『SDM』 VOL.44
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目に見えないものすら揃えることが出来たら、      作品はきっと素晴らしいものになる。目に見えないものすら揃えることが出来たら、      作品はきっと素晴らしいものになる。Memorable Moment Awards&PrizesMemorable Moment 受賞経歴2011年審査員賞ダブル受賞第3位優勝第3位KAORIが作品「レクイエム」をソロ出展し、審査員賞ダブル受賞。そして審査ポイントのみで換算した場合は1位同点となり、その名を関東のダンスシーンに広く知らしめた。Chapter.1大会の審査員であり、LAの大人数コンテスト『VIBE』のオーガナイザーJason Parkに認められ、長谷川達也と共に日本人初出場。「レクイエム」を披露し、日本人初の入賞となった。テレビ東京系ダンス番組「DANCE@TV」内の企画である『DANCE@HERO』に出場。みごと優勝を果たし、チームMemorable Momentとして初の大きな功績となった。2年連続の挑戦となった『VIBE』での出展作品は「No War」。前年度の好成績により出場順は大トリになるが、惜しくも(?)結果は3位。2年連続入賞という偉業を成し遂げた。『VIBE』と並ぶ世界トップレベルのコンテスト通称〝WOD〟。オーガナイザーからの強い出場要請を受け出場。「No War」を披露し、日本人初出場&ダブル受賞という結果を残した。3位&ベストテーマ賞『Legend Tokyo Chapter.1』『VIBE Dance Competition 17』『VIBE Dance Competition 18』『WORLD OF DANCE LA 2013』『DANCE@HERO 4th SEASON』2012年2012年2012年2013年―確かに、大人数が関わる事で〝気持ちを揃える〞ということは、一番の原点かもしれませんね! それって難しいけど一番大切な事なんですよ! 私はいつも作品でユニゾンの揃いなどの〝振付けのシンクロ率〞を重視しているんですけど、それって目に見えないものをどれだけ揃える事ができるかが大事なんです。 気持ちはもちろん、呼吸や空気感、そういうった写真や動画では決して伝わらない部分、見えない何かをいかにみんなで1つになって揃えるか……。 それが出来たら、素晴らしい作品が出来上がると信じているんです。―深いですね……。でも実際、具体的なフリの揃い具合をチェックすることもありますよね? そういう時はどうしてるんですか? 私の場合は、斜めや横から見て揃ってるかどうかを確認します。普通は作品のチェックって、前からしか見ないじゃないですか? でも、前から見て揃っていても、横から見たら揃っていない事が多い。そういう場合は本当に〝揃っている〞とは言えなくて、「どこから見ても揃っているユニゾン」とは伝わり方が全く違うんです。 そういった〝形〞が揃うのも、やっぱり目に見えないものをどれだけ揃えるかにかかっているんですけどね。―では、あの流れるような複雑な構成展開はどう創っているんですか!?  作品を創る時は、まず観る人の意識のバロメーターを考えるんです。同じような形が30秒も続くと観てて飽きるから、飽きさせないように変化させる。それもスピード感を持って……、そういう所にこだわっていますね。―パートによっては一瞬で三角形から円形になる等、かなりタイトな移動や入れ替わりがありますよね? やっぱり最初は移動でぶつかったりして円滑にいかないですよ。ただ、「こういう形からこういう形になって欲しい」という絵が見えているので、とりあえず1回やってみる。で、移動に問題がある人が出てくるので入れ替えて、そしたら違う所がぶつかって……というように、試行錯誤の連続ですね!―でも、立ち位置の入れ替わりを繰り返していたら、踊るパートも変わってしまう……というダンサーも出てくるのでは!? ありますね。それはもう「ごめん、ごめん!振り覚え直して!」って言うしかないです(笑)。やっぱり作品の構成や出来を一番に考えているので、ダンサーの「このフリを折角覚えたのに」という気持ちを考慮する事はありません。 というのも、私自身がそういう育て方をされてきたからなんですね。昔所属していたカンパニーでは、人が踊っているのを見ていると「今の踊れる?」って聞かれて、踊れたらその役を貰えたりして。 いつ来るか分からないチャンスのために、とりあえず色んなフリを覚えておく、そんな事が日常茶飯事だったんです。 だからこそ、みんなも「作品が良くなるんだったらフリを覚えなおします」って快く応えてくれる、そう信じてやっています。―ダンス以外の部分でお聞きしたいのですが、作品ラストのユニゾンの前、ダンサー全員が叫び声のような声をあげていましたが、あれも指示した演出なんですか? いえ、あれはリハを進めていくうちに、生半可な気持ちじゃダメだ、もっと伝えないとダメだって同じ重さの気持ちにみんながなった時、自然と出てきてものです。だって私から「ここで声を出して」なんて言うと、表現だったらウソっぽくなっちゃいますよね? 気持ちがあふれて声に出ていたものなので、本番当日なんかはラストだけでなく、実はみんな途中の移動で走ってる時からわーわー叫んでたんですよ(笑)!―では、最後に作品タイトルの横断幕を掲げたのはどういった意図があったのでしょうか? わざわざ文字として出さなくても充分に伝わっているのに……という感想もあったかと思います。 そうですね、そう思われてしまう事もある程度予想していましたが、単純にわかりやすさ、伝わりやすさ、それのみです。最後にあの幕は出すべきかどうするか、メンバーでも話し合いましたが、あれは出すべきだという結論に至りました。―なるほど! 色々と「No War」についてお答えいただき、ありがとうございました! 最後に、これからの展望をお願いします! 冒頭でも話しましたが、「No War」は引き続き、さまざまな機会、場所で披露し続けていきたいと考えています。具体的な予定では、今度の「Legend NEXT」プログラムと『FINAL LEGENDⅢ』にも「No War」で参加させて頂きます! また、来年の6月には私たちの旗揚げ公演である『GIFT』の東京での再演も予定しているので、ぜひ色んな場所で私たちを観に来て欲しいですね!見えないものも揃えることが出来る!?ごめんで済ます!複雑な構成は試行錯誤の賜物!気持ちが溢れて声に出て、移動の時からわーわー叫ぶ!17

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