『SDM』 VOL.55
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巨匠演出家の視点で迫る!ストリートダンスの才能を積極的に起用し続けた演出家に特別インタビュー!!ストリートダンスの才能を積極的に起用し続けた演出家に特別インタビュー!!演出を手がける数々の舞台で、新たなる振付師を積極的に起用!TOPIC写真は『1789』(宝塚版/2015年) ©宝塚歌劇団日本の大衆芸術、パフォーマンス・コンテンツをさらに広げる未来への視点をもって審査する! 他豪華審査員のインタビューもP30より掲載。大会詳細はP24にて!審査員長に小池修一郎が就任! 2007年『世界陸上』開会式でのTAKAHIROの振付師抜擢をはじめ、小池修一郎は手がける舞台において新たなるダンスの才能を積極的に起用し続けている。 特に『Legend Tokyo Chapter.4』以降ではKAORIaliveが振付家として数多く起用され、『1789』(宝塚版/2015年)、『るろうに剣心』(2016年)、『1789』(東宝版/2016年)といった大作に参加。『1789』東宝版ではTwiggzも振付家として起用している。そして2017年、世紀の名作ミュージカル『ロミオとジュリエット』にKAORIaliveがメイン振付家への就任が決定している!この夏、開催される『Legend Tokyo Chapter.6』未来を切り開く!KEYWORDリン-マニュエル・ミランダストリートダンスを踊り、RAPの歌詞でストーリーを綴るという、今までにないスタイルのミュージカル『イン・ザ・ハイツ』を創りあげた作詞・作曲・演出家。同作は2008年、演劇界で最も名誉のある賞「トニー賞・最優秀作品賞」受賞、使用楽曲は「グラミー賞」も受賞。若干20代にてこの革新的作品をつくりだした。ミュージカル「ハミルトン」リン-マニュエル・ミランダによる2作目となるヒップホップ・ミュージカル。2016年の「トニー賞」で「最優秀作品賞」を含む11部門受賞という快挙を成し遂げる。音楽業界で最も権威のある「グラミー賞」、文学・戯曲界で最も権威のある「ピューリッツァー賞」も受賞。現在アメリカを代表する舞台作品の座に!マシュー・ボーンバレエの古典名作『白鳥の湖』を、男性同性愛者の悲恋物語として描いた現代的設定と、白鳥を男性群舞で踊るという型破りな新解釈で一躍、世界的な注目を集めたイギリスのコンテンポラリー・ダンス演出・振付家。その後も〝報われない愛〟をテーマに扱った数々のヒット作を創り続け、世界的ダンス演出家となる。ボブ・フォッシー独特のセクシーなシアタージャズで、1970年代、まさにブロードウェイ・ミュージカルの一時代を築いた振付・演出家&ミュージカル映画監督。『CHICAGO』、『Cabaret』など数々の名作を残し、フォッシー・スタイルとも呼ばれるそのスタイルは現在でも数多くのダンス作品、公演、映画に影響を与え続けている。 成功例とそのための要素はすでにある。それらをどう考え、〝進化〞するかが大切!―日本のストリートダンスの可能性に非常にご期待頂いているのですね! 実は、ミュージカルの世界ではここ20〜30年、歌中心になっていて、ボブ・フォッシーの時代のように強烈にダンスを主とする作品は数年に1本しか生まれていなんです。 NYにいってもロンドンにいっても、そんなにダンス中心の舞台は行なわれていない。僕はある意味、日本が世界で1番ダンスの公演が盛んな国だと思っているんです!―確かに。NYやL.Aに行ってもダンス公演は日本ほど多くは無いですよね。 そしてもう1つ、僕は日本の翻訳家って世界トップクラスだと思うんです。例えば「アナと雪の女王」って英語原題は「Frozen」なんですよ! そのぐらい日本の大衆文化に馴染ませる翻訳家たちの才能によって、英語のエンタメはここまで広がっているんです。 ところが……その逆がいない! 日本語のニュアンスをちゃんと英語圏のエンタメ文化に馴染むように翻訳できる方は、ほぼいないんですよ。―なるほど。日本語の素晴らしい作品を海外に広げるためには、そんなハンデもあったんですね。 アニメやマンガなど成功例もあります。そしてオリンピックを控えた今、日本のコンテンツは世界中から注目を受けている。そこで、現代の日本人の若者文化のニュアンスを翻訳なしで世界に発信できるライブ・コンテンツ、その可能性をストリートダンスは秘めていると思うんです!―けど、なぜ現状それが実現できていないと思いますか? そもそも作品を創る文化や、日本オリジナルのものを創る意識が浸透していなかったからだと思います。実際にコンテンポラリーは日本独自のパフォーマンス・コンテンツを作って世界に発信できていますよね!? 僕は、昔のジャズダンス・ブームから、ずっとダンス公演を観てきましたが、正直、「アメリカで学日本の英和翻訳はスゴいが世界は和英翻訳が苦手!?んできて、アメリカでこういうことやってんだよ〜って真似してるだけ」が多かった。『Legend Tokyo』が始まって、近年、ようやく日本オリジナルの作品を創る考えが高まってきたとは思います。―では、その『Legend Tokyo』において過去2大会審査員としてご参加頂いていますが、どんな感想をお持ちですか? 本当に〝有りそうで無かったこと〞を実現したと思いましたね!何より「大きなステージで、大人数を使って魅せる」、それをやるだけのスケールを実現していることが素晴らしい! 少人数やソロで踊る場合は、作品性が薄くても、技術が高いダンサーたちがいれば会場が沸くショーはできてしまう。けど、大勢の出演ダンサーで挑むとなると〝目的意識〞を共有しないと通用しなくなります。そして、これだけの力作が並ぶ中では、誰もが自分たちを特別に印象づけたいと自ずと変わってくる。 もちろん既存の枠組みから出ざるをえない雰囲気を作っている大会側の努力も大きいと思いますが、いわゆる〝オーソドックスな欧米ダンスへの憧れ〞が存在しないんですよ。そこにレジェンドならではの面白さ、ユニークさが生まれてきているのだと思います! だからこそ、伝えること、オリジナリティ、そういったものが生まれやすい大会だと思いますね。―ありがとうございます。では最後に読者の皆さんへメッセージをお願いします! もっと日本の大型ショウビズ公演でも、「イケメンが出演していて女性のお客様が集まる」という構造ではなく、ちゃんと中身で勝負して面白いものがどんどん出てきて欲しい。 そのためには、ストリートダンスからも、リン-マニュエル・ミランダやマシュー・ボーンのように、創る作品の中身で注目される人が出てきた方がいいと思うし、そこからスターが生まれる。そんな未来が実現したら素晴らしいですね!創る作品の中身で注目されるスターが出来てきて欲しい!17

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