『SDM』 VOL.55
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―芸能界の中で近年、〝ダンスという要素〞はどのように変わってきたと思いますか? ここ数年の流れを見ると、特にミュージカルの中で非常に重要な要素になってきていますね。ミュージカルで日本人俳優が弱かった部分が〝ダンス力〞でした。近年、それらが向上した事により作品のパワーアップ、そして観客動員の増加に繋がっています。それには、日本人コレオグラファーの貢献が大きいと思っています。 今後、増え続ける海外旅行者が日本で観劇してもらう為にもその役割は限りなく大きい。そして、私にそれを自覚させてくれた人が、小池修一郎さんなんです!―そういう事情がミュージカルにはあるんですね! あとは、10年ほど前に映画「デスノート」の制作に関わった時、「舞台化したい」という話がきたんです。私はその時どうしてもイメージがつかなかったのですが、3年前に「ミュージカルだったらどうですか?」という話をプロデューサーが持ってきてピンときたんですよ! セリフと演技といった具体的な表現だけではなく、音楽とダンスが入れば、死神やライトとLの心理戦など、ある程度抽象的なことも表現することができると思ったんです。その時は改めてダンスの可能性を感じましたね。―やはり、ダンスはミュージカルとの結びつきが強い印象でしょうか? そういうわけでもないのですが、ここ数年でマンガやアニメを原作とした〝2.5次元ミュージカル〞というものがすごく浸透してきたことが背景の1つだと思います。 そして、そういった舞台こそが、日本初のオリジナル作品として世界に通用する数少ない日本のライブコンテンツになると我々は考えているんです! 日本のマンガやアニメは既に世界に広く浸透している、そして〝音楽とダンス〞という要素は〝言葉の壁〞というハードルを下げてくれる。ちょうどそういった時勢の中、ストリートダン音楽と振付けがあれば、言葉の壁を低くできる!スのコレオグラファーも世界観のある作品を創れる方が増えてきた。非常に可能性のある展開だと思っていますよ!―なるほど。だから近年、マンガやアニメを原作とした舞台に、ストリートダンスのコレオグラファーが起用される機会が増えてきたんですね! ほかにも今、業界的に〝ウェブCM〞というのがすごく増えていますが、その中でも〝ダンス〞はすごく重宝されています。ネット上の短い時間でさらっと見れるCM。その短い時間の中でインパクトと興味を持ってもらうための要素として、やはりダンスは最適なんですよ。 これは実際に私のキャスティングという仕事の面で、企業や広告代理店の窓口を行なっていることもあり、「企業が求めているもの」として実感していることです!―では、鈴木さんご自身がコレオグラファーに求めるポイントは何でしょうか? 私の立場は自分で舞台やCMを創る演出家ではないので、ざっくり言ってしまうと、企業や演出家やプロデューサー、あとはクリエイターなど、私のお仕事の人脈の中で「紹介したいな」と思わせてくれるような方ですかね。単純に「この人はこれがスゴいんですよ!」って、こちらも言葉で形容して勧められる人です。―では、今回審査に当たっていただく『Legend Tokyo』では、どのようなポイントで作品をご覧になりますか? 例えばシェイクスピアのスゴいところは、時代が移っても変わらない人類の普遍的な深いテーマが入っているところなんですね。僕はダンスでもそんな作品を表現できると思っています。そして普遍的な要素に加え、今の時代のエンタメには〝現代ならではの何か〞も必要とされます。 そういう作品が創れる人こそ、〝レジェンド〞になって欲しいですし、私自身、演劇やミュージカル、映画やCMなどの制作に紹介しやすい方ともいえますね!普遍的なテーマを内包しながら、現代を象徴する何か。あべのハルカスにある大阪マリオネットホテル。その記念イベントに〝梅棒〟によるフラッシュモブを展開! 2年連続の起用となった。世界的大ヒットを記録し続けるミュージカル、待望の日本版を2017年に開幕! 前代未聞の大規模オーディション&育成プログラムも話題に!◀「作品からスターを輩出する」という想いのもと、舞台「身毒丸」にて藤原竜也を世に輩出した。▶「キャバレー」男性主役、「マシュー・ボーンのドリアン・グレイ」主演など世界的ダンサーをマネジメント。日本の芸能界、才能発掘の重鎮日本の芸能界を代表する大手プロダクション「ホリプロ」において、長年、新人開発と育成を手がけ、数々のコンテンツ制作を取り仕切ってきた鈴木基之氏。ホリプロスカウトキャラバンをはじめ、藤原竜也、深田恭子をはじめとした名だたる才能を見出してきた、まさに発掘育成の達人。芸能界で多くの才能を開花させてきた重鎮の目に映るストリートダンスの可能性とは!?株式会社ホリプロ 専務取締役株式会社ステラキャスティング 代表取締役社長鈴木 基之大阪マリオットホテル開業&1周年イベントミュージカル「ビリー・エリオット」日本版数々の才能をプロデュース!ホリプロ入社後、宣伝部を経てタレントのマネジメント、新人発掘と育成に携わる。ホリプロスカウトキャラバンにおいては、運営から審査員(長)を務める他、作品の主演募集など様々なオーディションを手がけ、2013年よりホリプロの新しいグループ会社、ステラキャスティングの代表取締役にも就任。キャスティング事業やイベント事業を手がけるなど、多方面で活躍している。普遍的な要素を含みながら、現代ならではのテーマが込められた作品を評価!さらなる進化のためのアドバイス!映画版公開から9年を経て実現された、大人気コミックのミュージカル化。このプロジェクト実現のキーマンとして深く関わった。デスノート THE MUSICAL©大場つぐみ・小畑健/集英社大貫勇輔藤原竜也日本芸能マネージメント界の重鎮!数々の才能を発掘、育成してきた芸能エンターテインメントの視点からのアドバイス!日本のマンガやアニメは世界に浸透している。そこにダンスが加われば世界に通じる舞台作品ができる!世界へ向けた〝進化〟と〝可能性〟34

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