『SDM』 VOL.37
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38出演者たちも本大会の主旨や可能性を理解しはじめ、さらなる進化が感じられた! ―まず、今大会の全体的な感想はいかがですか? 第1回目大会から審査員として参加させてもらっていますが、〝すべてにおいて進化発展している〟という印象ですね。出演ダンサーたちもこの大会の主旨や可能性を理解し始めたように見受けられ、さらなる未来を感じました。―それぞれの賞を受賞した作品に関して、感想をお願いします! 最優秀作品賞のTwiggz作品は、構成、スキルどれを取っても素晴らしいものでした。しかし、表現的にはクランプというダンスジャンル自体が主役となり過ぎている気がしましたので、私の視点においては、ほかの可能性を重要視させて頂きました。ここが他の方とは審査視点が異なる面白みかもしれませんね。 その点で言うとMIWA作品は、〝レジェンド〟という大会自体の個性、私の評価基準、そしてタイトル含めて理想的な作品で、構成、音楽、照明、舞台の使い方、すべての表現が素晴らしいと感じました。私自身、ダンスの次なる可能性を探しているという事もあり、ただダンスを見せるだけではなく、「何をテーマにどうダンスで表現できるのか!?」、それが彼女の作品はとても上手くできていたと思います。―他に気になった作品はありますか? Sacco作品はMIWA作品と同じように、作品のテーマ、表現のすべてが素晴らしかったので、私の中での1位にするか迷ったのが事実です。Ruu作品は構成が良く、「観ていて明るくなれる、楽しい」という少し私の審査基準からは外れるものでしたが、とても印象に残った作品でした。―最後に、参加したダンサーのみなさんにメッセージをお願いします! どれも素晴らしい作品でしたが、この大会の求めている主旨を思うと、まだ充分ではない作品も見受けられました。やはり、このステージに立つ人はコレオグラファー、ダンサー問わず、自己を追求するだけではなく、求められているものを表現できる、そういう柔軟な考えを持った存在を目指して欲しいと思います!数々の有名番組を手がけてきた、「RAVE2001」、JSDAはじめ、フジテレビ屈指の番組プロデューサー!常にダンス人口を広げてきた開拓者!株式会社フジテレビジョン大会主催編成制作局 チーフプロデューサーPROFILE石川 綾一音楽番組の「HEY! HEY! HEY!」、「ペケポン」、「ほこ×たて」など数々の人気番組のチーフプロデューサーや企画を手がける。「ほこ×たて」は2012年度民間放送連盟賞エンターテイメント部門で最優秀賞を受賞、USインターナショナルフィルム&ビデオフェスティバルで銀賞受賞。まさにフジテレビ屈指のプロデューサーとして活躍している。審査員授与の決め手は!?誰もが耳なじみのある選曲と出演ダンサーの構成配置。この2つが〝掴み〟となり、観た後もとても清々しい気分にさせてくれた!デベロップメント株式会社 代表取締役社長エイベックス・プランニング&JSDA 日本ストリートダンス協会 理事長PROFILE青木 義人かつてプロデュースを手がけたテレビ番組「RAVE 2001」で感じたことをもとに、エイベックス・グループ内で〝職業としてのダンスの成立〟にこだわったさまざまな事業を展開。avex artist academy、avex Dance Master、JSDAなど、その功績は計り知れない。現在も、この新しい日本の文化を世界に広げるべく事業拡大を目指している。審査員授与の決め手は!?提示したタイトルをダンスでどのように表現するのか!? それが作品の完成度含め最もハイレベルに成しえていた。〝どの人を軸にするか!?〟明確な考えがあった方が観る人の視点が定まる。―まず、大会自体に対する率直な感想はいかがですか? ダンスに対するイメージが完全に覆されましたね! ストーリーがあったり、照明、衣装、小道具など、こんなにも演出が凝っているものができるとは想定外でした! また、ステージの使い方も立体的で、観ていて本当に飽きませんでした!―受賞作品に関して、どのような点が良かったですか?  チームだからといって、みんなを平等に扱い、同じ衣装を着ている作品が多かったですが、テレビ番組のプロデューサーという視点で観たとき、「どの人を軸にするか」という明確なものがあった方が観る人の視点は定まります。そんな中、Ruu作品は、みんな平等に扱っているようにみえながらも、冒頭から小さい子がステージの上部で踊ることで視点も定まり、〝掴み〟が成功していました。また、誰もが耳なじみのある2曲はとても心地良く、ステージも巧みに使い、立体的に表現されていたので演出力の高さを感じましたね。―では石川さんのお仕事と照らし合わせて、画面を通して映えそうだなと思われた作品はありましたか? Ruu作品と1位を迷ったのがMIWA作品でした。小道具の使い方、ステージ上に描き出す色彩、すべてにおいてビジュアル的に美しく、非常に完成度の高い作品でしたね。 あと、ブラザーボム作品は新しいチャレンジをしていて好きでした。クモの糸みたいなシーンも表現としては面白かったし、衣装、構成も挑戦魂が非常に盛りだくさん。「これはどこを映像として抜いたら良いのか?」と考えたくなるくらい魅力的でした!―では、振付師の広がりの可能性としてはどんなものがあるでしょうか。 これだけ演出力があれば、例えば映画やドラマを撮ったりしても面白いんじゃないでしょうか。もっとクリエイターとしての活動の幅を広げ、メジャーな世界に飛び込んでくる人がいれば、世間の着目度も変わると思います。認知されるということに貪欲になれば、もっと多くの可能性があると感じましたね!Ruu作品「Fabulous the company」審査員賞はこのコレオグラファーの作品に!MIWA作品「天の川のひとしずく」審査員賞はこのコレオグラファーの作品に!評価視点テレビ・プロデューサーの視点評価視点ダンス文化普及・発展の視点

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