『SDM』 VOL.31
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「誰よりも客席に感動と熱狂を」、つらぬき続けた、ダンス・エンターテインメントの完成形! その名前がMCからコールされるだけで、会場からは歓声がわきおこる。既に〝誰もが観て楽しめる作品〟に定評のある梅棒だが、今回の彼らはひと味違った。全員でのユニゾンを踊り出した瞬間、さらに大きな歓声が沸き起こったのだ―。 ダンスシーンにおいて、彼らは常に〝異端児〟だった。「踊りは気持ちだ!」という信念のもとに繰り出される作品はJ-POPの1曲使い、笑いあり、涙ありの喜劇的パフォーマンス。観る者の高い評価とは裏腹に、およそ「ダンスのコンテストで優勝する」という目的には難しいスタイルだ。 『Legend Tokyo』においてそのスタイルは大きな武器であるが、前大会では高い評価を得ながらも優勝を逃す。その挫折をバネに今大会に挑む彼らの導きだした答えは〝ダンス面の向上〟だった。―それまでとは違う、高いレベルで寸分のズレなく揃ったユニゾン。男性のみの出演メンバーによる力強くキレのあるジャズの振付けは、まさに全員の気迫が伝わる、鬼気迫るものがあった。 もちろん、彼ら本来の持ち味である、老若男女誰でも初見で楽しめるストーリーは健在。空手少年と女子高生のカップルに横恋慕する不良、何をやっても敵わない絶体絶命の空手少年にそのとき起こった奇跡とは……?驚きと熱狂、感動に衝撃、まさに客席をこの日一番に盛りあげたと言えるだろう! 異端児から〝ホンモノ〟へ。彼らがこの日、見せた作品はダンス・エンターテインメント作品の1つの完成形と言えるほど、大きな輝きを放っていた。観る者すべてを 熱き男たちの梅棒の持ち味はなんと言っても、作品の〝ストーリー〟。何の前情報や知識を必要とせず、老若男女の誰もが理解し、楽しむことができる。セリフを用いずに、ダンスパフォーマンスだけでそれを表現することができるというのは、かなりレベルの高い技法と言えるだろう。Point.1誰もが楽しめる〝ストーリー〟WINNER’S PIECE REVIEWLegend Tokyo Chapter.2物語の盛りあがりに沿って、一番効果的な構成やフォーメーションを配置する。その手腕は、演劇シーンでも活躍する彼らならではと言っていいだろう。恋愛やバトルなど、ストーリーも誰もが共感できる王道の展開。まるで少年マンガのような熱い展開や逆転劇が、観る者の心を強く動かす!17

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