『SDM』 VOL.37
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40この素晴らしき才能を、ぜひもっと多くのプロデューサーや演出家に推薦したい! ―審査員賞にENcounter ENgravers作品を選んだ理由は何でしょう? ENcounter ENgravers作品は、 ヒップホップとしては王道だと思いますが、その中でも〝斬新さ〟を感じました。これはうちの若いスタッフたちも同じ意見でしたね。今の日本のミュージカル演出家たちは皆、古くて完成度の高いものでなく、新しくて才能ある振付けを求めている! そういった視点から考えても、彼らのダンスをうちのプロデューサーや演出家にぜひ推薦したい! 海外の振付師だけではなく、日本にも才能ある振付師がいることを率直に知って欲しいと思いました!―では、その他に気になった作品はありましたか? やはりTwiggs作品は、エンターテインメントとしてすごく楽しかったので優勝には何の異論もないですね。そしてMAR作品も、タイトル通りヒップホップの楽しさを、まるで〝フルオーケストラの音楽〟を楽しく聴かせるかのように見せてくれました。 やはり観ていて作品のタイトルに納得できるというのは重要だと思います。観る前の「このタイトルで何をやってくれるかな?」という期待が、見終わった後に納得してこそ、この人の作品をもっと観たいと感じられますからね。―最後に、今大会を終えてみて感想をお願いします。 この難しい形状のステージで、これだけのパフォーマンスを見せてくれたレベルの高さには脱帽です。ただ、ストーリー性を意識し過ぎたことによって、意図が伝わらずに終わってしまった印象の作品もありました。やはり基本は〝ダンス〟だと思うので、そこを崩さずに楽しめるストーリー性や構成を改めて考えて欲しいと思いました。 これから日本のエンターテインメントはどんどん国際化していきます。それに当たって振付師の方々にはもっと勉強をして頂きたいし、演出のある世界に飛びこむなら〝台本を読めるコレオグラファー〟になって頂きたい。その中で、この〝レジェンド〟は本当にいい役割していると思います。ぜひ続けていって欲しいですね!数々の劇場コンテンツを創りあげてきた熟練プロデューサー!日本芸能マネージメント界の重鎮!KAAT神奈川芸術劇場チーフプロデューサー事業制作統括PROFILE崎山 敦彦80年代より舞台制作の裏方を経て、92年〝天王洲アートスフィア(現:銀河劇場)〟の立ち上げに関わり、同劇場のプロデューサーに就任、多くの有名作品を手掛ける。06年より、池袋あうるすぽっとのチーフ・プロデューサーとして多大なる功績をあげる。現在はKAAT神奈川芸術劇場の統括チーフ・プロデューサーとして活躍している。審査員授与の決め手は!?作品のパワーはもちろん、「観る者の感情をどこに連れていってくれるのか!?」、最もお客様視点を考えて作品が創られていた!         新規事業企画室株式会社ホリプロ 常務取締役株式会社ステラキャスティング 代表取締役社長PROFILE鈴木 基之ホリプロの宣伝部を経てタレントのマネジメント、新人発掘と育成に携わり数々の有名芸能人を輩出。ホリプロスカウトキャラバンにおいては、運営から審査員長まで務める。2013年よりホリプロの提携会社ステラキャスティングの代表取締役に就任。現在もキャスティングやオーディション、イベント事業など多方面の新規事業を立ち上げ続けている。審査員授与の決め手は!?今の日本のミュージカルや舞台界が求めているであろう斬新さ。より広い世界に紹介したいと思える才能がある!すでに一般社会に誇れるクオリティの作品群。それをどう発信していくかが大切ですね!―審査員賞にTwiggz作品を選んだ理由を教えて下さい。 まず出演ダンサーたちのパワーに着目がいく作品ですが、実はTwiggz作品は舞台構成力も群を抜いてレベルが高かったです。5分間の中で、4つか5つある見どころに対して、「どうやって並べるのか?」、「お客さんがそれを観て何を想像するか?」という事がしっかりと練られていた。そこが非常によかったですね。―作品構成も戦略的に計算されているということですね! これが戦略的でも偶然の産物でも、素晴らしい作品というのは、創る前から「これを創ろう」と見えているものではなく、最初はみんなあやふやなものでいい。それを固めていく過程で上手くバランスた時に、素晴らしい作品が生まれるのです。 同じく構成が素晴らしかった作品として2位に選ばせて頂いたMIWA作品があります。どちらも非常に隙がない仕上がりでしたね。―その他に印象に残った作品はありますか? 私は演劇の舞台の仕事をすることが多いので、その視点から観て良かったのはavecoo作品。社会的な白と黒というテーマは演劇的な表現でとても面白かったです。CONiY作品も現在の時代性をうまく表現していました。また、MOCCHIN作品も、表現に対する着想が非常に素晴らしい作品でした。―ダンス作品に関するシーンの今後の広がりについてどう思いますか? 現状、表現者としての仕事だけで食べていくのは非常に難しい状況だと思います。そこを打開するためにはまず、ブームをつくらないといけません。例えば、最近、美術館が大盛況ですよね? あれもある種のブームで、美術館に行くという行為が〝カッコイイ〟からなんですよ。 ダンス・エンターテインメント作品も充分に〝カッコイイ〟要素はあります。すでに世間に誇れるクオリティの素晴らしい作品はたくさんあるので、それをどういう仕組みで外に発信していくかという戦略が大事ですね。そこは我々プロデューサーや制作陣の頑張りどころですね!Twiggz作品「STAY STRONG!!」審査員賞はこのコレオグラファーの作品に!ENcounter ENgravers作品『my EverlastiNg LIVE』審査員賞はこのコレオグラファーの作品に!評価視点舞台パフォーマンスとしての視点評価視点芸能エンターテインメントの視点数々の才能を発掘・育成してきた、

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