『SDM』 VOL.56
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――「オノマトペ」という言葉との出会いが大きかったんですね! そうですね、オノマトペがないと日本人って生きていけないじゃんって思って、じゃあ人の1日をオノマトペを使って表そう、そしたら人、つまりキャラクターは一般人で色んな人がいるな、最後は帰宅だな……って感じに、一気にイメージが固まっていきました!――確かに、日本人って1日の中で無意識にオノマトペをたくさん使っていますね! それで、やりたいことを全部詰めこんだら作品の長さが最初8分になってしまって、そこからルールの5分以内に縮めるのはめちゃくちゃ苦労しました。いかに短いスパンで目まぐるしく変わっていくかを考えて、各パートも長くて8エイトしかないんですよ。――〝パートの振付〞というか、そもそも振付はどうやって作ったのでしょうか? やっぱりあのオノマトペを口ずさみながらですか? いや、振付は何もないところから、無音の状態で創りました。出来上がった振付に後から音(声)をレコーディングして作った、という感じですね! ただ、振付を作ってみんなに落とすということは今回やりませんでした。――振付を作って落とさないとはどういうことでしょうか!? その日やるパートをメンバーの前で、「顔をこう上げて、次は首をこっちに振って、いや反対の方がいいな」って感じに、作りながら同時に落としていきました。自分が振付を作れるってことは僕自身わかっているので、その場の感覚で作るようにして。ただ角度や動き方にはかなりこだわったので、8エイト作るのに10時間くらいかかったりしましたね。一番盛り上がった女子高生の授業のシーンも計算通りに沸くように作って、そこに合うように音声も加工して作ったんですよ。――声と言えば、あの音声ってメンバーの声を録音したものですよね? そうです、5人ぐらいの声を録音して、メインの音声はメンバーの中でも一番歌の上手いやつのです(笑)。今回僕らが戦わないといけないところは声の質だと思ったので、ささやき声や歌声、早口言葉だったり、ずっと人の声だけど質は全部違うということは意識しました!――確かに作曲でも編曲でもないので、音にこだわれるのはその部分ですね。 終わり方にもこだわったんですよ。自分たちで作っているからこそ曲の終わり方もコントロールできるので、見ている人が綺麗に拍手しやすい終わり方を目指しました。果たして「ペペペッ」か「ペッペッペッ」で終るのがいいのか……。時間の制約上ラストのユニゾンは6エイトなんですけど、本当は8エイトにするだけで、もっとお客さんを引き込めましたね! ただ、5分の作品としては今の形が一番正解だとは思っています。――他に何か意識したことはありますか? 作品づくりのことではないですが、コンテストの大トリになるということは意識しました。一番最後の順番って、意表をつけばつくほど大勢の人を味方にできる、〝大トリじゃないとできない仕事〞ってあると思うんです。 特に今回の作品はまさにそこにハマると思って、香盤決めの応援投票は本気で勝ちに行くために、投票期間は作品リハをやりませんでした(笑)。――〝レジェンド〞としても初のヒップホップ作品が受賞となりましたが、何か思うことはありますか? 優勝したから言いますけど、ヒップホップって「作品として見せる」ことに対して絶対に相性良くないですよ(笑)! 他のジャズの作品とか見ると、「壮大でドラマチックな曲を使って世界観もすごい、それに比べて俺らは何でこんなに華がないんや……」っていっつも劣等感を持ってましたから! ただ今回は、自分がずっとヒップホップ……と言うかストリートダンサーをやってきた人間だからできた作品でもあるし、こういう新しい視点で作品を創れたのも『Legend Tokyo』という大会に育てられてきたからだなと思っています!――では、今後の展望を最後にお聞かせください! 今こんなこと言っていいのかわからないですけど、再来年の大会も出たいと思ってるんですよ。来年はルール上、出られないので。何かこの大会ってすごく中毒性があって(笑)、やっと納得のいく新しい作品ができたのに、「優勝しましたハイ終わり」ってそれじゃ物足りなくて! 今回の作品ができたからこそ、まだまだ新しいものを創れる感覚はめちゃくちゃあります。もちろんそこでまた負けるかもしれないですけど、簡単には負けない。優勝したばっかでこんなこと言ってると、またメンバーから「AKIHITOまた何か言ってるわ」って笑われるかもしれないですけどね(笑)。この作品では結果はついてこないかもしれない、でも、絶対にチームが成長する大きなキッカケになる!ENcounter ENgraversLegend Tokyo挑戦の歴史!2011Chapter.1大阪から観客として観に来ていたAKIHITOが大会の内容に衝撃を受け、たまたま休憩中に会った泰智と「俺らもこの大会に出よう!」と意気投合した。2012Chapter.2ENを結成し、西日本予選にエントリーするものの、予選当日までに規定の〝出演者10名以上〟のメンバーが集まらず、泣く泣く出場辞退した。2013Chapter.3今度はメンバーも集まり東日本予選を突破、本戦に出展。結果、初出場ながら〝芸能エンターテインメントの視点〟審査員賞受賞!2014Chapter.4前大会でシード権を獲得したため、本戦から出展。攻撃的かつタイトなルーティンで魅せる作品を披露し、特別選定賞受賞。2015Chapter.5横浜アリーナ開催の超巨大ステージに100人超のメンバーで作品出展! 〝ミュージカル演出家の視点〟審査員賞受賞!振付を作りながら同時にフリ落とし?大トリになるために、香盤決めの投票期間はリハ一切無し!優勝しましたハイ終わり、そうじゃないでしょう!19

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