『SDM』 VOL.53
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――このキャスティングはSeishiroさんたっての希望でしたが、その理由をお聞きしてもよいですか?Seishiro‥声のトーンがすごく美しいですよね。ダンスシーンのMCさんって結構、元気な感じというか、ヒップホップのノリの方が多い中で、品の良い感じのトーンがすごいステキだなってずっと思っていて。その感じが今回の公演に絶対に合うと思ったんです!CHIGUSA‥ここまで思っていただいてありがとうございます(笑)。ただ、〝レジェンド〞の大会の時ってコレオグラファーの方たちとはハケの時にすれ違うくらいであまり絡めていなかったので、私がみなさんに認識されているとも思っていなかったです。ステージの袖で影ナレの原稿を読むのに集中していたり、絶対に噛まないように下読みをしていたりするので……。Seishiro‥確かに〝レジェンド〞の時って、コレオグラファーはもう「命かけて」くる感じですから、ナレーションを読み上げるMCさんのプレッシャーもハンパじゃないですよね……。作品の空気づくりの第一歩とも言えますから。CHIGUSA‥そうなんですよ!しかも「時は西暦○○年……」というシリアスなものから、「いぇ〜い、みんなー!!」みたいなノリのものまで、振り幅が広くて(笑)。Seishiro‥そんなテンションの違ったナレーションを全部同じ人が読んでると思うと、なんか情緒不安定の人みたいですね(笑)。――当たり前のように読んでいただいているナレーションも、そういった陰の苦労話があるんですね……。Seishiro‥そもそもCHIGUSAさんって、なんでMCになろうと思われたんですか?CHIGUSA‥私、学生の頃にダンスサークルに入っていて。学園祭の時にMCが必要になった時、私がアメリカ生まれで英語がしゃべれたのでMCを任されたんです。それが初めてのMCで、それが思いのほか上手くいって、サークル外にもMCとして呼ばれて、気付いたらラジオのMCになっていたりして……。だからちゃんとしたしゃべりのトレーニングを受けていないんですよ、ただのストリート上がりの独学なんです。――そうだったんですね! 今回のように公演の登場人物として出演されたことは今までありますか?CHIGUSA‥MCとして舞台上に登場することを除けば……、ある発表会の中で〝クラブシーン〞を表すナンバーがあって、そこでそのまま〝MC役〞として出たことがあるぐらいで、セリフがあって、公演演出の一部となってステージに上がるのは初めてなんです。だからこのお話をいただいた時は少し戸惑いましたし……、〝レジェンド〞のことだから、何か壮大なことなんだろうと思って、簡単に「できます!」と言って迷惑をおかけしてしまうのもダメだと思いました。MCとして人前でしゃべることが多いと、あれもこれもできるんじゃないかって思われてしまうことも多いんですよ。Seishiro‥分かります、高望みされてしまう職業ですよねMCさんて……。CHIGUSA‥そうなんです、私はMCなだけで女優さんではないからセリフを覚えたり演技をすることはできない。だから、MCというかストーリーテラーとして本を追って読むという演出の中でなら、今までの私の延長線上のこととしてできそうだなと思ったんです。――今までの延長線上とは、具体的にどういうことでしょうか?CHIGUSA‥〝レジェンド〞の作品前のナレーションのように、イベントのMCでも朗読のようにしゃべることはありますし、ラジオ番組の企画でも「ポエトリーリーディング(詩の朗読)」とか絵本の読み聞かせとか、そういうことはやったことがあるんです。台本をいただいた時に……、もちろん大変そうだなとは思いましたが、舞台上のストーリーテラーとしてこういうちゃんと成立して、「こういう感じだったら成立するかな」ということが想像できたんですよ。〝命〞をかけたナレーション!?ストリート上がりの独学MC!Prole横浜アリーナで開催された『Legend Tokyo Chapter.5』最優秀作品賞〝レジェンド〟獲得。ジャズやヴォーギング、コンテンポラリーなど、さまざまな要素を独特のエッセンスで融合したスタイルに定評がある。名だたるアーティストのバックアップや振付けを担うほか、海外でのワークショップを精力的に展開している。Seishiro美しく品のいい声がこのドレスに包まれる時、その世界観はきっとすばらしいものになる。〝レジェンド〟では名MCとしておなじみのCHIGUSA。なんと『FINAL LEGEND Ⅳ』では国際的なメイク・衣装アーティストたちの手により、神秘的な装いのもと、公演〝ストーリーテラー〟を務める! この配役を熱望した、関東公演の芸術監督を務めるSeishiroとの特別対談がここに実現!関東公演 芸術監督公演 ストーリーテラー14

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