『SDM』 VOL.41
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――では発表会の総合演出には、どうやったらなることができますか?田中‥人間性だと思います。創る作品が良いのはもちろんですが、その人がどんな人間なのかは、空気として全体にうつるんですよ。総合演出とは、舞台上のセットや演出はもちろん、出演者がより気持ちよくステージに上がれるように心を配り、たくさんのお客さんを迎えるために、パンフレットデザインからロビー周り、スタッフまでも演出します。どうしたらみんなが楽しく気持ち良く舞台に臨めるか。こういうこと全てを1回1回大事にしていくことが大切だと思います。――なるほど! では任せられた側のおふたりは、どうやってご自身の人間性を磨かれたのでしょうか?ぺら‥自分ではそんな「僕は人間性があります!」なんて言えないですけどね(笑)。でも、強いて挙げるなら昔、僕はダンスの良し悪しで人を計っている時期があったんですよ。ダンスが上手いやつはすごくて、ダンスが下手な奴はダメだって。でもある時、それが間違いだって気付くことができたんです。人にはそれぞれ個性があって、誰しもが何らかの才能を必ずもっているハズなのに、それをダンスだけで縛ろうなんて、なんて自分はちっぽけなんだと。僕が本当の意味で成長できたタイミングがあるとするなら、間違いなくそこですね。SHIZUKA‥私は両親や祖母が私に残してくれた言葉、「どんなに辛くても、笑っていたら絶対いい事がある」、「やりたいことはもっと口に出しなさい」、そういう事を信じています。また、小さい時はのびのびと育ててもらい、短大卒業の就職時期に父に相談し「やりたい事を一生懸命したらええんや」という一言で、今までやっていたダンスとしっかり向き合う事になりました。離ればなれになっても、家族の言葉が今の自分の中にあるんです。――では最後に、今後〝演出〞という仕事に関して、何か展望や考えられていることを教えて下さい!ぺら‥変な言い方かもしれないですけど、今度の発表会が終った後って、僕は絶対に後悔してると思うんです。もちろん精一杯やりますが、満足しちゃったらそこで終ってしまいそうなんで(笑)。例えそれが素晴らしい完成品だとしても、まだイケる! まだ良くなる! というふうに、常に向上心を持って取り組んでいきたいです。SHIZUKA‥私は演出経験によって、プレイヤーとしての自分の動きにも磨きがかかると思っています。この経験の前と後では同じ動きをしても違って見えると思うんですよね。そういった経験を相互に活かしつつ、プレイヤーとしても演出としても活躍していきたいです!田中‥私は、この2人はもっと演出をやるべきだと思っていますよ。本当に自分が持っている世界観を100%出せる公演をゆくゆくはやって欲しいですね。最初は2時間ではなく30分でもいい、1000人キャパの大ホールじゃなくて、シアタースタジオぐらいの規模でもいい、そうやって演出としても活躍してもらって、この2人のような才能あるダンサーが先駆者となって「ダンスの演出家として生活できる」という環境を日本にも創っていきたいですね!〝発表会〟はダンススタジオの生命線。 愛情にあふれ、向上し続けるために、1回1回に全力を尽くす。ダンスの演出家として活躍できる環境を。PLEASURE GARAGEグループの中心メンバーが集まり、結成された新会社。踊心ダンスシアターの管理・運営を中心に、グループ系列のスタジオ全体の発表会を中心としたイベント事業部と、グループ会社全てのデザインを担当するデザイン部で形成されている。(写真左から)北垣さん、沼尾さん、浦野さん、 田中社長、室谷さん株式会社 踊心  発表会を支える敏腕スタッフが見た、 PGの発表会!1回1回を非常に大切にしているという、PGの発表会。長年、その裏側を支える敏腕スタッフたちが見た、PGの発表会を語ってもらった!PG発表会が普通じゃない!?ところ通常の発表会だと最初の段階で、ホールの規模や雰囲気を考慮して形を作らなければいけないと思いますが、PGさんはその立ち上がりの時点で違います。型にハマろうとはせず、「物事を組み上げてから、型を変えていけば良い」という思想で、パッケージを作っていきます。〝新しいものを発信する〟ためにはそのやり方が当たり前なのですが、通常はその当たり前がなかなか出来ない。それを平気で〝当たり前〟にしているのは、毎回感心させられます!PG発表会の良いところ!新しいものを作るには、毎回相当な無茶をしなければいけません。その無茶を具象化してお客さんの目に映すには、スタッフ含めて関わるすべての人間が同じ方向を見つめていなければいけないと思いますが、PGさんは自然とそれが出来ているのは素晴らしいと思います。中途半端な愛情では出来ない内容を、毎回実現しています。演出家もインストラクターも「無茶」を実現しようと必死なので、スタッフもその「無茶」に応えられるように毎回必死です。少しでも気を抜いたら簡単に置いていかれます(笑)。しかしそれが自分の武器にもなるので、毎回勉強させられますね。長年、舞台監督を担当 (KARRY'S) 篠塚 裕太 発表会の普通じゃない!?ところ毎回、新たな手法を取り入れてるところですね。照明をやる立場として、こちらからも新しいやり方なども提案していますが、その他の部分でも常に新しい試みをしている部分が多くあります。また、全体リハーサルの時から本番の会場でリハをするなど、他ではほとんど考えられませんよね。発表会の良いところ!プレジャーガレージグループは常に挑戦する気持ちがあり、ダンサー側、スタッフ側、お互いの意見をしっかりと話した上で自分が提案することも尊重してくれます。時には無茶な事もありますが、それに対しても毎回挑戦する気持ちで打ち込める現場です。約6年間プレジャーガレージに携わっていますが毎回新鮮な気持ちで臨んでいます!舞台照明を担当(株式会社ライトシップ) 吉田 一統 14

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