『SDM』 VOL.50
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Legend Tokyo Chapter.5WINNER’S PIECE REVIEW来る恐怖。ホラー新世紀。 2014年、東日本公式予選である『Legend EAST』において、審査員評価パーフェクト突破を果たし、華々しい経歴で前大会に臨んだSeishiro。総合的には審査員から高い評価を得ながらも、惜しくも受賞を果たせず、「苦汁をなめた」とも言えるだろう。 その経験を糧に、「レジェンドへの挑戦は今回で最後」と公言し、臨んだ今大会。繊細かつタイトなフリが持ち味ともいえる彼が、横浜アリーナの広大なステージに満を持して送り出す作品は、以前にスタジオの発表会で披露したという作品でもある「小芥子」。 前代未聞となる巨大なステージで彼の持ち味は活かされるのか? その疑問を払拭するかのように、繰り広げられたその作品は圧倒的な世界観を構築していた! 童謡「かごめかごめ」から始まる不気味で異様な空気感、座敷童のような恰好をした無機質な演者たち……そして何よりも目を引くのは、舞台後方に設置された巨大な〝鳥居〞。ステージの階段自体を〝神社の参道〞に見立て、ステージ後方の巨大な空間全体を演者アクティングスペースとして使用せずとも、演出的に〝神秘的で怪しげな空間〞に仕立て上げていた。 また、さまざまなジャンルの要素を取り入れたというオリジナルのスタイルの斬新さはもちろん、圧倒的なシンクロ率をみせるユニゾン、スピーディーに展開されるフォーメーションは観る者に息つく間を与えないほどの迫力を放つ! 加えて、随所に盛り込まれるアクティングや演出表現が作品の展開に緩急を与え、終盤には「かごめかごめ」をEDMとして大胆にサンプリングした楽曲で、怒涛の展開を見せる! この圧倒的な世界観、起伏に富んだ展開で会場全体を引き込んだ作品は、前人未到のスケールで開催された5周年大会を制し、みごと最優秀作品賞〝レジェンド〞の座を手に入れた。深く、静かに、速やかに。巨大な空間を制した究極の作品力!Seishiro作品Supported by En Dance Studio小芥子こけしJapanese Kokeshi Dolls ‒Children Who were Never Born-18

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