『SDM』 VOL.42
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 作品としては最後の順番となるRuu作品が終わり、始まった演目は「コレオグラファー紹介」。『Legend Tokyo』のオープニングのように、コレオグラファー達が順々にソロパフォーマンスと共に紹介されていく内容だ。 舞台中央に降ろされた白紗幕の全面に映像が映し出され、各作品の衣装を身に纏ったコレオグラファーのパフォーマンスと映像が高度に融合した演出に、来場者からは感嘆の声がもれる。そして、ゲストパフォーマーを含む全てのコレオグラファーのパフォーマンスが終わり、全員が舞台上に現れると客席からは惜しみない拍手が送られた。 そして続く公演最後の演目「カーテンコール(フィナーレ)」は、まさに今回の『FINAL LEGENDII』公演を如実に表していたと言っても過言ではない。内容としては、いわゆる多くの発表会や公演で行なわれる、出演者全員による〝フィナーレ〞ではあるが、そこに出演者たちの「最後だからハメを外して自分達が楽しむ」といった姿はない。 本番前に全出演者を集めて伝えられた、総合演出である伊藤今人氏からの「このフィナーレは、最後にもう一度みんなでステージに登場して、改めてお客さんに感謝の気持ちを伝える場所。おもてなしの心を持って臨んで欲しい」という言葉を皆が理解し、行動に移した結果と言えるだろう。 各作品がそれぞれの趣向を凝らし、見事なまでに統率された挨拶のパフォーマンスは、気高さすら感じさせるほどの気品と自信に満ちあふれていた。 そして最後の全出演者による三方礼の後、幕が降りて公演は終演を迎える……ハズが、来場者からの拍手は鳴り止まない。その為、幕が上がり、改めて伊藤今人氏による感謝の言葉、挨拶が来場者に伝えられ、幕が降りる。が、しかし、まだ拍手は鳴り止まない! 千秋楽に至ってはその拍手の長さから、挨拶後に3度も幕が上がるなど、来場者たちの最高の賛辞を受け、公演は幕を閉じた。 ダンスシーンにおける新たな挑戦であった〝再演作品〞だけを集めた公演『FINAL LEGEND』。多くの課題を残した昨年の初開催から約1年、その進化は、新たな文化の根付きを感じさせてくれるものであったと言えるだろう。23

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