『SDM』 VOL.41
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ゲスト作品出展ゲストパフォーマー出演ゲストパフォーマー出演この『FINAL LEGENDⅡ』を観に来られる方々へ。――今人さんから見て、JONTE’さん作品のイメージはどんな印象ですか? 世界観と方向性、ハデさ、奇抜さ、とにかく彼は突き抜けていますよね。いい意味で直前の順番の作品の印象をかき消してくれるでしょうから、全体の構成の流れとして、そういう転換ポイントとなる所に彼の作品順を考えています。 また、彼の作品だけが唯一、この公演の中で(元となるMVパフォーマンスはあれど)ある意味、新作的なものになりますから、そこは上手く予想して組んでいますよ。――どんな作品になると思いますか? 彼自身が自分を信じて疑っていないし、人としての強さが創る作品にも表れています。出演メンバーも、そういった人間性に惹かれる人が集まるでしょうから、ものすごくパワーに溢れた作品になると思いますよ! 単なる「この先生orフリがカッコイイ!」という考えではなく、彼の生き方や強さに惹かれて集まった人の群れ、それが放つ信念が作品に宿る。 彼のぶっ飛んでいる個性やエナジー、言わば〝人間力〞のようなものを客席まで強烈に伝えてくれると思っています!――今人さんは、SALAHさんは前からご存知でしたか? 知っているどころか、「生まれ変わったらこの人になりたい!」って尊敬しているぐらいの人ですよ! 彼は日本では凄腕のバトラーとして知られることが多いと思いますが、彼のすごい所は、持っているスキルをストイックに見せることはもちろん、お客さんにどうやったらそれが伝わり、喜んでもらえるのかを常に意識しているところです。 普通だったら音楽と対話してどう踊るかというところに、彼はさらにお客さんにまでアンテナを張って、自分の身体と音楽をリンクさせてその場に立てる。それは1つの才能だと思いますね。――スキルとエンタメ性を併せ持っている方なんですね! だから彼は、職人的な技術を見るジャッジやダンサーを沸かせながら、ダンスを知らない人さえも沸かせてしまう。絶対的なテクニックをもちながら、お客さんを楽しませる遊び心を忘れていないんですよ。ある意味僕の理想なんですけど、そんな尊敬してやまない人をなぜ僕が演出しなければいけないのかという感じですね今回は(笑)。 ただ、そういう人と一緒に、お互い要求し合える立場で舞台を作れるのはすごく嬉しいです。そして、彼が公演中に出演するタイミングも、〝最もお客さんが喜ぶであろうタイミング〞で考えていますよ!――エアリアル・シルク※って中々こういったダンス公演で見られないですよね? こういう舞台公演の空間って、〝高さ〞が非常に重要なんですよ。、一応、今回は舞台セットは組んでありますけど、KAAT神奈川芸術劇場のような大きい劇場になると2mの台ではまだ足りない。〝間口の広さ〞と〝奥行き〞という、2つの軸でしか工夫できないんです。そこに新たに、高さという〝縦〞の軸が加わるのは、ものすごく意味のあることなんですよ。――普通は「舞台空間の上の位置でパフォーマンスする」なんて出来ないですよね! 舞台公演と映画の大きな違いって、僕は〝空間〞だと思っています。映画は平面、公演は空間。その空間をこだわる上で、縦の軸を生み出してもらえるエアリアル・シルクは演出家として非常にありがたい。 また、これはSALAHさんにも言えますが、こういった大人数作品が続く公演の中でソロパフォーマンスが存在する事も、魅せる上では非常に重要なポイントですね。※エアリアル・シルク……特に日本においては「シルク・ド・ソレイユ」で披露されることで認知度が高く、天井から布を吊るし、それを用いて行なわれるアクロバティック・パフォーマンス。――『FINAL LEGENDⅡ』を通して、お客さんに感じて欲しいことはありますか? こういった舞台公演の特性として、「誰々が出演しているから観に行く」という要素ってあると思うんです。そういった人が、目当てに観に来た作品や出演者たちがこの空間の中でどう生きているか、それが心に残るようなものにしたいです。 最近は「限られた範囲や知り合いの中でしか踊らない」ダンサーも増えています。あるスタイルの先生に習っていたら、「そのスタイルの世界観こそがダンスの全てなんだ!」って捉えている若い子も多いと思うんです。そういう人がこの公演を観に来て、色んなダンスの可能性、舞台そのものに興味を持てるような、新しい刺激になればいいと思っています!25

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