『SDM』 VOL.30
41/68

STAGE REPORT取材・文=長濱佳孝 text by Yoshitaka Nagahama写真=飯野高拓 photography by Takahiro Iino代表作の再演、進化した怪奇なる和の世界。 3年前に初披露され、以後、世界各地で大きな喝采を獲得しているDAZZLEの代表作『花ト囮』の再演公演が開催された。もちろん単なる再演ではなく、そこには多くの〝DAZZLEが進化した証〟が散見された。 物語は、弟と間違われて呪われた館に仕えることになった青年を軸に展開される。そこでは悲しくもおぞましいシーンが繰り広げられ、中でも注目は4枚の移動式の障子だ。この障子を組み合わせることにより、館の廊下や部屋、縁側など、さまざまな場面が瞬時にして展開させる。さらに、障子の特性を使った照明効果やダンスのルーティンにまで取り入れられた緻密な演出は、まさにDAZZLEならではの技法だ。 また、今回の再演にあたり、一番大きく変化していたのが登場人物たちの衣装だ。世界的な衣装デザイナーとして知られる北村道子氏が担当したという衣装は、初演時と比べシンプルかつ抽象的な装いに変化した。より表現の力量が問われるこの変化から、彼らの表現者としての挑戦する姿勢が伺えた。 ダンサー以外の一般層のファンはもちろん、その演出技法を研究するために多くのダンサーが来場していたこの公演。一般客はただそのエンターテインメント性に感動し、ダンサーたちはその質の高いパフォーマンスに同業者として絶句していたというエピソードからも、今回のDAZZLEの公演が世に与えた影響は大きいと言えるだろう。DAZZLE official HP http://www.dazzle-net.jp/DAZZLE The 6th Performance花ト囮Misty Mansion12.04.11(水)-04.15(木)池袋・あうるすぽっと4枚の移動式の障子が、舞台上に無限の空間設定を創り出す再演となった今回、すべての衣装が一新。写真は館に巣くう禍々しい蜘蛛。物語の主役となる悲劇の兄弟。弟の特別な血液が呪われた運命を引き寄せる……。物語のクライマックス、花吹雪の中のルーティンが幻想的だ。ダンスのみならず、計算し尽くされた舞台空間の構成がDAZZLEの持ち味だ。今回、新たに加わった、灯籠の光が幻想的なルーティンダンスのシーン。衣装、音楽、動き、すべてが幻想的な雰囲気を醸し出す〝狐の嫁入り〟のシーン進化し続けるステージング、待望の凱旋公演が開催!ステージ上のさまざまな場所に映像が映し出され、臨場感を演出する。物語の核となる、呪われた館の主とその息子。息子を救うために招かれた兄弟だが……。39

元のページ  ../index.html#41

このブックを見る