『SDM』 VOL.28
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VIBE Dance Competition―今回、『VIBE』に作品を出展してみていかがでしたか!?YouTubeで観て、ある程度は研究していましたが、想像していたことと現地で体感した世界が大きく違いましたね。お客さんの沸き方、表現者のあり方、日本と違うことは知ってはいると思っていましたが、あくまで漠然でした。―実際、どういった部分が違った--と思いますか!? まず、出演ダンサーがあまりに上手くてビックリしました。1作品40人もいるのに、みんな日本のゲストクラス! 後ろの方で踊っているダンサーまで揃っているし上手いんです。そして驚くのは、あのユニゾン力! 日本だと想像できないレベルまで振付けがキッチリ揃っていますよね!? 正直、今まで振り揃えは日本人の方がスゴい、アメリカは個性が強い国民性だと思っていましたが全然違かった。実際はダンサーの個性よりも、集団としてのフリ揃えを重視しているみたいですよね。振付けも揃えることを重視しているから、それを逆算して作っているみたいでした。やはり現地の嗜好に合わせて、若干バージョンを変える必要があったと思います。大会に出るなら、その大会のこと知るべきでしたね。―作品の出来栄えに関しては、いかがでしたか!? 照明には苦労しました。若干なら照明プランを出せると聞いて、伝えることは伝えたのですが……、映像を観て、やっぱ違うな〜って。オープニングも「中心だけ見える明かりにして欲しい」と伝えたのですが、いきなりステージ全体赤くなって驚きましたね。「多分、曲が盛りあがってからステージ全体を赤っぽく」と伝えたのが上手く伝わっていなかったんです。―日本との違いとして、どんなことを感じましたか!?現地の作品は、ほとんどが承転転結や流れがない感じでした。その分、派手さでお客さんを沸かせる感じです。本当にアメリカの国民性がよく出ていたと思います。お客さんも「いいものはいい!」と素直に反応してくれるし、観客みんながすべての作品を楽しもうとしている。自分が応援しているチームの演目が終わっても誰も帰る人はいない。特にリハーサルの時、知ってる知らないに関係なくいいチームには声を出して応援している光景にはビックリしましたね! そんなこと日本にはないじゃないですか!? 大会が終わった後も、いろんなダンサーが僕らに声をかけにきてくれて、「素晴らしかった」って言ってくれました。あの1日で、もう出演ダンサーの1/3ぐらいの人に声かけられたんじゃないかという感じです。今回、『VIBE』を生で体感した経験は非常に勉強になったと思います。大人数でのユニゾン力、構成の仕方、そして振付の発想自体、僕が持っていなかったものをたくさん学ぶことができました。 惜しくも入賞ならずとも、すでに大会終了後、多くの現地ダンサーたちがこのような意見を発信している。「入賞など関係なく、この作品は本当に素晴らしい!」、「今回、『VIBE』で、この作品に出会えたことを感謝している」、「またいつかLAに戻ってきて作品を見せて欲しい!」。 彼らの圧倒的に完成された世界観に大きなインスピレーションを受けたダンサーは少なくない。 2つ確かなことがある。現地はL.Aが世界の頂点だと知っている。そして、DAZZLEのように繊細なダンスの表現作品を観たことがない。まさに「ド派手なハリウッド映画の世界に、初めて『おくりびと』のような映画が公開された」状態なのだ。だが、今は邦画も充分にハリウッド映画と互角に評価されている。そのためにはまず、発信し続ければいけない。 未来に向けた大きな一歩、それを彼らはアメリカの地に残してくれた。HERO interview!! 『VIBE』のステージを 体感してみて。男性ダンサーで、ここまで精細な舞台メイクをしていたのは彼らだけ。海外だからといってディティールも手は抜かない。『VIBE』開催当日。KAORIと共に現地作品のリハーサルを見学、その傾向を研究する長谷川達也。ちょうどL.Aではシルク・ドゥ・ソレイユによる『マイケル・ジャクソン イモータル』が開催。メンバー全員で観覧!ハリウッド大通りにて。タイトなスケジュールをこなすため、ダウンタウンに宿泊。基本的に電車を使って移動する。空港到着4時間後には、すでにリハーサルを開始! 作品上、外ではできないので、現地のレンタルスタジオを使う。DAZZLE創作に対するインスピレーション。その素晴らしさを、多くのダンサーに伝えたDAZZLE!検索ワード「VIBE 17 DAZZLE」大人数でのユニゾン力、構成の仕方など、見たことが無いパワー! とても勉強になりましたね。コレオグラファー:長谷川達也〝日本のオリジナル〟を、 世界にレペゼンした先駆者たち。まさに前人未踏のステージに挑み、素晴らしいかたちで日本の創造力を伝えてくれたKAORI ALIVEとDAZZLE。最後にこの2つのクルーが世界最高峰の地、L.Aに刻んだ偉大な足跡をここに記す。日本人コレオグラファーが創る作品を、マンガやアニメ、ゲームのように世界のダンスシーンが注目するようになる日は、遠い未来の話ではないかもしれない。27

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