『SDM』 VOL.41
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意味を共有するようにしてます。―ちゃんとダンサーにフリに込めた意味を理解してもらうことが大事なんですね! TAKAHIRO‥振付けって、「与えるだけではなく、引き出す」という部分もあるんですよ。〝フリ〞という種を僕がまいて、ダンサーが大きくしていく。僕がアドバイスという肥料や水を与の2つが求められるわけです。そこが意識できてないと、大人数で面白いものを創るのは難しいと思います。MASAMI‥それと大人数の強みというか、テーマやストーリー性を持たせるのはやっぱり大人数の方が見せやすいですよね。表現の幅とか、出来ることの可能性が広がるのは良い所だと思います!―なるほど、やっぱり〝大人数振付け〞って、奥が深いんですね……。TAKAHIRO‥〝フリ〞って最初は振付師のものなんですよ。それからダンサーに渡されて、振付師の手を離れる。その〝渡したフリ〞がどれだけ命を持っているかが、僕は大事だと思っています。要するに、渡したフリを彼らが大きくしなくてはいけない。そうすれば最終的に僕より彼らのがうまくなっちゃうんです、絶対に。ただそのためには、そこに心みたいなものを宿さなくてはいけない。ですから僕は、1個1個のフリのそれができた時、想像以上のショーができあがるんです!―名言頂きました! では最後に、振付けにおいておふたりが大事にしていることお聞かせ下さい!MASAMI‥観る側の人にこう感じて欲しい、楽しんで欲しいという事を私は大事にしています。作品を動かす組織作りも大事なんですけど、その時に会場にいるお客さんに何かどういう気持ちになって欲しいか、そこからスタートして作品を積み重ねていくことが大事だと思いますよ!TAKAHIRO‥ほとんど語ってしまいましたが(笑)、観て下さる感性を刺激するクリエーションであること、そしてそのメンバーでしか出来ないものを創ること! そのメンバーだから出来る化学反応を起こすことが大事だと思います!えていくと、最後は僕が想像していたよりも大きい花を咲かせてくれるんですよ!MASAMI‥先日、TAKAHIROさんの振付けのお仕事のアシスタントをさせて頂いたんですけど、その〝お水や肥料の与え方〞がTAKAHIROさんの場合、すごく絶妙なんですよ! ダンサーの意見も聞いてくれるし、イメージに反したものであればちゃんと違うって優しく伝えてくれるんです。―振付けを「与えるだけではなく、引き出す」って、何か新鮮な考え方ですね!TAKAHIRO‥練習するのはダンサーたちだし、発表するのも彼らだから、僕には見えない疑問が浮いてくることもあります。その疑問も自分自身で解決し、発信することができればすばらしいですよね。MASAMI‥確かに、振付師からすれば、何から何まで指示して動いてもらうのと、ダンサー自身がこっちの意図を理解して自分で解決しくれるのとでは、パフォーマンスにも大きな差が出てきますよね。TAKAHIRO‥振付けを覚えることは〝受信〞だけど、ステージでやらなくてはいけないのは〝発信〞ですからね。発信者になる人の中に、〝受信〞と言う色が残っているほど発信力は弱まる。「受信したものをどれだけ自分の発信に変えられるか」、成功するためのダンスの振付け〟MASAMIダンスカンパニー『CARNIVAL』主宰。『Legend Tokyo Chapter.2』審査員賞受賞を果たし、日本独自の新らしいジャンルを確立した気鋭のコレオグァファー。かつてはクラシック音楽に精通し、幼少よりビオラや打楽器の奏者として活躍。大学では声楽を専攻する等、音楽性が非常に高い作品を創出している。現在は代表作である「CARNIVAL」を通じた指導やステージダンスの魅力の普及、また高校ダンス部の指導など、多方面で活躍している。Profile大人数作品イベントが増加している今だからこそ、考えるその時、会場にいるお客さんに何を感じて欲しいかを考えて創っています!そのメンバーだからできる、化学反応を!47

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