『SDM』 VOL.40
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―ダンス義務教育化における、誤解と真実―2011年より始まった〝ダンス義務教育化〟。ダンスシーンはもちろん、一般社会にも大きな影響を与えた国のこの施策は、今、一体どうなっているのだろう? 多くの誤解をはらんでいる〝教育としてのダンス〟、その実態が、「教育的ダンスの普及」を掲げる団体、日本ダンス技能向上委員会(以下略:JDSAC)によって今、明かされる!Presented byTALK.1第2回日本ダンス大会審査委員長TAKAHIRO第2回日本ダンス大会審査員/SDM編集部長濱佳孝JDSACが開催している、高校ダンス部を対象とした『日本ダンス大会』(文部科学省後援)。その次大会の審査委員長に就任したTAKAHIROにこの大会の意義、そして教育としてのダンスについて語ってもらった!聞き手:長濱佳孝(SDM編集部/日本ダンス大会審査員)TAKAHIRO[上野隆博]◉Prole「NewsWeek」誌の〝世界が尊敬する日本人100人〟にも選出された日本人ダンサー・コレオグラファー。NYアポロシアターTVコンテストにて史上初の9大会連続優勝を果たす。マドンナのツアーダンサーやプロモーションイベント振付けの他、日本では大阪世界陸上の開会式、FIFA公式大会閉会式の振付け、総合演出などを手がけるなど、多方面で活躍している。SDM編集部/長濱佳孝ダンサーに必要なのは、答えではなく選択肢。長濱‥早速ですが、TAKAHIROさんはこの大会のように〝教育としてのダンス〟をテーマに掲げた大会について、どのように思われますか?TAKAHIRO‥とても良いことだと思いますね! と言うのも、ダンスをする人にとって、「あったらいいな」と思えるものは〝答え〟ではなく、〝選択肢〟だと思うんです。長濱‥選択肢……ですか?TAKAHIRO‥はい、いわゆるヒップホップを中心としたストリートダンスのカルチャーは、日本に入ってきてからどんどん発展していき、さまざまな大会、コンテストが生まれてきました。現在ではある意味、成熟しているとも言えます。ならば、「他にはこんなものもあるんだよ」という選択肢、例えば個人技を見せたい人にはバトルイベントが、また、それこそ『Legend Tokyo』のように〝振付師〟に着目した大会も生まれてきました。そして今、〝教育としてのダンス〟に焦点を当てた大会がが出てきました。一口にダンスと言っても、さまざまな要素があります。その中で、自分に合っているものを探せる、答えではなくて選択肢があることが重要なんですよ。長濱‥確かに、いつまでも「選択肢がこれしかない」というよりも、新しい選択肢、つまり新しいコンセプトの大会が増えることの方が、シーン全体にとっても意義がありますね!国によって全く違う? ダンスへの取り組み。TAKAHIRO‥そしてこの大会はまた、〝ストリートダンス〟というくくりに限定しているわけではなく、扱うのは〝現代的なリズムダンス〟。つまり文科省が学校教育の場に制定したコンテンツであり、そういう時流に合わせた生まれた大会なんだなと思います。長濱‥なるほど。ちなみに海外でも活躍されているTAKAHIROさんとしては、海外の〝教育とダンス〟というものがどんな状況か、ご存知だったりします……?TAKAHIRO‥実はアメリカでも学校にダンスが取り組まれていて、僕も現地の学校に教えに行ったことがあるんですよ! ただ日本のように〝義務〟ではなく任意ですけどね。他にも政府の動きとしては、フランスではダンスに対して政府が補助金を出しています。長濱‥国によってダンスへの取り組み方が全然違うんですね!答えではなく、新たな価値観としての選択肢を、ダンスで夢を見る次の世代の方々に提示したい。20

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