『SDM』 VOL.49
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史上空前の戰い、雌雄を ―過去3大会で審査をされ、5年目を迎える『Legend Tokyo』をどう見ますか? 私自身、〝レジェンド〞は企画自体がキチンと掘り下げられているところが素晴らしいと思っています。ダンスの新しい魅力を引き出すためにどうあればいいのか徹底的に考え、〝観る側の視点〞というダンスに今まで欠けていた部分を追求している。出展コレオグラファー、大会側ともに回を重ねるごとに進化させようという想いも毎回伝わってきます。前回Chapter.3で審査員をした際に、「ブランド化し、アリーナなどでも開催して欲しい」とコメントしましたが、5回目にして早くも1つの目指すべき形を達成しつつありますね。―〝企画が掘り下げられている〞とは具体的にどういった部分でしょうか? 様々ありますが、特に私たち企画側の人間が好きな点として、審査員に〝○○の視点〞というものを設定しているところです。ダンスも作品となれば、評価する見方は〝ダンサーの視点〞だけではない。それを暗に示唆しつつ、同時に多様な視点を設定することによって、各作品の〝個性〞も認めていく。ダンス作品の潜在能力や可能性を引き出し、さらに各業界に向けてその魅力をプレゼンする場にもなっていて、ビジネス的にみてもよく考えられているのを感じます。―この5年間、ダンスシーンはどのように変わってきたと思いますか? ダンス必修化もあり、それに伴ったマーケットが拡大をみていると、ダンスが一つの産業や文化としての新たなステージに入ったと感じています。 その中で〝レジェンド〞は、その新たな産業ステージに耐えうるコンテンツを、ダンス業界内に醸成する重要な役割を担ってきたと思います。 それに一観客としても〝ここでしか観られない〞ものを観ることができるのが純粋に楽しみですね!―振付師のどんな能力に注目していますか?  やはり、「求められているもさまざまな視点という考えが、作品の可能性を引き出す!のは何か、どうしたらより良く表現出来るのか」を戦略的に考えることができる振付師ですね。主観じゃなく客観的な視点で見れる人。仕事をお願いしたときに「自分はこういうものを作りたい」だけだと、ビジネスには成り難いと思っています。そういう人は、自分が評価されないと「俺たちを分かってくれない相手が悪い」という考えになってしまいがちですから。―今後、ダンスシーンが発展していくためにはなにが必要だと思いますか? 今の日本のダンスシーンはまだ閉鎖的で、どうしても発展途上の無秩序な部分があります。ルールを理解することが大切だと思います。例えば野球で言うと、ボールを投げてバットで打つだけでは世界に広がらない。でも〝野球〞という1つのルールを作って、その決まり事をみんなが受け入れて初めて大衆に広がる。だからダンスを広げて発展させるためには、ルールを作り、それをみんなが理解するということが必要だと思います。―では最後に、審査員としてどのような作品を期待しますか?  私がいつも重視するポイントは大きく3つ! まず〝観てタイトルが想像できる作品〞。「これを表現する!」という意志があって、それが明確に表現出来ているのか? 抽象的でどうにでも取れるものに逃げてしまうと文化としては広がりません。だから2つ目のポイントは〝そのタイトルをどう表現するのか徹底的に考えた作品であること〞です。特に本大会の特徴の1つである〝コンテストでありながら作品名がある〞ことは、ダンスが文化として広がるために非常に重要なことです。そして3つ目は、やはり〝感動・ストーリー性・予想を裏切る創造性〞をみせてくれる作品ですね! そして、この企画は作品発表の場ではなく大会なので、皆さんには自己満足ではなく、勝つために挑んで欲しいと思います。 何が求められるのか? 今までのダンスコンテストとは何が違うのか? それらを徹底的に追求し、ちゃんと〝レジェンド〞という大会に向き合った作品で挑んで欲しい。最優秀作品賞に輝くべく創造された最高の作品、期待しています!作品にタイトルをつける。その意義を考えて欲しい!Job File今大会審査員の中、唯一Chapter.1大会より参画し続けている青木義人氏。ダンサーの才能発掘・キャスティングを担っている〝エイベックス・プランニング&デベロップメント〟の社長であり、ダンス文化の普及・振興を目指すJSDA理事長も務めている存在として名高い。大会創世記よりダンスシーンの遷移を見守り続けてきた視点に映る〝レジェンド〟とは!?かつてプロデュースを手がけたテレビ番組「RAVE2001」で感じたことをもとに、エイベックス・グループ内で〝職業としてのダンスの成立〟にこだわったさまざまな事業を展開。avex artist academy、avex Dance Master、JSDAなど、その功績は計り知れない。現在も、この新しい日本の文化を世界に広げるべく、事業拡大を目指している。エイベックス・プランニング&デベロップメント株式会社代表取締役社長JSDA日本ストリートダンス協会 理事長青木 義人ダンス文化普及・発展の視点次世代アーティストの育成を目的とし、2001年に設立。エイベックスならではのノウハウとリソースを活用し、多くの若者の夢を支援している。エイベックスで開発・導入されたレッスンプログラム。全国170店舗、会員数1万6千人以上! 大規模な合同発表会『DANCE NATION』も開催。98年~00年放送のダンス番組。この番組をキッカケにストリートダンス・ブームが起こり、ダンススタジオ・大学ダンスサークルが活性化した。avex artist academyavex Dance MasterRAVE20012001年に設立され、検定や活動支援を通じてストリートダンスの普及・発展を促進。ダンスビジネスの確立・マーケットの拡大に貢献している。JSDA日本ストリートダンス協会PROFILE「RAVE2001」、JSDAをはじめ、常にダンス人口を拡げてきた開拓者!作品タイトル・表現に対する明確な意思、それを達成するための創意工夫!03〝レジェンド〟とは何なのか!? しっかり真意をみつめた者が栄光に輝く!23

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