『SDM』 VOL.50
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―率直に、優勝されてご感想はいかがですか? このスタイルで勝てたということは、すごく嬉しかったです! 〝レジェンド〞は評価基準がダンスをやっていない人も楽しめるかどうかなので、伝わりやすさや分かりやすさを大切にしなければいけない反面、自分が信じて追求してきたものを評価されないと意味がないと思っていて……、そのバランスがすごく難しかったですね!―確かに、分かりやすさは大事ですが、本当にそれが自分のやりたかったことなのか……というジレンマは生まれますよね。 そうです、私はお客さんが家に帰るまでがエンターテインメントだと思っているので、「あの人はどんな想いで作品を創ったんだろう?」って考えてもらえるような、明快な分かりやすさだけがエンターテインメントではないと思うんですよ。―では、そもそもなぜ「小芥子(こけし)」をテーマにした作品を創ろうと思われたのですか? もともとエレクトロミュージック(EDM)が好きで、1〜2年くらい前から思い描いていた「かごめかごめ」からEDMへの展開は「絶対にいける!」って変な自信があって(笑)。ただそれだけだと面白くないから、そこにちゃんと意味を持たせたい。 それで、〝都市伝説〞といった類のお話も元々大好きで、そこから「かごめかごめ」の都市伝説のお話に結びついたんです。―「かごめかごめ」には、確かに歌詞の解釈が諸説ありますね! 諸説ある中で、「神社の参道で、妊娠している女性が後ろから突き落とされて流産してしまった」という説に惹かれて、その〝流産〞というワードから〝こけし〞が繋がっていきました。 と言うのも、こけしにも発祥が諸説あって、昔の日本の「子供がいては仕事ができないと煙たがられた時代、自分の手で殺めてしまった子供への供養」という説があるんです。もちろん、これが正しいという説ではないですけど、そういった色んな説から自分なりのお話を創りあげました。―まず「かごめかごめ」があって、そこから「流産」をキーワードに「こけし」へと繋がっていったんですね! そうですね、なのでいわゆる〝ホラー〞の作品ですけど、ひしひしと伝わってくる日本ならではの繊細な恐怖、そこから見えてくる美しさや狂気を表現したいと思っていました。 ハリウッド映画的なホラーの怖さではなく、怖がられる側の幽霊もなりたくてそうなっているわけではない、悲しい運命の結果そういう存在になってしまった……。そういう切なくて儚い美しさがあって、そういった部分も表現したかったんです。―では今度はダンス的な面をお聞きしますが、ジャンル的にヴォーギングと言ってよいのでしょうか? 独特なスタイルかと思いますが……。 正確には、ヴォーギングの要素を取り入れたスタイルですね。ベースとしてはジャズがあって、ヒップホップやコンテンポラリーの要素も入れてミックスしているスタイルです。 〝スタイル〞と言っても、「オリジナルのスタイルを作る!」なんて思っていた訳ではなくて、好きなものを追求していって自分なりに消化していって形になったものが今のスタイルだと思います。スタジオでは無難に「ジャズ・ヒップホップ」のレッスン名ですが(笑)。―そうだったんですね! では、あの巧みな構成とフォーメーションはどうやって考えたのですか? 私の場合、上手い下手で立ち位置を考えることはなくて、どの身長がどこにいるとキレイに見えるのかで考えています。 それと、正面から見ただけだと横(奥行き)のラインが合っているか分からないから、横や後ろや斜め、色んなアングルから見て、立ち位置がキレイに揃うようにしています。みごと昨年の雪辱を果たし、5代目レジェンドの座を獲得したSeishiro。その道のりとは? そして作品に込めた思いを、今、ここに語る!〝都市伝説〞から生まれた作品。立ち位置を決めるのは、上手い下手じゃない!?日本ならではの繊細な恐怖、そこから美しさや狂気が見えてくる。福岡出身。2011年に上京後、ジャズやヴォーギング、コンテンポラリーなどを取り入れたオリジナルのスタイルで人気を博している実力派ダンサー&コレオグラファー。きゃりーぱみゅぱみゅや玉置成実、E-girlsなど、名だたるアーティストのバックアップや振付けを担うほか、2014年には『Legend EAST』において審査評価パーフェクト優勝を飾るなど、若くしてその類い希なる実力で輝かしい経歴を誇っている。SeishiroSDM VOL.50 COVER DANCERSeishiroLegend Tokyo chapter.5 WINNER 〝Legend〟Special Interview20

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