『SDM』 VOL.55
35/52

―〝振付師〞と言えど、さまざまな仕事があると思いますが、JUNさんはどのような振付けのお仕事をされてきましたか? アーティストでいうと、SMAP、SPEED、倖田來未、嵐……などの振付けで、あとはテレビ番組や舞台の振付け、演出もあります。ちなみにおそらく2年前までは僕、日本で一番、テレビのテロップに名前が出る振付師だったと思いますよ(笑)。と言うのも「笑っていいとも」のいいとも青年隊の振付けをやっていて、あれ毎月、振付けを変えているんです。他にも色んなバージョンがあったりするんですけど、ちゃんと毎回、振付師のクレジットを流してくれていたので、平日は毎日名前が出ていました。―惜しい番組が無くなりましたね。ではJUNさんの考える〝振付師〞とはどんな職業ですか? アーティストの振付けでは、〝そのアーティストがどれだけ良く見えるかを創る仕事〞だと思います。単純に〝カッコイイ振付け〞だけだったら出来る人はたくさんいるけど、アーティストがいかに輝いて、しかも見る人にとってキャッチーで、そういうものを創れることが大事! やっぱり一線で活躍する振付師はそこが長けているし、抽象的な要望も形にしていかなくてはいけないんですよ。―その〝要望〞というのは、プロデューサーから指示されるのですか? アーティスト本人の場合もあるし、演出家と話すこともあります。特殊なのはテレビの場合で、ディレクターと話すことが多いですね。なぜならテレビって、ライブや舞台と違って全部が見えるわけではなくて、「カット割り」がある。テレビに映っていない所はゼロなので意味がない! だから「手元に寄りたいから手の動きだけを創って欲しい」と相談される場合もあるし、逆にこっちが作った振付けに対してカット割りを考えてくれる時もあるんです。―JUNさんからみて、今の〝振日本で一番テロップに名前が出る振付師!付業界〞はどんな状況ですか? ここ何年かで「振付けの仕事」というもの自体がすごく増えたと思います。テレビやCMでもダンスが取り入れられることが多いし、アイドルもインディーズを含めるとかなりの数が活動していて、その1つ1つに振付けがありますよね!? ダンス自体のスキルが高いアーティストも増えてきたし、若いコレオグラファーも増えてきた。どんどんシーンが大きくなっていると思いますね!―では、振付師の大先輩として今回『Legend Tokyo』の審査に当たっていただくわけですが、その審査ポイントはどこになりますか? やっぱり〝オリジナリティ〞ということになるのかな!?  僕は〝コレオグラファーの視点〞としての審査ですが、やはり最後は専門的な技術以上に「心にどう響くか?」だと思います。 特にレジェンドは、さまざまな視点の方が審査するからこそ、面白い作品が集まるし、毎年、新しい可能性を生み出している。そこが大きな醍醐味だと思うんですよ。 だって色んなダンスの大会がありますけど、審査員の顔ぶれは大体どこも同じようなダンサーで、決勝に残るチームも似たようなメンツ。これってどうなのかなって思っちゃうんですよ。だからこの大会はそういう点でいいと思うし、ルールもすごくきっちりしているから可能性を感じますよ!―では最後に、コレオグラファーの大先輩として出展者のみなさんに何かアドバイスをお願いします! 悔いが残らないように。とにかく、自分が想っている自分らしいことを、ちゃんと表現できたらいいと思います。 だって、結果がどうなろうと、「大人数を率いて勝負する」ことは、この大会がないと味わえない貴重な経験です。勝敗よりもその経験こそが、絶対にあなたの今後のダンス人生につながる大事なものになると思います!色んな視点が審査するから、面白い作品が集まる!からのアドバイス!コレオグラファーの視点ストリートダンサーの振付師としては〝日本で最もキャリアがある大御所〟といえよう小濵 勝廣(JUN)。SMAPや倖田來未、SPEEDにDA PUMPなど名だたるアーティスト振付けを手がけ、テレビ番組、エンタメ公演など、およそストリートダンスの〝振付け〟が必要とされるあらゆる仕事を手掛けてきた先駆者だ。その視点が伝える次世代振付師への貴重なアドバイス!1989年、本格的なダンス活動を開始し、TV番組「DANCE DANCE DANCE」でMEGA MIX(現TRF)としてレギュラー出演。1992年にLAへ渡米し、現地メディアに多数ダンサー出演を果たす。帰国後、SMAPなど有名アーティストやテレビ番組など数多くの振付けを手掛ける。また、Blue Printを結成し新たなダンス×芝居の舞台も実現している。振付家/演出家Blue Print主宰小濵 勝廣(JUN)日本のストリートダンス振付師の先駆者2012年より実力派ダンサーが集結した舞台ユニットを主宰。演劇、ダンスの枠に捉われない総合的な舞台エンタテイメントを展開している。1990年代後半より三宅裕司率いる劇団SETの振付師として活躍。2006年にはHIDEBOHらと共にダンス中心の公演作品も実現した。2008年より、FNS歌謡祭のメイン・コレオグラファーとして、数多くのアーティスト・ステージ振付けを手がけている。踊り手がいかに輝き、観る人の心を動かす振付けを!大御所コレオグラファー!日本の頂点を走り続ける劇団SET 振付け「FNS歌謡祭」メイン・コレオグラファーNHKの音楽番組「うたコン」にて、坂本冬美やT.M.Revolutionなどのアーティストの振付けを手がける。NHK「うたコン」アーティスト振付けダンス×演劇ユニット「Blue Print」主宰さらなる進化のためのアドバイス!多様な視点でダンスをみるからこそ、新たなる可能性が生まれる!日本のストリートダンス・コンテンツ、 33

元のページ  ../index.html#35

このブックを見る