『SDM』 VOL.36
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2013年5月18日、KAAT神奈川芸術劇場には多くの来場者たちが列を成していた。それも〝新作の舞台公演〞を観に待ちわびているのではない、「全ての作品は公式サイトに動画がアップされ、一度は目にした事がある再演作品」を待ちわびているのだ! この〝名作の再演〞をコンセプトとした『FINAL LEGEND』は、〝単純に過去名作を再演するだけ〞の舞台公演ではない。全ての作品がキャストを新たに募集し、数ヶ月をかけて作品を制作。名作の作品づくりに直接参加・出演する事により、参加者は作品づくりのノウハウを実体験で学ぶことができる。 そのような、コレオグラファーの育成を目的とする『Legend NEXT』と名付けられたこの長期ワークショップ・プログラムの1つの出口が『FINAL LEGEND』なのだ。また、新作を消費し続けるのではなく、他のメジャー・エンタメシーンに既にあるように〝キャストを一新する再演〞を繰り返す事により、作品の価値を高め、観る文化を広げる……。 ダンスシーンにおける新たな挑戦となったこの公演、「再演作品だけの公演にお客さんは集まるのか!?」という予想を払拭するかのように観覧希望者が増え、開催2週間前には急遽客席数を拡大! そして多くの来場者の期待を受け、いよいよ公演の幕が上がった! 〝再演〞がテーマと言えど、各作品にはそれぞれ細かなアレンジが加えられている。キャストを一新し、オリジナル上演時よりブラッシュアップされた作品が次々と来場者を楽しませる中、海外ゲストとコラボ作品となった黄帝心仙人作品、大がかりな和太鼓の生演奏が加わったJunko☆作品とHIDETOMO作品が、観る者に大きな驚きと感動を与えていた! さらにそれぞれの作品は単なる羅列で披露されるのではなく、TAKAHIROを始めとするストーリーテラーのアクトが公演として全体を1つの形に彩る。次々と珠玉の名作たちが披露されていき、ラストに披露されるたのは「ROOTS of STREETDANCE」。日本のストリートダンスの歴史をなぞる内容で、この公演を締めくくるのにふさわしい作品を見せつけてくれた! 「あの作品に出たい」、「あの作品を生で見たい」等々、ダンスシーンの新たなる需要の発掘、そして観る文化の拡大を目指したこの公演。初開催こそ好評を収めたものの、5年、10年と続けてこそ、その目的は果たされると言えるだろう!〝再演〞をコンセプトに掲げ、新たなる価値観を示す舞台公演!General Report次ページからは、公演の内容を各トピックに分けてレポート!会場となったKAAT神奈川芸術劇場、その絢爛なホールは否が応でも期待が高まる!さらなるパワーアップを遂げた〝伝説の名作〟たちは、会場に幾度となく大きな歓声を巻き起こした!ただの作品の羅列ではなく、〝舞台公演〟としての様々な演出が来場者を楽しませていた。20

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