『SDM』 VOL.42
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――では、ご自身が昔レッスンに通っていた頃と比べて、ダンスのレッスンや受けに来る生徒に何か違いは感じますか?Oguri‥今の子たちは、良く言うとこだわりがある、悪く言えば視野が狭い感じがしますね。教えたフリは得意なんだけど、応用が利かないというか……。もっと色んな分野に触れてみて欲しいという想いはあります。原田‥私は逆に生徒に本音を聞きたいと思っていて、ダンスの先生を憧れのスターみたいな位置に捉えているのか、それとも「いつか抜いてやろう!」って気持ちがあるのか……。そういう向上心って絶対に必要だと思うんですよね。Oguri‥レッスンの最後に先生が踊っている動画を撮って満足しちゃってる子もいますからね。松田‥やっぱり今は情報が溢れているからこそ、気持ちが散漫になってしまっている部分もありますよね。昔はレッスン自体も、情報も少ない時代だったので、1回のレッスンも1秒たりとも無駄にしたくない気持ちで、逆に集中しやすい環境だったのかなって思います。YOSHIE‥絶対それはあるよ! 別に悪い意味ではないんだけど、今って教えてくれる先生もレッスンも沢山あるから、1回1回のレッスンの重さが私たちの頃に比べて軽くなってしまっている感じはあるよね。――と言うと、1回1回のレッスンが〝重かった〞頃は、どういった感じだったんですか?YOSHIE‥私の場合はですけど、もう1回1回のレッスンに衝撃を受けて、先生なんて話かけるのも1〜2年かかるぐらい雲の上の存在。だから今、自分のレッスンに初めて来た子に「アドバイス下さい」って言われてしまうのが、少し戸惑ってしまう感じはあります(笑)。――ですが、「上達するために先生からもらうアドバイス」というのは、生徒としてはやはり聞きにいきたいものだと思うのですが……。原田‥「アドバイスを聞きに行く」って上達するための近道だけど、一番その人にとってタメにならないことだと思うんですよ。私はアドバイスを求められたら必ず、「まずこのレッスンであなた自身が何を感じて学び取ったのか?」、それを考えてもらうようにしています。YOSHIE‥私もそうです! 「上手くなるにはどうしたらいいですか?」って聞かれることもあって、「それ聞いちゃう!?」って思うんですよ。そんな方法があったら私が教えて欲しいぐらいだし、ダンスが上手くなるのって、出来ない動きが出来るようになった喜び、その積み重ねというか、純粋にダンスが好きな気持ちしかないですよね。例え〝ダンスが上達する方法〞があったとしても、それは人から教えられるものではないと思います。――なるほど、失礼しました……。ある意味、「安易にアドバイスを求めないで、まずは自分で考えてみる」という事が大事なんですね!松田‥やはり、そうやってレッスンを受ける時の〝受け取り方〞が大きい子は伸びると思います。まずは自分自身で貪欲に考えて行動に移すことが出来る子は、何かいつの間にか一人で勝手に上手くなっていっている実感が個人的にありますね。Oguri‥上達するため、というわけではないけど、僕は今の若い子にはもっと色んなジャンルや表現に触れて欲しいと思いますね! 僕自身、色んなジャンルに興味があって、触れる機会もあって、それが今の自分に全部つながっているという事をすごく感じるんですよ。松田‥私もそう! ジャズだけに集中する時期もあったし、コンテンポラリーダンスとか他の表現に浸る時期もあったし、その全てを含めて今の自分だなって思います。――プロとして活躍する上でも、色んなジャンルの表現が出来るというのは大事ですよね!原田‥やはり仕事をしていると「表現の引き出しは多いに越したことはない」という事は実感しています。そうやって生徒にも色々経験して欲しいからこそ、私は生徒を〝自分の弟子〞みたいに囲う気はないし、むしろ色んな先生に習ってから、「今の私の踊りはこうなりました!」って見せに来て欲しい。そこで「一皮むけたね」って思えるのはすごく嬉しいし、ダンサーとして「負けていられないな」って刺激される、そう思えるのも嬉しいんですよ!――「色んな表現を経験する」というのは、やはり意識的に「勉強しよう」という姿勢が大事なのでしょうか!YOSHIE‥私の場合は、「自分がかっこいいと思える先生に出会えた」という事がとても大きいです。目標を立ててそうしたわけではなく、それが好きだという気持ちで行動した結果、色んなジャンルを学ぶ楽しさを知ることができました。――他に、レッスンを受ける上で大事な事は何かありますか?原田‥楽しいという気持ちは大事ですけど、私は〝厳しい環境〞の方がいいと思っています。出来ない動きがあったり、同じ生徒の踊りを見て悔しい、そういった気持ちってすごく大事なんです。〝一緒に習っている周りの生徒〞のレベルに引っ張られて上達することもあるんですよ。そういう時に、周りに遅れたくない、自分が引っ張でいたい、そういう姿勢を持って欲しいと想いますね。情報があふれる現代だからこそ、積極的な姿勢で!上手くなるためのアドバイス、それ聞きに来ちゃう!?色んな表現に触れてきたからこそ、今の自分がある!Prole15歳でダンスを始め、20歳から川崎悦子氏に師事、以後プロダンサーとしての活動を開始する。アーティストのバックダンサーや振付けの他、自主公演やソロ作品を発表するなど、数々の舞台で振付けと出演をこなす。また、インストラクターとしてもダンススタジオや劇団、大学サークル等、幅広く指導している。(s**t kingz)Prole実力派人気ダンスチーム、s**t kingzとして活躍。L.A.にて開催されたコンテスト『BODY ROKC』にて2年連続優勝を果たすほか、マライヤ・キャリーを始めBoA、三浦大知、BIG BANGなどのアーティストのバックダンサーとして活躍。アジア、ヨーロッパ、アメリカなど世界各地でパフォーマンスやワークショップツアーを行なっている。色んな刺激をもらえる場所。13

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