『SDM』 VOL.34
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Stage Report2013.1.19(sat)-22(tue)@ラゾーナ川崎・プラザソル◉取材・文=長濱佳孝text by Yoshitaka Nagahama◉写真=和知明 photography by Akira Wachi数々の振付け業をこなす敏腕振付家として知られる、松尾耕が率いるダンスカンパニー〝MKMDC〟。その単独公演が8年ぶりに開催された!久々の単独公演ではあるものの、同団体が2004年に新体制となってからは初の単独公演となる本公演。数多あるダンス公演や発表会のように〝複数のダンスナンバーを次々に披露するもの〟ではなく、全ての作品がとどまることなく紡がれているのが大きな特徴だ。その内容も〝物語のようで物語でない〟と主催の松尾耕氏が語るように、明確に打ち出された筋書きはない。出演ダンサーたちの叙情的な演舞や表情により、観る者の創造力に預けた、実に趣深い世界観が展開されていった。また、高いレベルで統率された出演ダンサーたち群舞、1人1人のスキルの高さを伺わせる洗練された振付けは、長年に渡り活躍する振付家集団の貫禄を見せ付けられたかのよう! そのような身体表現以外にも、舞台上に設置された移動式の木枠や、公演の要所要所で響く風鈴の音など、観る者の情感を刺激する巧みな舞台演出が光っていた!巷にあふれる〝エンターテインメントなダンス公演〟とは一線を画した、表現者としての誇りと挑戦が伺えた本公演。MKMDCが唯一無二の振付家集団である所以が垣間みれた公演であった!物語のようで物語でない、熟練の振付家集団が放つ、8年ぶりの単独公演!❶舞台上に設置された幾何学状の木枠を巧みに使い、立体的な構成展開を演出していた。❷難易度の高いターンジャンプをフリの一部として揃えてみせるのはさすが!❸それぞれのダンススキルの高さはもちろん、心情描写を巧みに描く構成が展開されていく。❹クライマックスのシーンでは、天井にツルされていた風鈴が一斉に鳴り響いた!❶❷❸❹(左から)◀miotchery 長柄利佳 伊藤蘭本公演のキーアイテムである〝風鈴〟、要所要所でその音色を響かせていた。◀森澤碧音MKMDCの中心メンバーである巽徳子、本公演においても重要な役どころを担っていた。〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈 MKMDC主宰松尾耕氏にInterview!!Q.この公演ではどのような役割を担当されていたのですか?A.クリエイトする全てを担当しました。つまり演出と全作品の振付けですね。僕の振付家としてのスタンスは、「全部自分で作って当たり前」なんです。そうしないと全てがちゃんと統制された作品ができないと思うんですよ。Q.公演の内容は、実際にどのような事を表現したのですか?A.物語のようで物語ではないんです。架空と言えば架空なんですけど、8年ぶりの単独公演ということで、実は自分たちを振り返るドキュメンタリー的な内容なんです。ですから、1つ1つのシーンにちゃんと意味が込められているんですよ。Q.このような内容だと、稽古はどのように行なっていたのですか?A.僕が家であれこれ考えるのが半分、あとは稽古場でみんなの様子を見てその場でフリを作りました。この公演に関して、僕はノートにメモ書きなどをしないで全てを作ったんですが、そう考えるとまたこの作品を観た時に違った面白さがあると思いますよ!松尾耕Profile:MKMDC主催。振付家として年間100を超える演劇公演やコンサート、企業CMの振付けを行なう他、ダンサーや振付師の派遣業も行ない、マルチに活動している。色とりどりの衣装が、青一色で染められた舞台に変化と華を添える。◀巽徳子29

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