『SDM』 VOL.31

20/68

―今回の作品、最初のユニゾンの揃い具合がすごかったですね!踊っていて歓声は聞こえました!?今人‥もちろん! 「そうそう、この反応が欲しかった!」という気持ちでしたね! 一発目の踊り出しまでに曲調が高まってユニゾンがガツンとくる、そういう狙いで曲を選んだし、「最初に盛りあがりを持ってこよう」という狙いがありました。だから最初のユニゾンはレジェンドに向けた初練習でフリ入れしたし、毎回の練習をビデオで撮って、フリを揃える研究をしていたんですよ。拓矢‥やはり「レジェンドで勝つためにはどうするか」をしっかりと考えたら、結局〝ダンスコンテスト〞という部分に立ち戻ったんです。今までの梅棒の作品で客席が沸くところと言えば芝居やネタの部分。でもそれじゃ勝てない、ダンスのコンテストなんだからしっかりと〝ダンスが上手い〞ということを見せないと勝てないと思いました。―では〝ダンス面の向上〞というのが、今回優勝するためのポイントだったんですね!今人‥ただ、そこで「メンバーに上手い人を集めよう」という発想はありませんでした。梅棒らしさを最大限に活かす、そう考えた結論が「出演メンバーを男性のみに限定する」ということでした。「来年は絶対リベンジしよう!」と約束した、昨年の女性出演メンバーを裏切ることになる。男性のジャズダンサーは人口的に非常に少ない……。多くの葛藤がありましたが、男のみでパワーあふれるジャズのフリを揃える、それができれば優勝に手が届くほどの爆発的なエネルギーが出せるという確信があったんです。―でも、ダンスの質を上げることと、今までの〝梅棒らしさ〞を両立するのは難しくなかったですか?鶴野‥そこのバランスは難しかったです。いつもとは逆のことを重視して作品づくりをしていたので、作品の完成に近づいた時に改めて振り返ってみたら〝梅棒らしさ〞が全然なかった、なんてこともありました。拓矢‥どんなに踊りを頑張っても、梅棒らしさが消えるのは意味がない。やっぱり、観に来る人が梅棒に期待してくれている部分は裏切れないんです。今人‥そもそも今回は作品づくりのプロセスがいつもと逆でした。いつもは「見せ場とストーリーラインが先にある。そこを面白く見せるために主要キャストとダンサーを動かしていく」という作り方。でも今回は、レジェンドで勝つために〝ダンスをしっかり見せつつ、いかにストーリーを説明していくか〞という作り方なんです。比べてもらうとわかりますが、去年の作品は自然と主要キャストに目がいくように出来ています。でも今年は「ダンサーにも目がいく、ダンサーを見ていてもしっかりとストーリーが入ってくる」というように作っています。―その〝梅棒らしさ〞とは、ご自身ではどう考えていますか?拓矢‥誰にでも伝わって面白い、笑いと感動があるストーリーをダンスを通じて伝える、という作風ですかね。要素の1つ1つを抜き取って見てみると難しいんですよ。例えばフリだけに注目すると、最先端のスタイリッシュな振付けでもないし、すごく無骨。でもそれがJ-POPの曲で、ストーリーにそって展開されていくと、みんなに受け入れられるエンターテインメントとして成立すると思っています。今人‥リズムがあってグルーブを感じて、それにのる、フリが出てくるというのがいわゆるストリートダンスだと思います。でも僕らは一曲通してダンサーに配役がある、その配役がストーリーに沿って「こういう状況になるからこう動く」という感情を背負って踊る、そういったフリの作り方。それが作り手としての〝梅棒らしさ〞だと思います。梅棒、勝利への軌跡PRESENTSLegend Tokyo chapter.2 “Legend”後列左から:櫻井竜彦、塩野拓矢、鶴野輝一、天野一輝前列左から:楢木和也、伊藤今人、大村紘望 中央:飯野高拓梅棒梅棒、勝利への方程式直前の踊り込みVOL.31COVER DANCERSpecial Interviewインタビューで明らかになった、梅棒がレジェンドに勝利するために行なった数々の〝戦術〟。その全て(?)をここに公開!本番当日は会場の近くのスタジオを借り、本番直前の1時間前までメンバー全員で踊り込み、身体が完全に温まった状態で本番を迎えられるようにした。場当たりの稽古本番前日に各作品に与えられる20分間の場当たり。それを最大限に有効に使うため、〝場当たりの稽古〞をその前日に2時間かけて行なった。事前情報の計算パンフレットに載る文章、出番前の作品紹介時にMCが読む文章など、作品に関して本番前に観客が得るであろう情報を、〝作品が活きる〞ように計算して考えた。〝見る〞専門のメンバー分担ジャズダンス歴の浅い出演者が多かったため、出演パートを少なくしてでも彼らを〝鍛え上げる〞ことに専念する梅棒メンバーを作った。出番は少なくとも万全の役作り今作の重要な役どころである〝大きくなった少年〞役の飯野。彼は出てきた時のインパクトを作るため、2ヶ月間ジムに通い続け、身体を大きく鍛え上げた。其の一其の二其の五其の三其の四今までのやり方では勝てない、でも、みんなが期待してくれている部分は裏切れない。18