『SDM』 VOL.56
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――4回目の挑戦にして、ついに〝レジェンド〞となりましたが、挑戦し続けている理由は何かあるのですか?  自分は小さい頃からヒップホップを踊っているので、根っからのストリートダンサーだと自覚しているんですが、「ヒップホップも変わっていかなきゃいけない」ってずっと思っていて。そんな時にタイミング良くChapter.1を客として観に行って、すごい衝撃を受けたんですよ! ダンスが上手いだけでは勝てない、でも演出や構成だけでも勝てない、しかも色んな視点の審査員が評価する、「なんだこの万人を納得させないといけないコンテストは! ここで戦いたい!」と思ったのが、僕らのレジェンドへの挑戦とENの結成のキッカケですね。――今回の作品についてですが不安はありませんでしたか? かなり斬新な作品でしたが……。 そりゃもう不安しかなかったです(笑)! もちろん自分では良いと思ってるんですけど、自分の感覚が行き過ぎている自覚もあるので、これはどう評価されるんだろう、プラスかマイナスの120点のどちらかだなと思ってました。 ただ、大トリにまでなってダダ滑りしてしまったら、『Legend Tokyo』の大会としての評判に関わってしまう、「そうなったらjust-Be(※企画社)のみなさんに2度と顔向けできへん、俺らのレジェンドへの挑戦も終わりや……」ってよく不安になってました(笑)。――新しい表現には、やはり不安は残りますよね……。 メンバーも「またAKIHITO何か言い出した……」ってなりましたし、本当に今回ほど優勝できないと思った時はないぐらい不安で。ただ、結果はついてこないかもしれない。でも、この挑戦は絶対にチームが成長できるキッカケになると確信していたので、迷いは全く無かったです。 迷いがなかったから結果にそれほどこだわらずにいられましたし、ある意味、結果にこだわっていた以前の僕らだったら、作品のつかみだけ音声で、途中から普通の音源にしていたと思いますね。――ここまで斬新な作品を思い付いたキッカケは何ですか? 昨年のChapter.5の経験が大きかったです。 それまで僕らの作品には悪い意味でストリートっぽさがある、作品に迷いが出てるのを自覚していて。それで、100人超のメンバーで臨む横浜アリーナの巨大ステージにはどんなにギリギリになってもいいから納得するものを創りたい、そうして出来上がった作品はヒップホップでも何でもない感じに仕上がりました(笑)。その時に初めて「あぁ、作品ってこうやって創るのか」って分かったんです。――やりきったからこそ、掴めた感覚があったんですね!。 本当にChapter.5はボロボロだったんですけど、信念を持ってやりきった作品が打ち砕かれて逆に気持ち良くて、終ってから来年は恐ろしいものが創れるという確信が沸きました。 誰に何と言われようと、絶対に俺はChapter.6で作品というものに対してスタートラインに立てた! これでやっと他のコレオグラファーと同じ土俵で戦える!そんな根拠なき自信が生まれたんです!――今回の作品は最初から今の形だったのですか? 実は最初は「緊張感」ってタイトルで、音もレコードをかけた時にプツプツなる音だけで5分間を構成しようしていたんです。 でもそれだけじゃ足りない、それを誰が踊っているのか、キャラクターがいるなーって思って考えたり調べたりしてる時に「オノマトペ」って言葉と出会ったんです。 「何だこのマヌケな言葉?」って思って意味を調べたら「ふわふわ」とか「キラキラ」とか、すごくなじみのあるものを指すことばで、「あ、これイケる!」って思ってそこから一気に色んなことが広がっていきました!あぁ、作品ってこうやって創るのか。次は恐ろしいものが創れる!あぁ、作品ってこうやって創るのか。次は恐ろしいものが創れる!〝レジェンド〟史上初のパーフェクト評価をたたき出したENcounter ENgravers(以下略:EN)。その今までの常識を覆すかのような革命的作品はどのようにして生まれたのか? そこに込めた想いを振付・演出を担うAKIHITOが語る!Legend Tokyo Chapter.6  WINNER〝Legend〟ENcounter ENgraversSpecial InterviewVOL.56COVER DANCERProle幼少期より大阪でヒップホップを踊り始め、ダンス歴15年。高校生の頃にはチームDATとして名だたるコンテストでの優勝や、TV番組出演など全国的な活躍を見せる。2012年にENcounter ENgraversを結成し以後毎年『Legend Tokyo』に挑戦、長年培った確かなダンススキルと斬新なセンスが融合した作品でヒップホップの新境地を開拓し続けている。 AKIHITO(ENcounter ENgravers振付・演出)万人を納得させないといけないコンテスト、ここで戦いたい!なんだこのマヌケな言葉は!?そこから一気に広がった!18

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