『SDM』 VOL.50
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国際ダンス・プロデューサーの視点。佐藤 まいみDANCE DANCE DANCE@YOKOHAMA 2015総合ディレクター埼玉芸術劇場 プロデューサー10代でバレエ、ダンス全般に関心を持つ。80年代に渡仏。フランスの芸術文化や制度に驚かされ日本とヨーロッパを結ぶダンスプロデュースを手がけるようになる。帰国後は横浜を拠点にさまざまなダンスフェスティバルのディレクターを務めるほか、現在は「彩の国さいたま芸術劇場」のプロデューサーも務めるなど、多岐にわたるダンス事業で活躍している。舞台表現者としての視点。白井 晃演出家・俳優KAAT神奈川芸術劇場アーティスティック・スーパーバイザー前代未聞のビッグ・ステージだからこそ発揮された振付師たちの〝空間構成力〞に魅せられました!ダンス作品にとってはかなり挑戦的空間、踊りに込めた熱い想いがまっすぐに伝わってきた!美意識の高い緻密な演出で定評がある演出家、俳優。劇団「遊◉機械 / 全自動シアター」主宰(1983~2002)を皮切りに演出家としてストレートプレイからオペラまで幅広く手掛ける。俳優としても舞台、映像で活躍。読売演劇大賞優秀演出家賞、湯浅芳子賞(脚本部門)、佐川吉男音楽賞等の受賞歴を誇り、2014年KAAT神奈川芸術劇場アーティスティック・スーパーバイザーに就任!ですね。江戸時代の近松門左衛門のような内容でしたら、NATSUKO作品。群舞に重きを置いた内容ではMASAMI作品。「自分と組んで他ジャンルで作品を創ったらどのような感じになるのかな?」と、大会ではそういった視線で、一緒に仕事ができる振付師を探しながら見ていました!が独自性を出そうと奮闘しているのがわかりました。 踊りに込めた熱い思いやこの大会に寄せる参加者のみなさんの大きな期待感が、まっすぐに伝わってくる、忘れがたい大会でした。 こういったダンス関係者やダンサー・振付家同士の出会いの場は貴重だと思いましたね!―優勝したSeishiro作品の印象はいかがでしたか? わたしは第2部のトップとしても決選投票でもSeishiro作品を選ばせて頂きました。演出部分については、大きな赤い鳥居を神社に見立てて舞台中央の上段に配置していて目を引きつけられましたし、「かごめかごめ」の日本の伝統的な歌ではじまるのも印象的でした。サウンド、音楽、舞台装置、衣装、照明……といった、作品の構成要素が効果的に使われていて、とてもドラマチックな展開になっていましたね。広い空間を意識したフォーメーションと振付けもよかったです。次にはもっと長い作品をみたいと思いました!―審査員賞を授与されたakane作品はどの点を評価されましたか? 今後に期待したいという視点でakane作品を選ばせて頂きました。大阪万博をタイトルにしたところがまず意外で面白かったですし、三波春夫の「こんにちは」の歌で始まるところがシブいというか……他の作品と一線を画していましたね! 衣装も70年代を意識していて独自な探究心が垣間見えました。さらに、作品が2部に分断されていて、後半は曲がカルメンになっていてびっくり! 三波春夫とカルメンの同居はミシンとコウモリ傘の出会いみたいで楽しめましたが、ここのつなぎはもう少しがんばって欲しいなとも思いました。意外づくめの作品だったので今後がとても楽しみです!―大会全体のご感想はいかがですか?  〝横浜アリーナ〞という空間は、高さも間口も劇場サイズではないので、ダンス作品にとってはかなり挑戦的空間だったと思います。上演時間5分という制約の中で、それぞれのグループ―今大会の全体的な感想はいかがでしたか? 横浜アリーナというビッグ・ステージをうまく使った作品が多かったように思いました。各作品、作品構成や空間演出に力が注がれていて、演劇人としての自分からも〝空間演出力〞というものを認識できた非常に意義のある大会内容となりました。 ただ、もう少し〝踊りそのもの〞に特化した作品があってもよかったかもしれませんね。とても大きく創られたがゆえに、〝構成〞に視点がいってしまいがちで、個々のダンスには、目が行き届かなかった点があったように思いました。―何か印象に残った作品はありますか? 僕は各作品を物語として見るというよりはむしろ、「空間の中で人々がどのようにダンスを踊るのか?」ということに興味がありました。その中でもMASAMI作品の、100人以上もの女性ダンサーたちの満ちあふれたエネルギーや爆発的パワーに圧倒されました! 生命力・躍動力に加え、あふれんばかりの女性力は本当に素晴らしかったです! また、Zoo-Zoo作品は音楽の構成が面白く、振付けもオリジナルで、突出してユニークでした。Ruu作品は想像以上にエネルギッシュでびっくりしましたね!高い能力を持っている振付師だなと感じましたね。―白井さんとのお仕事にも展開していけそうな振付師はいましたか? 何人もいらっしゃいますよ! ミュージカルではRuu作品、振付けがとても良くて、オーソドックスのなかに爆発力がありました。演劇的な和のテイスト作品であれば、突起してSeishiro作品、コミカルな現代劇はZoo-Zoo作品だと面白そうakane作品「日本万国博覧会」審査員賞は、このコレオグラファーの作品に!MASAMI作品「レゲエ革命 ~アジアンフィーバー~」審査員賞は、このコレオグラファーの作品に!審査員授与の決め手は!?独自な探究心、力みのないシンプルな振付け、意外づくめの作品で、その将来性に大いに期待させてくれた!審査員授与の決め手は!?100人以上もの女性ダンサーたちによるエネルギッシュな群舞と、あふれんばかりの躍動力で魅せきった作品力!0708PROFILEPROFILEフランスから芸術文芸勲章も授与された、日本が誇る国際的ダンスプロデューサー!演出家として俳優として、幅広い活躍をみせる舞台表現者!42

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