『SDM』 VOL.29
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さらなるダンス・エンターテインメントの才能に出会うべく、開催された予選大会。本戦とは異なり、予選では照明をつくることは出来ず、大がかりな舞台セットも存在しない。その分、コレオグラファーの振付けや構成力、演出力のレベルがシビアに見られる大会となった! コレオグラファーにとってはごまかしがきかない条件の中、それぞれの作品の出演ダンサーたちは純粋な身体表現を駆使し、それぞれのアプローチで個性的なパフォーマンスを展開! 物語性のある作品やコンテンポラリーのような芸術性の高い作品、さらにストリートのスタイルで構成にこだわった作品など、どれも方向性の違うハイレベルな作品だけに審査は難航。結果、当初予定されていた本戦出展枠が1つ増え、計4作品が本戦への進出を決めた。 壇上に上がり、それぞれ歓喜の表情を浮かべたコレオグラファーとダンサーたち。8月の本戦でも、大きな感動を与えてくれるだろう! それぞれのコレオグラファーが、〝ダンスのエンターテインメント作品〞というものをよく勉強してきているのがわかりました。しかし、多くの作品の終わり方がちょっとおしい感じでした。起承転結をわかりやすくして、もっと見やすくする工夫も必要でしたね。あと、ウォーキングやアクティングに重きをおいて、踊ってる部分が見せきれてないのがもったいなかったので、いかに〝ダンスの良さ〞を見せられるかを追求してほしいと思います。 それぞれのコレオグラファーでアプローチの方法が違いますから、優劣をつけるのはとても難しかったです。ステージには様々な要素があって、その1つ1つの要素にどれだけこだわれるかも勝負だと思います。〝人の心を動かすものは何なのか〞ということは常に追求してほしいですね。 今回の審査では「いかに自分たちのダンスを作っているか」というところを見ていました。少し演技やインスタレーションの部分が強い作品が多かったですが、最優秀賞のMKMDCは全体的にバランスも取れていて良かったですね。他の3作品も、それぞれ足りなかった部分に磨きをかけてくれば、8月の本戦も面白くなってくると思いますよ。死後の世界を美しくもユーモアあふれるタッチで表現。衣装やスタイリングにもこだわりが伺えた。『legend of the living dead』Choreographer/秋吉朝子永久の美しさを持つプリザーブドフラワーをコンセプトに、立体的な構成を展開した。『やまとなでしこ~プリザーブドフラワー』Choreographer/minecoアクティングや小道具を駆使したストーリー性のある作品。派手なアクロバットで盛りあげた。『貴人』Choreographer/幸重さのあるクールな振付け、そして計算し尽くされた美しいフォーメーションが秀逸であった。『Life Art Complex』Choreographer/TAKABO&Manaダンサーの配置によって独特の空気感を演出し、ひときわ個性的なアプローチが際立っていた。『EMPTY INC』Choreographer/梨本威温スタイリッシュなヒップホップで、人間のアイデンティティに関わる深いメッセージを表現。『Zero』Choreographer/KENSUKE今までの彼らとはひと味ちがった、朝の訪れを感じさせるような爽やかな作品を見せてくれた。DAZZLE1st Legend巧みな構成力と展開力、そしてチームワークの良さで、壮大なストーリーを高い完成度で描ききった!『Kung Fu Generation』KAZ produce pieceネクストジャパン株式会社 代表取締役SAM株式会社ジールワールドワイド イベント企画制作プロデューサー今井貴雄来る8月2、3日の本戦に向けて、5月から全出展作品のワークショップ&公募オーディションが開催! オーディション詳細、また本戦の観覧チケットに関することはオフィシャルサイトをチェックしよう!ファースト・レジェンドコレオグラファー/演出家長谷川達也(DAZZLE)ぴあ株式会社プロデューサー/株式会社東京音協 取締役開発事業部長石垣 朗株式会社メディアウェイブ 代表取締役多木良國ゲスト作品審査員は大会をこう見た!Legend Tokyo Chapter.2 オフィシャルサイトhttp://legend-tokyo.com/chapter02/information 全体的にストリートっぽいというよりも、どちらかというと幻想的なイメージの作品が多かったですね。その中でも、与えられた5分の間に構成やダンスのスキルによってガツンとわかせてくれるポイントがより多いところは評価が高かったです。演技を入れるのもよいですが、それが自然とパフォーマンスに融けこんでいた作品が、今回予選を通過できたのだと思います。 レジェンドは昨年の大会結果から「こういう作風が受賞する」と思われている人も多いかもしれませんが、どんどん新しい風を吹き込んで欲しいと思っています。その中でもこの予選でのMOTOさんの作品は振付けにも新しい点があったし、さまざまな工夫があった。何より安易な演出の勝負に逃げず、ヒップホップをベースにしたダンスの表現で戦い抜いたのが良かったですね。全出展作品31

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