『SDM』 VOL.51
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ユニット結成のキッカケ----Seishiro‥矢野さんに誘っていただいて即答しました。矢野‥レッスンに遊びに来てくれたことがあって、私の振付けを自分の色で踊っているのをみて、一緒に踊ってみたいと興味を持ったので、イベント出演の際に声を掛けました。Seishiro‥ユニットで踊る時ってパートを分けて、フリをそれぞれがつくることが多いのですが、私たちは1カウントずつ一緒につくっていくんです。その方がより相手の良い部分を理解できるし、踊りにもお互いの良さが上手く出てきますね。矢野‥時間はかかりますが、勉強になるというか、成長できますよね。せいちゃんは本当に音に対して敏感で、音からイメージをどんどん出してくる。私の持っていないものを持っているからすごく刺激的です。Seishiro‥矢野さんは楽曲のリリックや感情表現をフリに込めて、空間で魅せるのがうごく上手いんです。私も気持ちの表現は大切にしていたつもりだったんですが、矢野さんのフリを踊っていて、「私ってひとつのフリに対してこんなにも感情を込められるんだ」と驚くことがあります。表現の幅が変わりましたね。矢野‥でもメンタルの部分は意外なほど共有できることが多くて、ネガティブなところや感受性が豊かなところや、妄想がすごいところとか……(笑)Seishiro‥2人とも人生をドラマチックに捉えているんですよね。些細な事でも心動かされたり、辛いことでもそれを人生の一部として楽しんだりできるというか。でもそうやって一瞬一瞬を味わうことで、人って深みを増していくと思うんです。そうやって感じてきたこと〝生きた証〞みたいなものを踊りにできたら、説得力があって人の心に残るダンスになるはず――。私の好きな〝退廃美〞も、その中に滅びゆくドラマを感じるから美しい。矢野‥表面的なキラキラよりも内面的な〝美〞。私たちの表現にも決して答えがあるわけではないので、感じ取ったものから色々考えてもらえたら嬉しいですね。Seishiro‥私も自身と向き合って、迷い、葛藤しながら踊っていて、だからこそ成長できていると信じています。そして、一緒に模索できる存在ができて、一人では味わえなかった新しい感覚も今あります。これからどんどん作品を創っていくつもりなので、進化していく様子をぜひ観て欲しいですね。編集=安江雄彦text by Takepico Yasue写真=井上治photography by Osamu Inoue62

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