『SDM』 VOL.31
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インタビュー=工藤光昭interview by Mitsuaki KudoSONG AESONG AESONG AEは、人間として共通する原点を悟り、自発的に人を奮起させた。ゆえに勝利を掴んだ。この作品は、昨年の震災後、〝人と人との繋がり〟をテーマに創りました。最後に抱き合った2人の立場が逆転し、物語はエンドレスに繋がっていきます。時代が変わっても、どこにいても、人は人を支えあって繋がっているということをダンス作品をとおして残したいと思いました。ソンエソンエ審査員長特別賞・受賞コレオグラファー!!審査員長特別賞・受賞コレオグラファー!!今大会から始まった東日本予選『Legend WEST』に入賞し、『Legend Tokyo Chapter.2』本戦に出展。アジアを代表するトップダンサーとして、日韓多くのコンテストで受賞歴をもつ。今大会から始まった東日本予選『Legend WEST』に入賞し、『Legend Tokyo Chapter.2』本戦に出展。アジアを代表するトップダンサーとして、日韓多くのコンテストで受賞歴をもつ。46MASAMI:あっという間だけど、本当に濃かった2ヶ月間でした。特にみんな最後の3日間は必死に頑張ってくれて本当に変わりました。みんな研ぎ澄まされたアーティストでしたね! 初めて出会った人たちと、今まで経験したこともない濃密な時間を過ごして、こんなにも魅力的な集団になれた。それって結果以上にすごく価値がありますよね! SONG AE:レベルもジャンルも異なる人たちが1つになって1つの作品で競う。その過程は、普通に生きていく上でも、すごく大事な部分を学ばせてくれますね。メンバーも、ダンスを続ける素晴らしさが解ったって言ってくれました!Ruu:やっぱり今の日本の社会って個性主義になりすぎちゃっているじゃないですか? もちろん個性は大切ですけど。同時に、集団で何かを成し遂げる素晴らしさを知るって、子供、大人問わず、本当に大切なことだと思います。個性主義が強すぎると、日本の社会ってどんどんバラバラになっていく気がするんで。MASAMI:大会が終わって、それぞれ自分が元いた世界に戻り、チームは解散なんですが、今はそれが結構、切なくて……。けど、それも大人数の心を1つにして何かを競う良さなんですよね!1人1人を真剣に考える。だからこそ、全体がまとまる。―SONG AEさんの作品は、かなり統率されているイメージでしたが、どんな方法でまとめたのでしょうか?SONG AE:特別なことは何もしていませんよ。自然にまとまりましたね。MASAMI・Ruu:いやいやいやいや(笑)!SONG AE:本当に。スケジュールも縛ったりせずに、「アルバイトも優先的に入れていいよ」ってしていました。やっぱり、働いているからこそ踊りがきることに感謝しなきゃいけないと思うんで。けど、「責任は持とうね」って。それぞれの自己管理の任せ方だと思います。MASAMI:けど、そうすると自分勝手な人がいて、組織がバラバラになったりしませんか?SONG AE:要は個人のメリットだと思います。大切なのは結果ではなく過程。だって、自身が成長できないと人って本気で頑張れないでしょ!? 「1人1人がどういう本番を迎えられるようにしてあげるか?」だと思うんです。Ruu:それでフリは揃うものですか?SONG AE:揃えるというより、「1人1人がどうであるか?」だと思います。基本的に1人1人が成り立っていないと1つにならないので。例えば、みんなが同じ角度で手を出したとしても、長さや形が違うからこそ、初めてその人の個性や顔が見えてくる。それが1人だけズレることは悪目立ちであると教えるんです。結局、振付けを揃えることが、個性を活かすことに繋がりますから。Ruu:そんな考え方があるんですね!SONG AE:例えば〝怒る〞こと1つに対しても、大人だと怒られていることに対して決して心良く思わないし、逆にひねくれることもあるじゃないですか?だから、「本番、あなたが1番良く見えるために私は言うだけだから、それをどう処理するかはあなた次第」という言い方をするんです。感情的に怒ったら、絶対、大切なことって伝わりませんから!MASAMI:けど、それって本当に難しいことですよね?SONG AE:私も、いつも悩んでいますよ。ただ単に〝やった方がトク〞じゃ人は動きませんから。だから私は、そこで何か1つ感情的なものがプラスされるタイミングを待つんです。感動とか悔しいとか。そこで初めて人って自発的に人の意見が入ってくると思うんですよ。Ruu:それって計算的に出来るものなんですか!?SONG AE:日々の積み重ねだと思います。何より私は、メンバー1人1人を本当に第一に思っている。だから感謝していることは、まっすぐ感謝するし、「ありがとう」って伝える。その気持ちが大切なんだと思います。もともと別々だった大人数の心を1つに。―〝表現者集団のリーダー〞というと「俺についてこい!」的なイメージでしたが、実際はそれぞれやり方があって、全然違うんですね!?SONG AE:私は、「俺についてこい!」だと、きっと矛盾が見えることもあると思っているんです。でも、目標がはっきりしていれば、みんなやることは、やりますよね!? だからこそ、自分たちが出来ることを出しきる大切さを伝えるんです。けど、みんな本当に、よくついてきたくれたと思います。それで賞を頂けたことがすごく幸せです。MASAMI:私も今回、しっかり役割分担を決めて進めたのが、今ではすごく幸せな結果につながったと思います。ただ、頼まれて与えられたものをやるよりも、1人1人が役割をもって目標を設定して大会に参加してもらう。そのための企画書や組織創りでしたが、それで結果を出せたことが、自分の人生の中で本当にいい経験になりました。Ruu:私は今回2回目ですが、私にとって〝レジェンド〞って1番自分らしさを出せる場所なんですよ。ほかのコンテストになると、どうしても自分らしさとは違う部分での勝負になってしまう。〝レジェンド〞は、本当に100%自分の世界の勝負なので、そこがすごく魅力です!SONG AE:決まりきった審査基準がないからこそ、何かに合わせることなく、表現に集中して、ダンスで何かを伝えることができる。それはコレオグラファーにとってもダンサーにとっても重要ですよね。インタビューに登場した、Ruu、MASAMI、SONG AEの大会作品動画が観れる! → http://legend-tokyo.com/

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