『SDM』 VOL.41
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 数々の振付け業をこなす振付家集団として知られる、松尾耕が率いるダンスカンパニー〝MKMDC〞。その単独公演が昨年に引き続き開催された! 今回はダンサーのみならず女優もキャストに迎え、洗練されたセリフと数々のダンスナンバーがとどまることなく紡がれていく。驚くべきはその魅せ方! 照明はもちろん移動式の木枠などの道具を巧みに使い分け、ダンサーたちのもつ高い表現力と振付けをさらに引き立てる。ダンサーは魚をイメージした衣装を終始まとっているのだが、観る者を飽きさせることなく作品の世界観に引き込み続けていた! 明確なストーリー展開があるわけではなく、全体を通して観る者の心に語りかけ、疑問を投げかけ続けてくるように進んでいく独特のスタイル。客席と舞台が共鳴するかのように、徐々に会場全体の感情が高まっていく! そして、劇場を後にする時には不思議と前向きな気持ちにさせてくれるパフォーマンスがそこにはあった。 独自の在り方を示し続ける振付家集団としての意地と、現状に満足せず追求し続ける表現者がもつ開拓者精神が伺えた公演であった!熟練の振付家集団が創りあげる幻想世界!舞台上に配置された木枠の位置を巧みに変化させ、バリエーション豊かに魅せる!エネルギッシュで躍動感あるジャズの振付けはMKMDCのお家芸ともいえる完成度。Information松尾耕氏にInterview!!<詳細情報>MKMDC公式サイト http://www.mkmdc.net/STAGE REPORTQ.A.Q.A.Q.A.この公演を創る上で意識されたことは何ですか?劇場という生の空間で、お客さんと演者の〝観る・観られる〞という関係性を特に意識しましたね! 劇場の進化の歴史を見つめ直して、プロセニアム(客席と舞台が対面)型の舞台の意味や、暗転(闇)が持つ特性などを大切にしました。それはどういった部分に活かされているのですか?単に舞台ではなく作品の世界にお客さんが自然に引き込まれて、一人ひとりが演者たちの表現と向き合える…。そこが特に強く演出や振付けに反映されていますね。だから表現を説明としてではなく、お客さんの潜在意識に直接伝えることができるんです!完成した舞台をご自身で観た感想は?絵画や彫刻でも「知識もなくてよくわからないけど涙が出た」って作品ってありますよね。それに近いものがあって、派手でカッコいいっていう種類ではなく、伝わるという意味で、アートでエンターテインメントな作品だと感じました!office@mkmdc.net問い合わせLAST BLACK FISHLAST BLACK FISHLAST BLACK FISH部屋、水槽、舞台などいくつかの空間を、様々な視点で表現しながら展開していく。ヒレをイメージした衣装が舞う様子が照明に照らされ、幻想的な空間が広がっていた。2014.1.16(thu)-20(mon)@ラゾーナ川崎・プラザソルMKMDC主催。振付家として年間100を超える演劇公演やコンサート、企業CMの振付けを行なう他、ダンサーや振付師の派遣業も行ない、マルチに活動している。松尾耕Profile新たな表現に挑む、技巧派ステージ第2弾。繊細な心情表現が随所に光り、観客も自然と自身を投影していく。彼女が〝私の大切な娘たち〟に語りかけることで舞台が展開していく。水中を自由に泳ぎ回るかのように、美しく舞い踊るダンサーたち。miotchery伊藤蘭久保澄恵ばんびMKMDC主宰田中良子(AND ENDLESS)巽徳子森澤碧音演出・振付/松尾耕Dance CompanyMKMDC第2回本公演44取材・文=安江雄彦text by Takepico Yasue写真=飯野高拓photography by Takahiro Iino

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