『SDM』 VOL.49
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―美内先生はかなりたくさんの舞台作品をご覧になっているとお聞きしましたが、やはりご自身の作品が舞台化されているのに関係しているのですか? おかげさまで「ガラスの仮面」は過去何度か舞台化され、脚本として関わらせて頂いたこともありますが、他の舞台に関しては単に私が好きで数多く観ているだけなんですよ! もともと「ガラスの仮面」はお芝居をテーマにした作品なのですが、役者さんや演出家さんに詳しく取材をしてしまうと逆にアイディアが湧きづらくなってしまうと思い、自分がお客さん視点として、たくさんの舞台を観に行くことにしたんです。それこそ小劇場から大きな劇場まで、主人公がパントマイムを遣るときはそういう作品を探して観に行ったり、バレエの動きをする時はバレエ作品を観るようにしていました!―では、ダンスの舞台作品も数多く観てらっしゃる? もちろんバレエはたくさん観てきました。今でも覚えているのが「ロミオとジュリエット」のバレエで、台詞がある芝居よりも、踊りだけでジュリエットの気持ちがすごく伝わってきて、ものすごく感動したことを今でも覚えています! 身体表現は、台詞以上にここまで人に気持ちを伝えることができるんだなって、大きくインスピレーションを受けました。―いわゆるストリートダンスをご覧になったことはありますか? あまり数は多くないですが、先日ちょうど大阪でやっている舞台を観に行きました。すごく面白くて、あまり今までストリートダンスって一般の人には「面白さがわからない、ついていけない」という印象だったんですけど、その面白さがお客さんにしっかりと伝わっているなと思いました。 それと今は学校教育にも取り入れられてますし、最近の若い方は〝リズム感〞が昔の人とは比べものにならない程いいですよね!  『Legend Tokyo』のよう身体表現は台詞以上に雄弁に伝えてくれる!な大会が横浜アリーナで開催されることもそうですが、舞台表現の1つのジャンルとして、まだまだ大きく発展していくと思いますよ!―ちなみに、ベストセラーマンガ家という〝クリエイター〞として、美内先生が作品創りで意識されていることを教えていただいてよろしいですか? 私の場合はですけど、外部からの評価を最初から気にしていたら本当に気持ちのこもった作品は創れないと思っています。自分自身の感覚や自分に関わる些細なものをすべて忘れて、別の世界、自分が完全に作品の世界に入る。そうやって「自分自身を忘れる」作業を大事にしています。―なるほど! 意識を完全に作品の世界の中に持っていく、没入することが大事なんですね! ただ、「読者に喜んでもらいたい」という意識だけは持っていて、あとは作品の世界の中でキャラクターたちの気持ちに切り替えながら創っています。 外からの評価なんかは後からついてくる。良くない評価が来たら、その時に受け止めればいんですよ!―では最後に、今回の〝レジェンド〞では、どのような作品を期待されますか?  やはり音楽なくしてはダンスはありえないだろうし、音楽というものをどう身体で表現してどう見せてくれるのかを期待したいです。 ただ、見終わった後で私自身の価値観もガラっと変わるかもしれない(笑)。そんな作品に出会いたいですし、予想を裏切ってくれるような、考えもしなかった新しい表現をみたいですね!  それこそ10年後とかに「10年前の横浜アリーナのあのダンスはすごかったな」って印象に残るような作品ですね。 私も40年近く、ダンスもバレエも能も日本舞踊も、色々なものを観てきましたが「どれが一番面白かったか?」って聞かれると、ほんの数本しか出てこないんです。そして、そこに残る作品を期待したいです!最初から評価を気にしてたら本当にいい作品は創れない。Job File累計発行部数5000万部以上、連載開始より約40年を迎える少女漫画の金字塔、「ガラスの仮面」。その作者である美内すずえが〝レジェンド〟の審査員として参加! マンガの題材として数々のステージを取材し舞台芸能にも精通。過去幾度も舞台化された作品には脚本としも参加している彼女。日本が世界に誇るマンガを創りだしたクリエイターが捉えるダンスとは!?高校時代に「別冊マーガレット」にてマンガ家デビュー。以後、次々に意欲作を発表し、1976年に自身の代表作となる「ガラスの仮面」を雑誌「花とゆめ」にて連載開始。1995年に「日本漫画家協会賞 優秀賞」を受賞する。作品はテレビアニメ化、ドラマ化、舞台化を果たし、特に舞台化においては脚本や監修としても参加するなど精力的に活動している。漫画家「ガラスの仮面」作者美内 すずえ舞台漫画クリエイターの視点言わずと知れた少女マンガ界における金字塔であり、彼女の代表作。1976年より連載が続いている日本屈指の長寿作品。「ガラスの仮面」のオリジナル劇中劇が2014年に舞台化! 2015年9月に2度目の舞台化が幕を開ける!「ガラスの仮面」における幻の名作として描かれる作品が能として舞台化! 2006年初演、2015年9月に再演。マンガ「ガラスの仮面」舞台公演「女海賊ビアンカ」原作・脚本能「紅天女」原作PROFILE日本舞台マンガ界の金字塔、「ガラスの仮面」作者!音楽をどう身体で表現するか? 10年後も思い返せるほど印象に残る作品を!09舞台「ガラスの仮面」!幾度となく舞台化された作品が、2016年再び舞台作品に!キャスト・スタッフ詳細は随時公式サイトにて発表!自分のすべてを忘れて作品世界に没入してこそ、真に面白い作品を創ることができる!史上空前の戰い、雌雄を 29

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