『SDM』 VOL.53
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 去る1月にKAAT神奈川芸術劇場にて開催された『JAM TOWN』。原案、演出の錦織一清(少年隊)の「まったく新しいミュージカルを創りたい」という想いのもと、音楽にはミュージシャン・音楽プロデューサーとして活躍する西寺郷太が、そして振付(監修&出演)は現在の日本最高峰のダンサーとして名高いYOSHIEが担当! 他にもミュージカル初挑戦となるOguri(s**t kingz)や、歌もダンスもバツグンの実力を持つ出演者たちがメインキャストの脇を固めるが、この舞台が「新しいミュージカル」と評されるのは出演陣によるものだけではない。事前に作品の手応えを確かめ、手直しをするため2014年11月に開催された「トライアウト公演」、先行プロモーション的に2015年10月に開催された「JAM TOWN The LIVE」など、日本のミュージカルシーンにおいても非常に珍しい試みと長いスパンにわたるプロジェクトなのだ! 迎えた本公演は、2週間強におよぶロングラン公演。巨大な舞台セットに驚かされる中、上演前には出演するダンサーたちから上演中の注意事項(飲食、撮影禁止等)をコミカルに伝えるパフォーマンスが行なわれたのち、ついに公演の幕が上がった! 物語の舞台は港町横浜。ボート・バーを営むマスターのもとにある夜、1人の青年と泥酔した少女が訪れる。その少女は妻と離婚して以来何年も会ってなかった実の娘であり、マスターは父であることを隠したまま少女の夢に協力する……という内容で物語は展開していく。 ステージ上にはバンドセットも組まれ、劇中の演奏は全て生演奏! 楽曲もビートのきいたソウルフルな楽曲やジャジーなものが多く演奏され、もちろんそれに合わせて繰り広げられるダンスも〝ストリートダンス〞を軸としたもの! 物語や登場人物の心情がしっかり今のストリートダンスで表現されるのは、ダンスシーンの最前線で活躍するYOSHIEやOguriといった振付者の賜物とも言えるだろう。 また、驚かされるのはダンスだけではない。キレキレのダンスをみせていた出演者たちも、歌い出したらバツグンの歌唱力! 歌とダンスと演技、全ての分野においてハイレベルなパフォーマンスを披露していた! 新しい形の〝歌って踊れる〞理想的なダンサー像を提示したといっても過言ではないこの舞台。既存の概念を覆しながら、上質なミュージカルとして観客を楽しませてくれた。従来の概念を覆すプロジェクト!〝歌って踊れる〞 新時代のダンサーたち!今は亡き妻(東風万智子)との思い出を描くシーン、かつてのマスターのダメ男っぷりがありありと分かる……。マスターの娘あゆみ(松浦雅)とJ.Jによるロマンスは、もちろん歌とダンスでもしっかりと魅せる。特製の船に乗ってマスターが初登場するシーン、会場に大きな驚きと笑いを呼んだ!あゆみとJ.Jは、歌もダンスもバツグンな実力を披露!親子の愛情は、マスター(親)とあゆみ(娘)をメインとした楽曲で表現される。マスターを慕う探偵(藤井隆)は、コミカルな役どころで舞台に笑いのエッセンスを添える!エンター最高級の21

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