界への進出は意味があることだと思いますね。 現在、「日本のダンサーが海外から招聘される」ということは、バトルジャッジやワークショップなどでソロとして呼ばれるケースが稀にある程度であり、チームとして呼ばれることは皆無に近い。そんな中、DAZZLEは日本のダンスチームとして海外2ヶ国で約100分の舞台作品を披露し、大きな好評を博している。多くの日本人ダンサーが目指す〝世界に通じるダンサー〞をチームとして体現している彼らが、世界への道を指南する!The philosophy of DAZZLE独創的考の世界に出るために必要なこと第一回世界に進出すること二.世界に出る、その方法。一.なぜ世界に進出するのか。スメ近年、大きな盛りあがりを見せつつある日本のストリートダンス・シーン。しかし、多様な情報があふれる現代では、「どうすれば他より抜きんでることができるのか」を考え、実践するのは容易ではない。そこで「SDM」では、『Legend Tokyo』で〝1st Legend〟に輝いた長谷川達也を講師に迎え、全6回の誌上講義を実施! そのオリジナリティの哲学を、DAZZLEの実体験を基に伝授します!日本のさまざまな舞台作品と海外をつなげるイベント。海外から多くの劇場やイベントの関係者、プロデューサーが集められ、エントリー団体は彼らに自分の団体をアピールすることができる。ブースの出展、大型スクリーンを使用したプレゼン、パフォーマンスの実演などさまざまなプレゼン方法があり、エントリー費もある程度の額(¥3万~)が必要となる。国際舞台芸術ミーティング(TPAM)とは?TPAM公式サイトhttp://www.tpam.or.jp/「ブース・プレゼンテーション」では、それぞれのブースで紙資料の配付、PCを利用した映像説明などが行なわれる。一般的なプレゼンと同じようにスクリーンを使用してプレゼンを行なう「ビジュアル・プレゼンテーション」。作品として、チームとして思指南=長谷川達也、飯塚浩一郎lecture by Tatsuya Hasegawa,Kouichiro Iiduka構成=長濱佳孝constructed by Yoshitaka Nagahamaス。ある程度の長さの作品これは日本でもそうですが、パフォーマンスとして一般の人を楽しませるにはある程度の長さが求められます。「5分のすごいパフォーマンスが出来る!」とアピールしたところで、「1時間ぐらいできない?」と聞かれますね。11オリジナルの楽曲やはり興行として、ちゃんとした大きなイベントでは使用曲がオリジナルであることが求められます。シビウ国際演劇祭の時も、何度も「曲は本当にオリジナルの楽曲だよね?」という確認をされました。22テクニカル面での自給自足小道具や大道具、衣装、映像などのテクニカルな部分をダンサー自身が作れる、調整できるというのは海外に行く上で非常に大きいです。専門の役職を連れていくのが一番ですが、金銭的に余裕がない内は厳しいですね。33どんな不測の事態にも対応できる強い心正直、海外は何が起こるかわかりません。担当者とどんなに事前に密に連絡をやりとりしても、あるハズの道具や設備、人員がいないなんてことはざらにあります(笑)。起こりうる事態の予測と強い心が必要です。44長谷川達也(DAZZLE)長谷川達也(DAZZLE)飯塚浩一郎(DAZZLE)飯塚浩一郎(DAZZLE)語り手62

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