『SDM』 VOL.29
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PROFILE:日本のストリートダンスシーンにおける伝説的チーム、BE BOP CREWの創始メンバー。NYアポロシアターのアマチュアナイトに日本人として初出場し、準優勝を果たすなど数々の伝説を残す。日本のダンスシーンにおける有識者としてTVやメディアに出演、〝ストリートダンスの神様〟との呼び声も高い。坂見誠二坂見誠二boogiezone utopia>>5月未定 ※詳細は下記HPからLesson Information坂見誠二ワークショップSOUL AND MOTION>>月曜 18:00~20:20http://www.soulandmotion.com/tokyo/SAMレギュラーレッスンhttp://www.boogiezoneutopia.jp/わかりやすい文化に作り上げたのはアメリカ。SAM:僕もよく生徒に「アメリカに行くならどこがいいですか?」って聞かれますけど、今の流行的にはLAだけど、人生の中で1回はNYに行った方がいいよっていいますもん。誠二:やっぱりその2つだよね。オールドスクールの頃はLAで、ヒップホップはNY、今はまたLAスタイルが流行ってて。NYとLAで交代に流行を作っている感じはあるね。―お二人の実感としても、やはり今の流行はLAですか?SAM:LAはやっぱりビジネスとして成立してますよ。毎日レッスンとオーディションの連続で、ああすれば受かる、こうすればダンス上手くなるとか、仕事としてのダンス環境がすごいですから。誠二:NYはまた全然ちがうよね。ライフスタイルというのもあるけど、人に受けることなんて考えて無くて、自分がかっこいいと思っているものにプライドをかけて踊ってる。SAM:そう、絶対にひかないですよね、ニューヨーカーは!誠二:NYって、通りを少し歩くだけで世界中の人種とすれ違える小さな地球なんだよね。だからニューヨーカーはダンスでもファッションでも、何でも「俺らは世界一」って思ってますよ。―やっぱりアメリカのダンスシーンが世界を動かしているんですね!誠二:一口にアメリカと言っても、大きくわけて3つに分れているんです。NYのある東、LAのある西、そして真ん中。実はこの真ん中が、一番重要だったりするんですよ。SAM:確かに、ハウスが生まれたのもシカゴって言われてますし、セントルイスとかアトランタなんてすごい動きしてる黒人がわんさかいますよね。誠二:セントルイスの奴らなんか、もう身体の使い方が強烈! だから難しすぎて流行らないんだよね。日本人なんか絶対マネできないだろうし。でも新しいスタイルのヒントは全部そこにあって、それをNYやLAがどんな人種でもできる、わかりやすいスタイルにかみ砕いて流行らせる。SAM:難しい動きの雰囲気をすくいとって、わかりやすくアレンジするのがNYとかLAのダンサーは上手いんですよね。誠二:NYとLAは、日本で言えば東京と大阪みたいなもので確かに重要。でも、昔でも今でも、本当に行くべきアメリカは真ん中だと思うね。―ではアメリカに対して、ヨーロッパのダンスシーンに関しては何かご存じですか?誠二:やはりヨーロッパのダンサーも、自分たちが世界一だと思っていますよ。SAM:フランスなんか、NYから色んな影響受けているのに、NYは歴史が短いとか文句言ったりしますからね(笑)。誠二:NYにダンス習いに行ってるし、NYのダンサーをワークショップで呼んでいるのに、「影響は受けていない」って言い張るよね(笑)。やっぱりアメリカに対しては、負けないって想いが強いんじゃないかなって思うよ。SAM:そういう意味では、ヨーロッパのダンサーはNYの技術とか雰囲気を自分のものにするのは上手いし、テクニックもすごいですよね。誠二:「取り入れるものは取り入れるけど、そのままやりたくない」ってプライドが出てるんだろうね。だから、今まで見たこともないようなワザも作るし。やっぱり同じ黒人文化から生まれたダンスでも、場所的にも近いから「俺らはアフリカを直接見ているんだ!」って思ってる。マイケルジャクソンは大好きなくせに(笑)。SAM:さらに同じヨーロッパといっても、フランスやドイツ、イギリスでもダンスは違ってくるし、やっぱり国民性がダンスにもはっきり表れますよね。―最後に、アジアのダンスシーンについては、お二人はどうとらえていますか?SAM:中国は発展途中で韓国と台湾が盛り上がってる、ってイメージですね。誠二:ダンスシーンというわけではないけど、日本の芸能シーンにも露出してる韓国のアイドルグループのBIG BANGと2NE1は面白いですよ。音楽と踊りとファッション、全部LAの最新スタイルでがっちり固めてますから。SAM:確かにこの2グループはすごいですよね。日本の芸能シーンじゃ見られないスタイルだから、日本からもこういうグループが出てきて欲しいです。―なるほど、日本もうかうかしてられない感じなんですね!誠二:そうは言っても、アジアの中では確実に日本が一番だと思いますね! 最近キッズダンスのレベルの高さも、ちゃんとダンスを教えてきた環境の歴史があるからなんですよ。SAM:やっぱり僕らも日本人としてダンスのプライドはありますからね。リズム感やグルーヴに関しては日本が一番です。誠二:振付けに関しても考え方や発想力、そういったところでまだまだ日本は負けていません。ただ、ダンス的には負けないけど、これからはビジネスも含めた土壌としても発展させていきたいですね!真に注目すべきアメリカの都市ヨーロッパ各国のプライドアジアにおける日本のプライド61

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