『SDM』 VOL.55
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2つの表現を両立する振付けが必要!―今回の振付けで意識したことは? 私は「阿片の精」のシーンを振付けました。やはり〝麻薬〞なので、狂気的なイメージや気持ち悪さは意識したのですが、ただこの舞台はやはり宝塚なので、〝美しさ〞という点は決して損なわれないように気を付けました。―ミュージカルの振付けは普段の作品振付けと違うところはありますか? 踊りを見せるだけではなく、ストーリーもしっかりと見せなければいけないのが違うところですね。具体的に言うと、物語を進行するキャスト、伝える役がちゃんと見えて目立つ場所にいる構成。ただ踊りがかっこいいだけではなく、「踊りとストーリー」という2つを両立して伝えることが必要です。―小池先生とはどのようなやりとりをされるのです? フォーメーションのズレなど 、私よりも細かく指摘されることもあったりして、すごくこだわりの強い方ですね。このミュージカルの世界に私を引っ張り上げてくれた方なので、期待に添えるようこれからも頑張っていきたいです!今回の振付けの感想は!?KAORIalive(Memorable Moment)トップスター&トップ娘役の2人は、フィナーレでもさすがの貫禄!雪組〝トップ娘〟である咲妃みゆが、物語のヒロイン薫役のじゃじゃ馬かつ可憐に演じる!宝塚伝統のフィナーレは、全登場人物が勢揃い!全員が舞うステージは〝華やかさ〟そのもの!「るろうに剣心」と言えば剣劇! 本格的な殺陣がストーリーを盛りあげる!マンガからそのまま出てきたかのような登場人物のビジュアルの再現度はさすが!取材・文=長濱佳孝text by Yoshitaka Nagahama写真提供=©宝塚歌劇団photo-cooperate by TAKARAZUKA REVUE宝塚:2016年2月5日(金)~ 3月14日(月) 宝塚大劇場東京:2016年4月1日(金)~ 5月8日(日) 東京宝塚劇場大人気コミック、巨匠・小池修一郎により初のミュージカル化!宝塚歌劇団 雪組公演STAGE REPORT~原作 和月伸宏「るろうに剣心―明治剣客浪漫譚―」(集英社ジャンプ・コミックス刊)~ 日本の誇るミュージカル界希代のヒットメーカーであり、舞台演出の巨匠として知られる小池修一郎の手により、大人気コミック「るろうに剣心」が初のミュージカル化! 振付けには4代目〝レジェンド〞であるKAORIaliveも参加し、宝塚歌劇団ならではの新たなる「るろうに剣心」の世界を創りあげていた! 公演の内容は、原作の魅力的な登場人物やエピソードを織り交ぜ、オリジナルのストーリーとキャラクターが登場するもの。原作の世界観を壊さずに、新たなる一面を開拓してみせたこのアレンジは、まさに小池氏の手腕の高さの成せるワザと言っていいだろう! また、KAORIaliveは劇中における〝阿片の精〞や〝阿片中毒者〞のシーンを担当。「かっこよさ」や「楽しさ」とはまた違った不気味で狂気的なシーンを創りあげ、劇中の耽美な流れに変化を与えていた! 2幕に及ぶ物語は幕を閉じ、宝塚伝統の盛大なフィナーレで公演は終演を迎える。かつて放映されたアニメ版の主人公の声優も宝塚出身の涼風真世が担当しており、宝塚歌劇団の耽美な世界と高い親和性を誇る原作。「ベルサイユのばら」に並ぶとも言える新たな宝塚のステージが誕生したと言えるだろう。主人公・剣心役の早霧せいな。原作通りの凜々しさと優しさを好演!15

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