『SDM』 VOL.50
43/68

総合プロデューサーの視点。おちまさと株式会社おちまさと事務所代表取締役社長 プロデューサー自分たちの旗には理念を書くべき。まずは〝ダンス本来の魅力〞を伝えて欲しい!これまで数多くの人気番組から企業ブランディングまで、多岐にわたり活躍。マーケティング会社、IT企業、アパレル企業、食品企業、不動産、保育園や子ども関連など、全国数十社のCBO・顧問・ネット戦略のブランディングを務める。厚労省イクメンプロジェクト推進メンバー、経産省協力クールジャパンマッチンググランプリ総合プロデュース。著書も多数出版している。ミュージカル演出家の視点。小池 修一郎宝塚歌劇団理事/演出家空前の巨大会場で作品を披露するという貴重な経験、これを受けての今後の変化が楽しみだ!大学卒業後、演出家を目指し宝塚歌劇団に入団。演出助手時代を経て、1986年に演出家デビュー。以後、「エリザベート」や「華麗なるギャツビー」など数多くのヒット作を手がけるほか、外部ミュージカルや2007年「世界陸上選手権」の演出を手がけるなど、日本屈指の舞台演出家として活躍。その功績が讃えられ、2014年には紫綬褒章※を受章している。※学問や文化、スポーツの分野において、優れた功績を残した功労者に送られる褒章演出やメッセージがスゴくてもいいけど、まず中心にはダンス自体の素晴らしさがあることが必須です! ゲスト作品でしたが、やはりMemorable Momentはそれを体現していましたよね。 自分たちの旗には〝理念〞を書くべき。そこを貫けば結果として優勝はついてくるものだと思いますよ!作品がものすごく努力と模索をしながら挑んできていると感じました。この規模の会場で作品を披露するという経験は日本のダンスにおいて非常に貴重な財産になったと思います。この経験を受けて、来年また会場が舞浜アンフィシアターに戻った時、どのような変化が起こるのか、楽しみにしています!―今大会ではどのような見方で審査されていましたか? 僕は職業上、〝メジャー感〞というものをどうしても見てしまうんです。その瞬間の出来はもちろん、「今後どう広がる可能性があるか?」という点ですね。 その点で言えば、僕の中では圧倒的にHIDEBOH作品が素晴らしかったです。横浜アリーナという広大な空間を活かしながらも、みごと自身の強みであるタップダンスの魅力を観る者すべてに伝えられていたと感じました。―なるほど、そういった視点が〝プロデューサーの視点〞なんですね! おそらくHIDEBOHさんは、海外に行って、現地でダンサーを集めても同じことが出来ると思います。作品が仕組み化されているし、コンテンツとしても海外に持ち運び出来るものになっています。そういう意味ではRuu作品もそれに近いものを感じました。僕の中ではHIDEBOH作品と並んで2トップですね! それと、すごく印象に残ったのが、teensゲストの京都文教高校ダンス部! キレやユニゾンのシンクロなど、〝ダンス〞が貫かれていて、大会本体の参加振付師が忘れそうになっているものを思い返させてくれたのではないかと思いますね。―忘れそうになっているものとは、何でしょう!? 多くのチームが〝優勝〞を旗印に掲げすぎていて、傾向と対策を練りすぎているように感じました。壮大なスケール感やストーリーにダンスがついていっていないと言うか、だんだんと〝演出バトル〞みたいな傾向が強くなっている感じもして……。こういうのはコンテストやイベントを続けていると必ずある宿命みたいなものなんですけどね。 ダンスの大会なのだから、―大会を終えて、全体の感想はいかがですか? 会場が巨大過ぎて、創り手としてはかなり試練の大会だったと思います。その中でも、Seishiro作品はとてもユニークで個性的、シンプルにやろうとしていることを突き詰めて創っていました。また、AMI作品は高い完成度とあわせて舞踊作品としてとても芸術度と志の高い作品をみせていたと思います。 逆にENcounter ENgrav-ersは、昨年も彼のカラーを上手く出していましたが、そこからさらに次の世界に向かっていこうとする心意気を感じました。まだ詰めが甘い部分がありますが、強烈な〝伸びしろ〞を感じ、奨励賞として賞を贈らせて頂きました。―各作品へ何かアドバイスはございますか? 巨大空間を埋めることに集中し過ぎてしまったのか、作品の個性や内容を詰めきれておらず、今までのシアターだったら、もっと上手く創れただろうと感じる作品が多々ありました。 Ruu作品やFly Six B作品はとてもプロフェッショナルな創りで僕も高評価です。しかし、華やかなショービズ的に魅せるなら、もう1歩の詰めが必要だと惜しく感じました。TSUBASA作品やMIWA作品もアイディアは良かったのですが、5分間における起承転結の時間配分が非常に惜しい。導入の面白さに対して、もっと後半の盛り上げ部分に時間をとれば、心に残る作品になったと思います。akane作品も非常に個性が際立っていましたが、やはり作品プロット展開が惜しかったですね。―今大会から、今後のストリートダンスの可能性をどう感じ取られましたか? この横浜アリーナという巨大空間に対して、それぞれの審査員授与の決め手は!?HIDEBOH作品「希望への生命の音」審査員賞は、このコレオグラファーの作品に!ENcounter ENgravers作品「百機百様」審査員賞は、このコレオグラファーの作品に!コンテンツとして海外でも作品を持ち運びできるほど、今後、世に広げられるメジャー感を感じさせてくれた!審査員授与の決め手は!?自分達の持ち味をさらに次のステージへ持って行こうとする心意気、そして強烈な伸びしろを感じた!0506PROFILEPROFILEさまざまなビッグ・プロジェクトを手がけるトップ・プロデューサー!紫綬褒章も受章した、ミュージカル界屈指の巨匠演出家!41

元のページ  ../index.html#43

このブックを見る