『SDM』 VOL.37
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37日本のストリートダンスを興行とメディア、2つの視点で、エンタメ・シーンにつなげたパイオニア!エンターテインメントを広げる達人!振付師/演出家PROFILESAM(TRF)ダンサーとして音楽ユニットTRFに参加し、メジャーデビュー。プレイヤーとして多岐にわたるジャンルに精通し、90年代からは演出家としても活躍。浜崎あゆみ、BoA、東方神起をはじめ、日本を代表する名だたるアーティストたちのコンサート演出を手がけている。近年では、次世代ダンサーの発掘など、ダンスシーンの発展にも貢献している。審査員授与の決め手は!?円形ステージを活かしたスキのないステージング! 構成、起承転結での魅せ方、すべてにおいて完成度が高かった。ぴあ株式会社コンテンツ事業局 統括編集長PROFILE酒井 靖仁かつて「ぴあ」においての興業プロデュース、マドンナ、U2など海外大物アーティストの日本公演招聘業務を担当。近年ではアニメや漫画、ゲーム、アーティストなど、1つの作品や人物の魅力を雑誌丸々1冊で伝える、「ぴあMOOK」事業において統括編集長をつとめる。興業とメディア、2つの視点からエンターテインメントに精通する存在!審査員授与の決め手は!?ダンスの楽しさを伝えてくれるパワー!会場の空気が変わり、観客と会場が一体となって引き込まれるのを感じた!ストレートなダンス作品が優勝したことで、この大会はまた一つ大きくレベルアップする!―〝レジェンド〟も3回目となりましたが、以前と比べてどうでしたか? やはり今回は、「半円型のステージをどう使うのか!?」というところが大きなポイントだったと思います。観る側は、当然そこに興味が向く。だから、そこをいかに上手く計算して考えているかが結果に出ましたね。優勝したTwiggzをはじめ、高評価であったWREIKO、Sacco、MIWAは〝忍耐強くものを創る〟ということに挑み、円形ステージも本当に上手く使っていました。僕も勉強になりましたね!―受賞作品の評価ポイントはどんなところでしょう? 大会結果として優勝したTwiggzに目がいきがちだけど、今大会ではジャズダンス系も素晴らしい作品が多かった。彼女たちは、非常に細かく作品を創り、ストーリーも振付けも無理なく魅せる技術が高いので、改めて感心しました。 中でもSacco作品は無駄のない起承転結で魅せ方が本当に上手かった。静で始まり、ポイントをしっかり魅せて、ドキッとするところも創る。最後は激しい群舞という王道なんだけど、振付け・構成ともに本当にスキがなかったです。―優勝したTwiggz作品はどこが一番突き抜けていたと思いますか?  どの作品も魅せるために衣装やストーリーなどさまざまな味付けをしますが、ダンスと構成とステージング、この3つだけで戦って他の作品を圧倒する程、3つの完成度が高かった! 審査員もこれだけエンタメ業界の人たちがいて、そこで〝クランプ〟という特殊なジャンルは「パワーだけSacco作品「Art museum」審査員賞はこのコレオグラファーの作品に!自分自身が魅せたい、伝えたいことを追求してきた姿勢が素晴らしい!―まず、全体的な感想はいかがですか? 今年は各作品の方向性や見せたいものが、いい意味で〝バラけた〟と思いますね。昨年は梅棒が圧倒的だったので、正直、彼らみたいにストーリー性がある作品が増えると思っていました。でもそうではなく、色んな表現方法や、ダンスの魅力で一本勝負してくる作品も多かった。やっぱり〝レジェンド〟はこうあるべきだなって思いましたね!―今大会の作品の傾向が〝レジェンドらしい内容〟だったということでしょうか?  普通は「前回はこうだったから、今回はこうしよう」って傾向を見て対策を練りますよね? でもそうではなく、今年は、各振付師たちが、自分たちが魅せたい伝えたい世界を追求して、そこにエンタメ性を加えて臨んでいました。その姿勢が非常に素晴らしいと思いました!―では受賞作品に関しては、どのようなご感想ですか?  Ruu作品は、ダンスの楽しさとスキル、そして音楽、それらがピタリと合っていました。理屈でない部分もありますが、会場の空気が変わり、会場全体が一体となって引き込まれるのを感じたんです!実は、そこが審査員賞授与の評価ポイントですね! あとTAIHEY作品は、審査員賞にするか迷うぐらい良かったです。彼のやろうとしている事とアプローチは、ある意味、この大会の1つの側面を的確に捉えていると思う。こういう作品がもっと出てきて欲しいと思います!―最後に、協同企画開催社として、今後の展望をお聞かせ下さい! この大会は「ダンス・エンターテインメントの可能性を広げる」イベントとして、とても素晴らしく機能していると思います。ですから我々も、この舞台に立つ人たちが、もっと気持ちよく出て、勝った時に「次につなげよう!」と思えるお手伝いをしたいと思っています。やはり全国には、まだ見ぬ作品創りの猛者たちがいると思うので、もっと色んな方面に伝えて広げていって、このシーンに関わる人たちを全国的に活性化させていきたいですね! Ruu作品「Fabulous the company」審査員賞はこのコレオグラファーの作品に!評価視点ストリートダンスとしての視点評価視点エンタメ文化を広げてきた視点と思われるのではないか!?」と心配でした。しかし、結果的にはストレートなダンスの良さだけで、誰もを楽しませる作品ができるという確信に変わりました! 彼が優勝したことは、この大会にとって大きな意味を持ったと思います! 振付け作品創りに興味を持つダンサーの層がさらに増えて、来年は間違いなく、また1つレベルが上がると思います!共同企画開催大会審査方法監修 & 審査委員長大会結果分析レポート

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