『SDM』 VOL.50
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ダンス文化普及・発展の視点。青木 義人エイベックス・ プランニング&デベロップメント株式会社代表取締役社長JSDA日本ストリートダンス協会 理事長かつてプロデュースを手がけたテレビ番組「RAVE2001」で感じたことをもとに、エイベックス・グループ内で“職業としてのダンスの成立”にこだわったさまざまな事業を展開。avex artist academy、avex Dance Master、JSDAなど、その功績は計り知れない。現在も、この新しい日本の文化を世界に広げるべく、事業拡大を目指している。アート・クリエイティブとしての視点。榎本 了壱日本文化デザインフォーラム 理事 / 副代表幹事京都造形芸術大学 客員教授 日本ダンスフォーラム ボードメンバー株式会社アタマトテ・インターナショナル 代表ダンサー全員がステージの醍醐味を存分に楽しんでいる、踊る喜びがヒシヒシと伝わってくる大会であった!〝良いダンス〞は、世の中に増えてきた。これからは「それをどう広げるか?」が大切だ!武蔵野美術大学を卒業後、寺山修司の映画美術を担当。雑誌「ビックリハウスsuper」の編集長を経て、1986年アタマトテ・インターナショナルを設立。2007年には、日本コンテンポラリー・ダンス界の年間賞を贈る「日本ダンスフォーラム」を発足するなど、パフォーミング・アーツにも精通。2020年、東京オリンピックのエンブレム選考委員を務めるなど多岐にわたるアカデミックな活動をこなす。トダンス〞というカテゴリーを完全に超えた内容になっていますね。やはり時代と共に〝ストリートダンス〞という言葉も変化していくべきだと思います。いっそのこと、〝ダンスの新しいカテゴリー〞がこの大会から出てくるような、強烈な表現やメッセージを輩出していけたら、より発展していくと思いますね!思います。ダンス文化というものは始まったばかりだから、今後は色んな人が「観に行きたい」と思うもの、そして「実際に観に来てもらうような文化を作っていくことが重要です。 だからこそJSDAでも『Legend Tokyo』を応援しています。この文化をもっと広げていって欲しいですね!―今大会の全体的な感想はいかがでしたか? 全体の感想として、過去の大会と違って、「細かいディテールで魅せるというよりも「全体観で魅せる」という作品の方が印象に残った気がします。 その中でも、HIDEBOH作品は〝生命の息吹〞を文字どおり感じることができ、非常に快作だった思います。まさに〝観る者誰もが楽しめる〞エンターテインメントであり、さらに、この作品は観るだけでテーマを聞かなくても、「こういうことが言いたいのだな」と想像することができます!―他に印象に残った作品はありますか? Fly Six B作品も、あそこまでテーマがはっきりしていて世界観があると非常に面白い。横から観てもちゃんと楽しめるように作られていました。あとは、MASAMI作品やAnri作品もすごく良かった!やはりテーマと世界観がしっかりしている作品が見ごたえがあるし、面白いと思います。あと、Zoo-Zoo作品もなかなかインパクトがあり、「ズニクロって何なんだろう?」って気になってしまいました。 あと、どこから観ても楽しめる様な作品もあると思いますが、コンテストという事を考えると正面から見られる事を意識して、作品を創った人が多いと思います。 そうした中、今回審査席が途中で正面から横と変わった事などは、今後の課題だと思いますね。―では今後、ダンス文化を普及させていくためには、どのようなことが必要だとお考えですか?  良いダンスというものは世の中に増えてきている。だから、「それをどうやったら上手く広げられるか」ということを考える必要があると―今大会の全体的な感想はいかがでしたか? どの作品もダンサーたちが喜んで踊っていて、その姿が一番、心に響きましたね。全作品、ダンサーたちが一生懸命ダンスというものに打ち込み、踊る喜びに満ち溢れていたことがとても印象的でした。実際、本大会では自分たちではなく、「お客様が作品を観て面白いか?」ということが重要な要素となりますが、その前にダンスの根源というものは、「自分たちが踊って楽しいか?」ということでもあると私は思っています。実はこれがダンスで一番大事なことなのではないかと感じましたね。―印象に残った作品はありますか? この5分のプレゼンテーションでほぼ振付師としての能力は見えてきますよね。その中でMASAMI作品はダントツでした。極めてクレイジー! あれだけの人数を束ねられる能力を持つ振付師の今後に大いに期待が持てますよね。 次にNATSUKO作品の可能性! 作品の演出の中で、4人の町人がおっかなびっくり遊郭の門をくぐる表情が特に面白かったです。「踊りと仕草の中間の領域」という、ある意味、曖昧なムーブメントでとても印象的な風情を創っていました。そして、Zoo-Zoo作品。彼女のなかにある特異な感性というものには、今後、とてもたくさんのファンが付く可能性があるのではないでしょうか?―今後、大会を発展させていくためには何が必要でしょうか? 『Legend Tokyo』には今後も、ダンスそのものを興業の中心に持って行く先導となる大会であってほしいです。そしてすでに、コンセプトとして掲げている、〝ストリーHIDEBOH作品「希望への生命の音」審査員賞は、このコレオグラファーの作品に!MASAMI作品「レゲエ革命 ~アジアンフィーバー~」審査員賞は、このコレオグラファーの作品に!審査員授与の決め手は!?まさに誰もが楽しめるエンターテインメントであり、〝生命の息吹〟という作品とテーマに明快な一貫性があった!審査員授与の決め手は!?大人数によるパワーあふれるダンスに加え、そのダンサーたちを見事に作品として束ねあげた振付師としての高い能力。0304PROFILEPROFILE「RAVE2001」、JSDAをはじめ、常にダンス人口を広げてきた開拓者!新たなる芸術表現を見極める現代アートのプロフェッサー!40

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