『SDM』 VOL.55
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―〝音楽プロデューサー〞とは、具体的にどのようなお仕事をされているのでしょうか? 僕の場合はテレビ番組やCMに楽曲を提供したり、音楽グループやアイドルプロデュース、大学や専門学校での人材育成などをしています。広告代理店の方とやりとりをしながら、実際に曲を作ったり、ディレクションをしたりしていますね。あと最近は映画音楽を任されることが多いです。―映画音楽の場合でもダンスと同じように、監督や演出家から「こう創って欲しい」という指示があるのでしょうか? さまざまなやり方がありますが、最初に台本が送られてきて、次にセリフはあるけど音の入っていない映像を見ながら、監督やプロデューサーと話しつつ固めていきます。ただ、日本の映画で面白いのは、劇中の音楽に〝歌もの〞ってないんですよ。 「歌ものの方がこのシーンは盛りあがるな」と思っても制約としてダメな場合が多いんです。映画の場合、音楽プロデュースと歌は全く別物で、主題歌をちゃんと立たせるための決まりがあるんですよ。―なるほど、裏事情を知れた気がします……。そしたらダンスについては、何か今まで関わりはありましたか? もちろん仕事上、色んな振付師の方やバックダンサーとつながりがありますよ。やはり音楽とダンスは切り離せないものだと思いますし、音楽グループの曲のセールスについても今はほとんどダンスがセット。それはやはり聴覚だけでなく、視覚的にも刺激して印象に残るようにする目的があるんですよね。―では、ダンスがメインのパフォーマンスについては何か思われていることはありますか? やはり僕は音楽家なので音が気になります。ダンスって3次元で立体的なのに、音に立体感がないことが多い。特に最近の圧縮されたデータ音源は全然、立体感ないですが、人によっては音楽を本当音を大切に創っている作品は、ダンサーの踊り方にも表れる。に雑に引っ張ってきて繋いでいる方いますよね!? けど、そういう音のディティールも重要だと思うんです。音感じて踊る訳なんで。やっぱり、音を大切に作ってる作品は、ダンサーの踊り方にも出ると思いますよ。まあ、1番の理想は生演奏ですけどね!―他に何かダンスについて思われることはありますか? 最近の流行りもあると思いますが、結構、使用楽曲の音が似ているんで聞いてて疲れる時があります。やっぱり「こんな曲使うんだ!」ってものも見てみたいですね。 ダンスってだいたいビートありきの4エイト、つまり4分の4拍子の曲ばかりになりますよね!?けど、「3拍子で踊ってもいいじゃん」って思うんですよ。アリシア・キーズの「If I Ain't Got You」みたいに世界中で聞かれている曲も3拍子ですし、ワルツで踊るのも3拍子。だから3拍子がダンスと合わないってことは無いと思うんです。―確かにストリート系のダンスで3拍子はあまり見ませんね。音楽業界の目線で言うと、4分の7とか5拍子も全然あるし、「ここで変拍子を入れるのか」という工夫もある。ダンスだって、そんな考え方があってもいいと思うんですよね―では、日本のダンスがより進化するためには、どのような工夫をしたらいいと思いますか!? そうですね。やっぱり「オリジナル音源を創る」というのが一番いいと思います。裕福な話ですけど(笑)。けどDAZZLEはオリジナル音源を使っているので、音とダンスが調和して丁寧ですよね。 それによって〝楽曲のバックダンサー〞じゃなく、〝ダンスに対して曲を当てていく〞というように考え方も変わると思うんです。「ダンスがこうくるからドラムをこう叩こう」とか「このソロはピアノでこう弾こう」とか、ダンスに合せて作られた曲が出来たら、きっと今までにないカッコイイものができると思いますよ!音の可能性を考えれば、ダンスの可能性も変わる!からのアドバイス!ダンスシーンとは深い関係があるといえよう〝音楽業界〟。この業界において、ダンスとも深く関わる活動展開を見せているのが塚田氏だ。テレビ番組やCMへの楽曲提供、映画音楽から音楽グループのプロデュースまで第一線で活躍し続け、まさにマルチ・プロデューサーとして活躍する彼が、ダンス・パフォーマンスにおける音楽のあり方を今、ここに解析する!東京芸術大学音楽学部声楽科在学時より、小澤征爾指揮のもと「長野オリンピック」開会式や新国立劇場等多数のオペラやコンサートに声楽家として出演。現在では、テレビ番組やCM、映画への楽曲提供や、大学や専門学校でのヴォーカル指導に育成、そして音楽グループのプロデュースなどを行なう。音楽業界において数々の専門分野に精通する、マルチな才能を持った稀有な存在として活躍中!株式会社コンテッツァ 代表取締役 音楽プロデューサー塚田 良平作曲家、マルチ音楽プロデューサー『人狼ゲームクレイジーフォックス』『青鬼 ver.2.0』おかあさんといっしょ』あっちこっちマーチ『天才てれびくんMAX』多数(約30曲)全国ブームとなった妖怪ウォッチの「ようかい体操」でブレイクしたDream5をプロデュース。さらなる進化のためのアドバイス!音ありきのダンス。視覚だけでなく、聴覚にも工夫とこだわりを!音楽業界のマルチクリエイター!多彩に音をプロデュースする、NHK教育テレビの番組音楽のプロデュースDream5プロデュースフジテレビ系列で放送された昼ドラマ「シンデレラ デート」のエンディング曲など数多くを手がけている。ドラマ番組の楽曲制作映画音楽のプロデュース音楽プロデューサーの視点音楽を感じて踊っている以上、作品に使用する〝音〞にも追求を!日本のストリートダンス・コンテンツ、 35

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