『SDM』 VOL.31
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―審査員賞にMASAMI作品を選んだ理由は? MASAMI作品には〝幸せ感〞がありましたね。僕は来年インド映画のプロモーションをやるんですけど、その時に大きいフラッシュモブ※を仕掛けたりする中で、彼女たちの〝幸せ感〞が稼働しても面白いかなと思います。 見方を変えればもっと完成度が高いのもあったんですけど、やっぱり企業賞は自分のフィールドの中で選ぶのが正しいと思って、これはパルコとしての目線で決めました。 そして、最優秀作品賞の梅棒作品は、すぐ明日からでも彼らのショーパブを始めたいくらいの(笑)価値があると思いました。―他に心に残った作品はありますか? Ruu作品は良かったですね。今のキッズダンサーたちは小さい子でもみんな上手ですが、あの最後に踊った女の子は、想像できるキッズダンサーの小ささをまた超えてきたなっていう驚きがありました。 そういう意味ではBEZI作品もテクニックもあって良かったです。―今回の審査を通しての全体的な感想を教えてください! 私は完成度やパフォーマンス自身を素で見る見方と、劇場的な「この作品にはいくらつけられるか」という見方、2つの視点で審査しました。後者の考え方は、例えば25作品を1万円のチケット予算で見ると考えた時、1作品あたりの値段は平均400円。その中で「この作品の5分間は1000円だな」とか考えてたら、前半ですでに予算オーバーしちゃいました(笑)。それくらい全体的に完成度が高かったですね。 今回は梅棒が優勝しましたが、前回優勝した長谷川達也作品と比べると幅があってちょっと面白い現象になったと思いますよ。〝幅〞ってパワーになっていくものだから、大会的にとても良いことだったと思いますね。この優勝をきっかけに梅棒もこれから世に出ていけば、この大会が、前回の優勝作品とは全然違う方向性でも、オールジャンルに凄いものは凄いとちゃんと評価される大会だって認知されていくと思いますね。※インターネットを通じて広く呼びかけられた群集が公共の場に終結し、あらかじめ申し合わせた行動を取る即興の集会―審査員賞にDEEP作品を選んだ理由は? 作品の流れが一辺倒ではなく、緩急の付け方、力の抜き方など、独特の流れがすごくいいなと思いました。女性的なやわらかさも持ちつつ、骨太さや心の強さも併せ持った感じに心を引かれましたね。 また、最優秀作品賞の梅棒作品はバツグンに良かったですね!何より、ダンスのスキルや振付けがどうこうではなく、お客さんを楽しませようという心意気と、それを伝えようとする気迫。それがバシッと伝わってきました!―他に心に残った作品はありますか? すばらしい作品ばかりで順位をつけるのに本当に苦労しましたが、最終的には観点の1つとして「ビジネスとして一緒に仕事をするなら」を考えました。その観点で言うと、Junko☆作品は感性がすごく良かったです。単純に仕事をする上で波長が合いそうだなと思いましたね。 あとはJUN作品ですが、彼はすごく音楽や歌をわかっている人だと感じました。仕事をする上では簡単に意志の疎通ができそうな感じがしました。―今回の審査で〝ストリートダンス〞への印象は変わりましたか? 確実に変わりましたね! 例えば、ビジネスとして成り立たせる方法の1つである「ダンスメインで2時間のショーを作る」ということは、私は今までは難しいと思っていたんですよ。でも今回審査員として参加して、それが全然可能だって思わされました! ダンスがメインのパフォーマンスでも、ダンスが好きな人だけではなく、もっと大衆性があるステージを作ることが可能であるということ、さらにダンスはこれから確実に世に広がっていくという確信が、私がこの大会で得た収穫ですね! 他の審査員の方々とも楽屋で話していて、みなさんもダンス業界に対してすごく魅力を感じている様子でしたし、僕もこのダンス・エンターテインメントの分野に敏感になっておかないと、「世間の流れに乗り遅れてしまう」という危機感を感じるくらい、魅力あるシーンだと思いました!エンタメ・コンテンツとしての視点。#07金子 学株式会社パルコ エンタテイメント事業部エクゼクティブ・プロデューサー前大会と全く違うスタイルの作品が優勝、その〝幅〞がパワーになる!ステージ興業のプロデュース「トレインスポッティング」、「パーフェクト・ブルー(アニメ)」などの映画の買付けや配給、ドキュメンタリー作品の演出、プロデュースを経て現職に至る。2012年3月には、KENTO MORIのダンス公演をプロデュースし、7月にはダンス・パフォーマンスを取り入れた「バイオハザードcafé&Grill S.T.A.R.S.」をオープンさせるなど、ダンス要素を含むビジネスを積極的に展開している。コンテンポラリーやバレエ、ベリーダンスなど、ジャンルを問わずさまざまなダンス・ステージのプロデュースを手がけている。ダンスパフォーマンスを取り入れた「バイオハザードcafé&Grill S.T.A.R.S.」を立ち上げ。ダンス統括はTAKAHIROに依頼。数々の名だたる映画作品を始め、最近ではダンス要素満載のインド映画「ラ・ワン」の配給を行なっている。MASAMI作品「CARNIVAL」コンセプト・レストランの立ち上げ映画作品の買付け・配給審査員賞は、このコレオグラファーの作品に!映画・舞台をはじめ、多彩なるエンタメ・コンテンツを広げてきた重鎮。音楽プロデューサーとしての視点。#08黒須 チヒロ株式会社ヴァンズエンタテイメントプロデューサーストリートダンスでも、大衆性のあるステージは可能であると確信できた!アーティスト/グループへの作詞作曲提供SMAP、V6、NEWS、MISIA、東京女子流、スーパージュニアなど、多岐にわたるアーティストやグループに楽曲や詩を提供。05年には福岡で総合芸能スクール「ヴァンズエンタテイメント」を立ち上げ、自らアーティストの育成、プロデュースを手がける。クリエイター、プロデューサー、経営者としての顔を持ち、まさに音楽業界を知り尽くす人物として活躍している。多くのアーティストへの作曲・作詞を手がける。また、曲や詞の提供だけでなく、アーティスト本人が作詞できるようにレクチャーも行なっている。東京・大阪・福岡にオフィスを持つ芸能総合スクール『ヴァンズエンタテイメント』の立ち上げ、経営を行なっている。福岡を中心に活躍する、自ら発掘と育成を手がける九州男児10人組〝男の浪漫〟を総合プロデュース。DEEP作品「DEEP FAMILY」総合芸能スクールの経営パフォーマンスグループのトータルプロデュース審査員賞は、このコレオグラファーの作品に!SMAP、MISIAをはじめ数々のアーティストの楽曲を手がける鬼才。26

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