『SDM』 VOL.49
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 全体で2部構成となる今作、KAORIaliveが手がけたシーンは2部冒頭の平民が決起するシーン、そして2部中盤の革命派と軍隊の衝突、そしてクライマックスであるバスティーユ襲撃のシーンといった、公演全体の中でも全てが〝超〞重要とも言えるシーンだ。 KAORIaliveならではの、大人数を活かした構成展開と群舞のユニゾンがみごとに宝塚歌劇と融合し、登場人物たちの確固たる意志が身体表現によって観る者の心を揺さぶり、激しさを増す衝突の緊張感を増幅させる。その振付けの手腕はもちろんとして、それが最大限に活きるようなシーンの振付けを割り当てた小池氏もさすがと言えるだろう。 そして物語が終幕となると、宝塚伝統のフィナーレが始まる。天井まで届くかのような大階段が登場し、一糸乱れぬラインダンス、衣装替えをしたタカラジェンヌたちが活き活きとしたパフォーマンスで〝閉幕〞すら盛大に演出していく。 今年で101周年を迎えながら、常に進化を求める宝塚歌劇。KAORIaliveの振付けは、その偉大なる歴史に新たな風を吹かせたと言っていいだろう。KAORIaliveの振付けは〝超〞重要シーンの連続!KAORIalive抜擢の真意とは!?INTERVIEW with小池修一郎宝塚歌劇団 演出家/『1789』潤色・演出年齢とかにかかわらず、どういう人が見ても視覚的効果と同時に心も両方つかめる。これはすごいことですよ。―小池先生から見ても、KAORIさんの力はずば抜けていたんですね! 作品力としてもそうですが、あとは指導力もそうですね。「No War」に出演していた方々はほとんどがアマチュアの方ですよね? そういう人たちを使ってあれほどの作品を創れるのは、指導力がある証拠です。―では、今回のKAORIさんの振付けの感想は……? もう大満足ですよ! 稽古時間の短さに苦労されていたことは伺いましたが、こういった現場の、ある意味「悪条件の中でどれだけできるか」という経験をされて、まだまだこれからも伸びると思います。彼女の才能は宝塚だけではなく、日本のショービジネス界に新しい風を吹かせると思いますし、それが『Legend Tokyo』で発見されて世に出るきっかけになれば素晴らしいことですよね!―まず率直に、KAORIさんに振付けをオファーされたのはどういった経緯があったのですか? それはもう昨年の『Legend Tokyo Chapter.4』で彼女の「No War」を観た時に、「この人は宝塚に向いている!」と思いましたね! なぜなら、彼女の作品には女性がたくさん出ていて、兵隊という男役が多かった。つまり「女性が男性として動くことへの違和感」をもっていない、「この人は絶対に創れる!」と思ったし、むしろそれが既に出来ている。もう「待ってました!」という印象でしたね!―確かに、女性ダンサーでも力強く兵隊役として踊っていましたよね!  それと、集団の動きやフォーメーションを上手く創れるかという点。感性だけでやっているのではなく、彼女は非常に計算して創りあげている。人の移動や見え方をきちんと計算して創っている。それが素晴らしかったです。群舞で構成的に格好良さを創れるのは才能で、KAORIさんの場合は観る側の王政に堪えかね、遂に民衆が蜂起する! 〝フランス革命〟という史実に基づいた重要シーンだ。1人として同じものがない、時代背景も考慮した衣装にもこだわりが光る。主人公ロナンを演じるのは、月組トップスター龍真咲!大がかりな衣装と舞台装置で、王妃アントワネットの登場シーンはインパクト大!王妃アントワネットを演じるのは、月組トップ娘役である愛希れいか。物語の終了後、フィナーレは宝塚伝統の大階段で披露される!こちらも宝塚伝統、フィナーレの一糸乱れぬラインダンス。国王の失脚をもくろむ王弟アルトワ伯爵。僧侶、貴族、平民の代表からなる議会〝三部会〟は史実に基づいたもの。高い作品力と構成力、そして指導力。彼女のような才能を待っていた!15

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