『SDM』 VOL.43
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ダンススポーツの客観評価についての研究を行ない、2010年アジア大会ダンススポーツ競技では採点管理責任者を務めた。2013年10月にダンススポーツをはじめ、あらゆるジャンルのダンスの交流を図るイベントを、数多くの団体の協力を得て開催。三笠宮崇仁親王ご本人もたしなんでおられたことから杯を賜り、国内最高権威のダンススポーツ競技会を毎年10月に開催している。世界オープン選手権や内閣総理大臣杯など、国際イベントから全国イベント、都道府県単位の競技会など年間300回以上を開催・公認している。ジャッジ・システムの開発『ダンスコレクションin国技館』開催三笠宮杯全日本ダンススポーツ選手権大規模国際競技会などの開催―〝日本ダンススポーツ連盟〞とは、具体的にどのような組織なのでしょうか?  そもそも私たちが〝ダンススポーツ〞と呼んでいるものは、もともと〝社交ダンス〞と呼ばれているダンスを発展させて競技化したものです。その競技スポーツとしてのダンスを日本全国に広める組織ですね。規模としては日本全国すべての都道府県に支部機能となる加盟団体があって、全体の会員数は4万人ぐらいになります。―日本全国の各都道府県に加盟団体があるなんてスゴイですね!普段はどういった活動をされているのですか?  共通のルールの下に競い合う、競技会を数多くやってます。いわゆる柔道や剣道の〝段〞のように、A級、B級、……というランキングがあって、「A級競技会、B級競技会」というようにランキング毎に分かれて大会を行なっています。そこで勝つと上のランクに上がれる、負けが続くと下のランクに落ちてしまう、こういった競技会の存在が普及の大きな引き金になっている感覚はあります。子どもから80才ぐらいの高齢者まで、幅広い年齢層が参加しているんですよ!―国内だけではなく、海外の組織とも連携して活動されているんですよね?  組織としては、「世界ダンススポーツ連盟」という団体に加盟しています。その連盟自体はIOC(国際オリンピック委員会)からダンススポーツ統括団体として承認されており、また我々はJOC(日本オリンピック委員会)にも加盟しているんです。ですからダンスでも選手育成や競技会開催のための助成金がJOCなどからおりているんですよ。―では、今後ダンスがオリンピック競技になる可能性もあるんですか!?  もちろん可能性はあります。アジア・オリンピックといわれる『アジア大会』でも採用されたのですから。ただ、その為には審査基準をさらに客観化するなど、さまざまな努力が必要です。より客観的に、わかりや日本オリンピック委員会に所属する唯一のダンス組織!すい〝評価の理由〞が説明できないといけません。ただそうすると、フィギュアスケートのようにある程度、運動性能の評価に重きを置かざるを得ない、〝見た目の美しさ〞が評価されにくくなるきらいがあります。〝スポーツ〞として捉えると仕方がない部分ではあるんですけどね。―では、同じダンスではありますが〝ストリートダンス〞にはどういった印象をお持ちですか? ストリートダンス自体は過去に何度か関わりがあるんですよ。特に去年、多様なダンスジャンルが集う世界大会が台湾で実施されまして、その時にヒップホップ部門のダンサーが裏で練習で踊っているのを見て、動きが音楽に見事にハマっているのに感動しました! そのダンサーは音楽に対して筋肉が反応している、身体の中心で反応している! これは「スゴい!」と思いました! ただ1つネガティブな点を挙げると、あくまで個人的な感想ですが、長く見ていると飽きてしまう。キレよくリズムよく「音楽に合わせて動いています」という部分は素晴らしい。しかし、ストリートダンスはそこで終わっているダンサーが多いように思えます。そこから先の〝心の表現〞という部分がもっと伝わってくると、もっと素晴らしくなるんじゃないかと思います。―なるほど、興味深いご意見です! それでは山田さんは「Legend Tokyo」ではどういうポイントで審査されますか? ダンススポーツ審査員の経験上、やはり〝良いダンス〞というのはまるで楽器のように、身体が〝音楽を奏でている〞ように見えるんです。逆に言うと、「見ただけで音楽が聞こえてくるようなダンス」こそが良いダンス、そして〝表現の方法〞だと思います。 ですから、私がこの大会で審査させて頂くポイントも〝音楽表現〞になりますね。身体や顔の表情も含めて、音楽を伝えている、表現しているか。それが上手く作品としてこちらに伝わってくるかどうかをぜひ見たいと思っています!音楽への反応は素晴らしいが、長く見ていると飽きてしまう。国際ダンス競技の視点。ダンスをオリンピック競技にすべく、日本オリンピック委員会に加盟のもと、大規模な国際大会を開催している組織があることをご存知だろうか!? それが日本ダンススポーツ連盟。ストリートダンスとはまた違ったダンスの組織だ。その専務理事をつとめる山田氏は客観的なジャッジ・システムの開発を推進し、重要な国際大会のジャッジもつとめる存在。その視点に迫る!公益社団法人 日本ダンススポーツ連盟専務理事山田 淳日本オリンピック委員会にも加盟するダンススポーツ連盟の専務理事!民間企業に勤めながら、日本ダンススポーツ連盟に所属、アマチュア選手として全日本チャンピオンに輝く。現役を退いた後、同連盟の常務理事を経て専務理事に就任。客観的なジャッジ・システムの開発を推進し、2010年アジア大会の採点管理責任者ほか重要な国際大会のジャッジも勤める。〝競技スポーツとしてのダンス〟に広く精通し、広め続けている。いいダンスとは、〝動き〞ではなく〝表現している〞もの。それは、ジャンルを超えて人を感動させる!音楽表現。身体や表情も含めて音楽を表現できているかどうか!?28

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